先進医療の動向と先進医療特約

先進医療で非常に実施件数の多かった「多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術」が先進医療から外れました。
ちなみに、先進医療のうち「多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術」がどの程度を占めていたのかというと、5年分を調べたら下表のとおりでした。

  先進医療全患者数ベース 先進医療費用総額ベース
H27.6.30までの1年間  35.1%  25.8%
H28.6.30までの1年間  46.3%  34.2%
H29.6.30までの1年間  43.8%  40.5%
H30.6.30までの1年間  83.6%  65.3%
R1.6.30までの1年間  86.4%  77.1%

改めて調べてみるとちょっと驚きです。これほどまで多いとは思いませんでした。
 
元々、先進医療は、新たな技術や薬が開発されて追加されたり、保険収載されることあるいは効果がないことを理由に削除されたりして、その技術数は増減するものです。
先進医療の技術は随時見直しがされることによって、先進医療を受けた人数と額がどのように推移しているのかを先進医療会議(一部、先進医療専門家会議)の資料で調べてみました。
その結果が以下です。

多少でこぼこはありますが、右肩上がりで推移していましたが、最後だけ大きく下がっています。
勿論、最後に下がった原因は「多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術」が外されたことです。
ここで1つ気づいたことがあります。
過去の実績を見るかぎり、新たな技術や薬が開発されたとしても、それが原因で先進医療を受ける患者数や費用の額が急激に上がることはなさそうということです。
 
先進医療特約の純保険料は、基本的には 先進医療費用総額÷日本の人口 で出せるはずです。
日本の人口はおよそ1.27億人として、「多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術」があった時となくなった時のそれぞれを計算すると、以下のとおりになります。
298億円÷1.27億人≒235円/年
62億円÷1.27億人≒49円/年
これは年払の保険料です。月払ではいくらぐらいかを知るには金利の要素を無視(今は金利が異常に低いため)して12で割ればよいと思います。
営業保険料にするには、ここに付加保険料を適当に乗せます。
これは安全率とかを無視した簡便な試算ですが、元々の保険料が非常に低いけど、そんなもんだろうということ、そして「多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術」を除くと半額以下になっても不思議ではないことがわかります。
ちなみに、日本経済新聞「生保3社、先進医療の保険料下げ 高額ながん治療など」(2021.2.19)によると、上記に伴って第一生命や住友生命は先進医療特約の保険料を下げる予定とのことです。