保険業法改正案−重要事項の限定

国会提出法案(第186回国会)「保険業法等の一部を改正する法律案」のことで「保険業法改正案−募集規制(2014.5.3)」に書きましたが、重要事項説明について第294条だけではなく第300条も変更されています。
これも金融審議会の保険商品・サービスの提供等の在り方に関するワーキング・グループにて議論されていた内容を反映したもののようです。
改定前(現行)の第300条第1項は以下のとおりです。

(保険契約の締結又は保険募集に関する禁止行為)
第三百条 保険会社等若しくは外国保険会社等、これらの役員(保険募集人である者を除く。)、保険募集人又は保険仲立人若しくはその役員若しくは使用人は、保険契約の締結又は保険募集に関して、次に掲げる行為(次条に規定する特定保険契約の締結又はその代理若しくは媒介に関しては、第一号に規定する保険契約の契約条項のうち重要な事項を告げない行為及び第九号に掲げる行為を除く。)をしてはならない。
一 保険契約者又は被保険者に対して、虚偽のことを告げ、又は保険契約の契約条項のうち重要な事項を告げない行為
二〜九 (略)

それが改定により、第300条第1項は以下のようになります。

(保険契約の締結等に関する禁止行為)
第三百条 保険会社等若しくは外国保険会社等、これらの役員(保険募集人である者を除く。)、保険募集人又は保険仲立人若しくはその役員若しくは使用人は、保険契約の締結、保険募集又は自らが締結した若しくは保険募集を行った団体保険に係る保険契約に加入することを勧誘する行為その他の当該保険契約に加入させるための行為に関して、次に掲げる行為(自らが締結した又は保険募集を行った団体保険に係る保険契約に加入することを勧誘する行為その他の当該保険契約に加入させるための行為に関しては第一号に掲げる行為(被保険者に対するものに限る。)に限り、次条に規定する特定保険契約の締結又はその代理若しくは媒介に関しては同号に規定する保険契約の契約条項のうち保険契約者又は被保険者の判断に影響を及ぼすこととなる重要な事項を告げない行為及び第九号に掲げる行為を除く。)をしてはならない。ただし、第二百九十四条第一項ただし書に規定する保険契約者等の保護に欠けるおそれがないものとして内閣府令で定める場合における第一号に規定する保険契約の契約条項のうち保険契約者又は被保険者の判断に影響を及ぼすこととなる重要な事項を告げない行為については、この限りでない。
一 保険契約者又は被保険者に対して、虚偽のことを告げ、又は保険契約の契約条項のうち保険契約者又は被保険者の判断に影響を及ぼすこととなる重要な事項を告げない行為
二〜九 (略)

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ここでの最大のポイントは第1項第1号の改定箇所である「保険契約の契約条項のうち保険契約者又は被保険者の判断に影響を及ぼすこととなる重要な事項」にあると思います。
これは反対解釈により、保険契約者または被保険者の判断に影響を及ぼさないことは第300条に定める重要な事項ではないということになります。既に「重要事項説明書の簡素化(2013.10.14)」に書いたとおり一般社団法人日本損害保険協会が公開している「契約概要・注意喚起情報(重要事項)に関するガイドライン」が改定されています。これは保険募集に関わる者は留意して確認しておくべき情報かと思います。