搭乗者傷害保険の医療保険金の各損保差異(大手損保編)

7月15日のブログ「業界横並びと各社マターの境目(搭乗者傷害保険の保険金種類)」では、搭乗者傷害保険の医療保険金について『部位症状別』を一絡げに記載しました。しかし、この部分も細かく見ると各社で違いがあります。
医療保険金は、次の2つに分けられますが、違いが目立つのは後者の方です。
・治療日数が5日未満の場合の1万円の支払い
・治療日数が5日以上の場合の部位・症状別の支払い
治療日数の定義も違いがありそうなのですが、そこは損害調査部門の運用でカバーしている可能性があるので、踏み込まないことにしました。
 
というわけで、2009年7月1日始期における各損保の自動車保険の搭乗者傷害保険の医療保険金の部位・症状別支払について調べてみました。書いているうちにボリュームがえらいことになってきたので、大手損保編とダイレクト系損保編に分け、今回は大手損保編としています。
なお、支払額基準表を、比較のためフォーマットを同じにしてあります。そのため、一部について厳密に正確ではないところや細かい基準を落としている箇所があります。
表の数値は支払額(単位:万円)です。青い箇所は標準より金額が大きいところ、赤い箇所は標準より金額が少ないところです。なお、最頻値を標準とし、最頻値がエラーとなる場合は平均値を標準としています。
 

東京海上日動火災保険株式会社のトータルアシスト(総合自動車保険)

普通保険約款 第2章 傷害保険 第2節 搭乗者傷害条項 <別表II>傷害保険金支払額基準 に「2 入通院給付金」として↓のように規定されています。

治療日数の合計が5日以上(5日目の入院または通院の日が事故の発生の日からその日を含めて180日以内の場合に限ります。)となった場合に、入通院給付金として1回の事故につき10万円を支払います。ただし、被保険者の被った傷害が次の各号に該当する症状の場合は、入通院給付金の額を各号に定められた額とします。
(1) 手指・足指を除く部位の骨折・脱臼・神経損傷・神経断裂、上肢・下肢(手指・足指を除く)の腱・筋・靭帯の損傷・断裂………30万円
(2) 上肢・下肢(手指・足指を除く)の欠損・切断、眼球の内出血・血腫・破裂………50万円
(3) 脳挫傷・脳挫創等の脳損傷、頭蓋内血腫(頭蓋内出血を含む)、頸髄損傷、脊髄損傷、胸腹部臓器等の破裂・損傷………100万円

非常に簡略な基準で、今回調べた中では募集人が最も説明し易いものとなっています。比較のために表に当てはめてみると下表のようになります。

最低でも10万円なので、比較的軽傷の箇所は標準的な補償よりも厚くなっています。また、(2),(3)で指定している箇所も標準的な補償よりも厚くなっています。逆に、(1)で指定している箇所は標準的な補償よりも薄い部分が多いです。
 

株式会社損害保険ジャパンのONE-Step(個人用自動車総合保険)

搭乗者傷害危険担保特約(医療保険金部位・症状別定額払) 第9条(医療保険金)および同特約<別表2>入通院給付金支払額基準 にて規定されています。

標準と比較した補償の傾向は、トータルアシスト(総合自動車保険)と似ており、そのダウングレードといった感じです。
 

あいおい損害保険株式会社のトップラン(個人総合自動車保険)

約款上、あいおい損保の搭乗者傷害保険の医療保険金は、日数払と部位・症状別払を選択できるようになっています。ここでは部位・症状別払についてのみ見ていきます。
普通保険約款 第3章 事故によりご自身・ご家族・乗車中の方が死傷された場合の補償 第2節 搭乗者傷害条項 第4条(お支払いする保険金の計算)および<別表II>部位・症状別保険金支払額表 にて規定されています。

今回調べた中で、表の区分が最も複雑でした。
全体的に見て、標準よりも補償が厚い箇所が多いようです。