生命保険協会は、2025年9月16日に「保険代理店等に対する便宜供与及び出向に関するガイドライン」を策定しました。
ガイドライン新設の背景・経緯
このガイドラインを新設した背景・経緯は次のとおり書かれています。
1.本ガイドライン策定の目的
損害保険代理店にて発生した保険金不正請求に関する不祥事案を受け、金融庁において「損害保険業の構造的課題と競争のあり方に関する有識者会議」(以下、「有識者会議」という。)が開催され、本事案の原因分析及び再発防止に向けた制度・監督上の対応に関する検討が行われた。
有識者会議では、当該損害保険代理店が不正行為を行い、保険金を過大に請求した事実にとどまらず、損害保険会社が代理店に対して行うべき教育・管理・指導が、実質的に機能していなかった点が指摘された。また、当該損害保険代理店の不正行為の要因の一つとして、「損害保険会社の営業部門が、乗合代理店に便宜供与を積極的に行い、同代理店がその見返りとして、顧客に対し同保険会社の商品を優先的に推奨するなどした結果、顧客の適切な商品選択が歪められていた」点が挙げられた。あわせて、出向については、便宜供与の一類型と位置付けられたうえで、過度なものは顧客の適切な商品選択を阻害するおそれがあるとされたほか、保険代理店としての自立に向けた動きを阻害するものは解消する必要があるとされた。
有識者会議は、損害保険業の構造的課題を対象に検討を行ったものであるが、生命保険業界においても、顧客本位の業務運営を徹底し、業界全体を健全に発展させていくべく、有識者会議で指摘された問題点を自らのこととして真摯に受け止め、主体的に対応を検討することが重要であり、生命保険会社が生命保険代理店等に対して行う便宜供与や出向に関し、基本的な考え方や留意点を整理することで、顧客本位の業務運営の徹底、健全な競争環境の実現に資するものと認識している。
本ガイドラインは、有識者会議報告書や、同報告書を受けて改正された監督指針を踏まえ、生命保険会社が生命保険代理店等に対して行う便宜供与や出向の基本的考え方や留意点について整理し、会員各社が態勢整備を行う際の参考の用に供するために策定するものである。
なお、会員各社においては、本ガイドラインを形式的に遵守するにとどまらず、有識者会議における議論・監督指針・本ガイドラインの趣旨を踏まえ、主体的に検討・判断することが必要である。
構成
このガイドラインは、下表の内容で構成されています。
見出し | 備考 | |
---|---|---|
1 | 本ガイドライン策定の目的 | |
2 | 保険代理店等に対する便宜供与 | |
3 | 保険代理店に対する出向 | |
別紙1 | 過度の便宜供与の考え方 | 各社で過度の便宜供与の判断基準の社内規則を策定する際の考え方(cf.2(1)②) |
別紙2 | 表彰/研修等 | インセンティブ報酬として、過度に該当する表彰、研修等の基準(cf.2(1)②イ) |
別紙3 | 出向に係る方針等の例 | 各社で策定する出向に関する方針の例(cf.3(2)①) |
2.保険代理店等に対する便宜供与と3.保険代理店に対する出向は、2025年8月28日に改正された監督指針の便宜供与と出向に関する部分の内容を左側に記載し、それに対する補足をする形式となっています。つまり、補足部分のみが生命保険協会が整理した内容ということになります。ただ、そのほとんどがパブリックコメントでの金融庁の考え方を転記したものです。
便宜供与に関する内容
2025年8月28日に改正された監督指針および改正時のパブリックコメントよりも踏み込んでいる部分は、次の箇所です。私が資料を読んで、ピックアップしているので漏れや誤りがあるかもしれません。
インセンティブ報酬
インセンティブ報酬は過度の便宜供与に該当する可能性が高いのですが、何がインセンティブ報酬に該当するかを明確にしなければ判断があいまいになってしまいます。インセンティブ報酬に該当するものとして、次のものを列挙しています。
- 一定の期間中の特定商品の成果に対して、保険募集手数料に加算して支給するもの
- 一定の販売量(年換算保険料・件数等)に偏重した基準を設定し、当該基準に達した場合に、保険募集手数料に加算して支給するもの
- 社会通念からみて過度な表彰・研修等(注)(異なる名目や本店所在地という理由で海外等に招待する行為を含む)
(注)「社会通念からみて過度」に該当し得る表彰・研修等の具体的な基準の例は別紙2を参照- 「マーケティング・コスト」、「業務委託費」、「広告費」、「協賛金」、「支援金」等の名目で、役務の対価としての実態がない、または、対価性の検証が困難な金銭等を支給するもの
- 継続率基準や研修等の受講条件、その他募集品質に関する何らかの基準を設定したうえであるものの、実質的には特定の会社商品の販売促進を目的とした金銭等を支給するもの
- ある商品種別において、自社の商品のみを取扱っていることを条件に加算手数料を支給するもの
- 特定の会社の商品や払方等を指定し推奨商品として取扱うことや、特定の会社の商品のみを取扱っていることを条件に、特定期間の販売量に応じた加算手数料や本来代理店が負担すべき募集人の採用費用等を支給するもの
- 保険募集人指導事業を行う乗合代理店がフランチャイジーから対価が支払われている業務に重ねて支給するもの
- 保険募集人指導事業を行うフランチャイザーが、フランチャイジー分を含む一定の販売量(年換算保険料・件数等)に達した場合に、基本手数料に加算して支給するもの
- 特定の募集関連行為従事者への委託等を推奨されている場合や特定の保険会社の商品の販売量を供与・継続の条件として募集関連行為従事者に対する紹介料を支給するもの
代理店手数料の考え方の公開
一般乗合代理店に対する保険募集手数料の体系等については、各保険会社が理想とする代理店像を踏まえて検討のうえ、保険会社のホームページ等において公表(「理想の代理店像と業務品質との関係」、「業務品質の寄与度」、「特定の一般乗合代理店(群・属性を含む。)に保険募集手数料を適用している場合は、その代理店名(群・属性を含む)・体系・考え方」等)する必要があるとしています。
特定の大規模代理店のみに、特別なルールで代理店手数料やインセンティブ報酬を支払うのは、過度の便宜供与に該当するので、それを排除するために、こうした公表をするのは効果的だと思います。これを各社がどのように実行していくのかに興味があります。
表彰/研修等
別紙2に、過度の便宜供与に該当すると考えられる表彰/研修等について記載されています。表彰または研修等を名目とした旅行に招待するようなものや高価な賞品等はNGと読めるような内容となっています。
出向に関する内容
2025年8月28日に改正された監督指針および改正時のパブリックコメントよりも踏み込んでいる部分は、次の箇所です。こちらも漏れや誤りがあるかもしれません。
出向方針の考え方
別紙3に、各社で策定する出向に関する方針の例を記載しています。その項目は下表のとおりです。
項目 | 主な内容 | |
---|---|---|
1 | 留意点・遵守事項 | (1)顧客の適切な商品選択の機会を阻害しないこと (2)顧客情報等を出向元に共有するおそれが生じないこと (3)出向先保険代理店の自立を阻害しないこと (4)利益相反管理の観点から不適切でないこと |
2 | 目的 | 許容される出向の目的参照 |
3 | 出向先で従事する業務 | 出向の目的に照らして適切な業務とし、次のものは不可。 ①単なる役務提供と見做され得る役割 ②業務の中核的な役割を担う部署における責任者の役割 ③乗合代理店への出向の場合、自社優遇誘引、募集直接関与、方針策定や販売研修等に従事する役割 ④兼業代理店への出向の場合、保険会社と利益相反が生じ得る実務を担う役割 |
4 | 人数 | (各社で具体的な人数を定める) |
5 | 期間 | (各社で具体的な年数を定める) |
6 | 別の出向者の輩出 | (各社で具体的なルールを定める) |
7 | 出向者負担金 | 相当額を出向先に請求する。 |
許容される出向の目的
最終的には各社が規定することではありますが、このガイドラインでは、以下のものを挙げています。
- 当該保険代理店におけるお客様本位の業務運営・法令等遵守の実践・高度化
- 当該保険代理店との事業提携に伴うもの(事業提携については、地域活性化・サステナビリティに関するもの等 委託業務(保険募集)以外のもの)
- 出向者の人材育成・セカンドキャリアの形成
不適切な情報取得に対する考慮
日本生命の不適切な情報取得の事案を踏まえたと思われる以下の記載があります。
委託先保険代理店への出向者から出向元保険会社に対する連絡・報告の際に不適切な情報共有がなされるおそれがある。委託先保険代理店への出向者に対しては、特に以下の点について、情報管理に関する教育を徹底する必要がある。
- 出向を通じて知り得た委託先保険代理店の情報につき、個人情報保護法・不正競争防止法・独占禁止法等の法令に反して、又は、当該代理店の承諾なく、出向元保険会社に提供しないこと
- 出向元保険会社への連絡・報告を行う際に、意図せず、個人情報保護法・不正競争防止法・独占禁止法等の法令に反する、又は、当該代理店の承諾がない委託先保険代理店の情報が含まれていないかを十全に確認すること
不十分な内容だと思いますが、生命保険協会のガイドラインとしては、この程度の記載が限界かもしれません。

監督指針に規定された便宜供与と出向
2025年8月28日に改正された監督指針の便宜供与に関する部分は次のとおりです。
Ⅱ-4-2-12 保険代理店等に対する便宜供与
(1) 過度の便宜供与の防止
保険会社が、保険代理店等に対して便宜供与を行い、その見返りとして保険募集人が当該保険会社の保険商品を優先的に推奨することによって、顧客の適切な商品選択の機会が阻害されるおそれがある。
このため、保険会社は、以下のとおり、保険代理店等に対する過度の便宜供与を防止する必要がある。
(注1)保険代理店等とは、保険代理店のほか、保険募集人である保険代理店の役員又は使用人や、その他保険会社による便宜供与が、特定の保険代理店における顧客の適切な商品選択の機会を阻害し得ることとなる相手方(具体的には、保険代理店と人的又は資本的に密接な関係を有する者(親会社等)や保険代理店の主要な取引先を含む)をいう(以下、Ⅱ-4-2-12において同じ)。
(注2)便宜供与の相手方が、一の保険会社等に専属する保険代理店であっても、当該保険代理店の専属を維持する目的等をもって、過度の便宜供与を行うことがないよう、適切な措置を講じる必要がある。
① 態勢整備
保険会社は、顧客の適切な商品選択の機会を確保する観点から、保険代理店等に対する過度の便宜供与を防止するため、以下の措置を講じているか。
ア.過度の便宜供与の判断基準に係る社内規則等の策定
イ.上記ア.の社内規則等を踏まえた、営業部門等に対する適切な教育・管理・指導の実施及び便宜供与に係る意思決定や教育・管理・指導の実施に対するコンプライアンス部門等の適切な関与
ウ.保険代理店等に対して行っている便宜供与により、顧客の適切な商品選択の機会が阻害されていないかについて、リスクに応じた適切な頻度での内部監査及び保険代理店に対する監査の実施
エ.上記ウ.の監査結果に関する、取締役会等への報告及び当該監査結果を踏まえた取締役会等における評価・対応の検討
オ.顧客の適切な商品選択の機会が阻害されていると認められる場合における、適切な解消措置の実施及び改善に向けた態勢整備
(注3)上記ア.~オ.の実施にあたっては、営業部門等からの不当な介入が排除されている必要があることに留意する。
② 過度の便宜供与に係る判断基準
保険会社が保険代理店等に対して行う便宜供与に関し、過度なものであるか否かについては、以下に基づき判断する。
ア.自社の保険商品の優先的な取扱いを誘引する便宜供与
保険代理店等に対する便宜供与のうち、以下のいずれかの要素を含むものについては、特に顧客の適切な商品選択の機会を阻害するおそれが高いことから、過度の便宜供与に該当する。
(ア)便宜供与の実績に応じて、当該保険代理店や保険募集人である保険代理店の役員又は使用人において保険契約数や保険引受シェアの調整が行われる場合
(イ)保険代理店等から保険会社に対し、物品等の販売数量の目標設定や購入数量の割当て等が行われる場合
イ.実質的に自社の保険商品の優先的な取扱いを誘引するもの
上記ア.のほか、保険代理店等に対する便宜供与が過度なものであるか否かについては、当該便宜供与の趣旨・目的のほか、価格・数量・頻度・期間及びその負担者等を総合的に勘案しつつ、当該便宜供与によって生じ得る弊害の内容・程度を考慮し、社会通念に照らして妥当であるかによって判断する。
なお、判断は個別具体的に行われるべきであるが、例えば、以下の行為については、実質的に自社の保険商品の優先的な取扱いを誘引するものとして、過度の便宜供与に該当し得る。
(ア)保険会社の役職員が、保険代理店等から、他の保険会社の購入実績との比較を提示されるなど黙示の圧力を受けたことを背景として、自社の役職員に対し、数量等の報告やとりまとめを伴う物品の購入をあっせんする行為
(イ)保険代理店等が主催するイベント等において、保険会社の役職員等が保険業と関連性の低い役務を提供する形で参加・協力する行為
(ウ)保険代理店等が主催するイベント等において、保険会社の役職員等が休日等の業務時間外に参加・協力する行為
(エ)本来は保険代理店等が負担すべき費用を保険会社が負担する行為、又は保険代理店等が自らの責任において行うべき業務に対し保険会社が役務を提供する行為
(オ)保険代理店等の求めに応じ、役務の対価としての実態がない又は保険会社若しくは保険代理店等において対価性の検証が困難な業務委託費、協賛金、商標使用料、広告費用等の金銭を拠出する行為
(2) 法128条に基づく報告徴求
監督当局は、保険会社に対し、上記(1)に係る取組状況について、必要に応じて法第128条に基づき報告を求める。
mikio-tsujita.hatenadiary.org
2025年8月28日に改正された監督指針の出向に関する部分は次のとおりです。
Ⅱ-4-2-13 保険代理店に対する出向
(1) 不適切な出向の防止
保険会社が、保険代理店に対して自社の役職員を出向させ、保険募集に関する業務等に従事させることは、当該出向が過度の便宜供与として機能するなどにより、出向元の保険商品の優先的な取扱いを誘引し、もって顧客の適切な商品選択の機会を阻害するおそれがある。
また、保険代理店の顧客情報等(Ⅱ-4-2-13において、保険代理店が保険募集以外の事業を兼業している場合には、当該事業に係る顧客情報等を含む。)に接する機会のある出向者については、顧客情報等の不適切な共有を行う可能性があり、出向元保険会社の役職員が当該情報の共有を受けることを含め、個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十七号)、不正競争防止法(平成五年法律第四十七号)及び私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号)等の法令に抵触するおそれや、法令に照らして不適切な行為となるおそれがある。これらの問題点は、競合他社の顧客情報に接する機会のある乗合代理店への出向においては特に留意する必要がある。
さらに、特定の保険代理店に対する出向者数、出向期間や出向先において従事する業務の内容等によっては、保険代理店としての自立を阻害するおそれや、保険会社における利益相反管理の観点から不適切なものとなるおそれがある。
このように、保険代理店への出向には、過度の便宜供与と同様に顧客の適切な商品選択を阻害するおそれだけでなく、特有の弊害を生じさせるおそれが存在することを踏まえ、保険会社は以下のとおり、保険代理店に対する不適切な出向を防止する必要がある。保険代理店への出向の適切性を十分に確認できる場合を除き、出向を行わないこととする。(2) 態勢整備
保険会社は、自社の役職員の保険代理店に対する出向に関して、その適切性を担保するため、以下の措置を講じているか。
① 出向に係る方針等の策定
② 出向方針等の策定に係る、取締役会等やコンプライアンス部門等の適切な関与
③ 人事部門や営業部門等による、適切な出向施策の実施・出向者の管理
④ コンプライアンス部門や内部監査部門による、上記③の適切性に係る検証・監査
⑤ 必要に応じた出向方針等の見直しや改善に向けた態勢整備(3) 出向の適切性に係る留意事項
保険会社は、自社の役職員の保険代理店に対する出向に関して、保険代理店の特性等に応じつつ、以下の全ての点に照らしてその適切性を判断・検証しているか。
なお、一の保険会社等に専属する保険代理店への出向については、競合他社の顧客情報に接する機会が少ないこと等により、乗合代理店とは以下の弊害が発現するリスクが異なることも踏まえつつ、その適切性を判断・検証する。
また、(3)でいう出向には、保険会社が属するホールディングス又は企業グループ(注1)内の保険代理店への出向及び転籍を前提とした保険代理店への出向(注2)を含まない。これらの保険代理店への出向にあたっては、顧客の適切な商品選択の機会が確保されているかのほか、個人情報の保護に関する法律等の法令に違反する又は法令に照らして不適切な顧客情報等の共有の防止が確保されているかにより、その適切性を判断・検証する。
(注1)企業グループとは、保険会社の親会社・子会社・親会社の子会社のほか、保険会社との関係で持分法適用会社となる会社をいう。
(注2)転籍を前提とした保険代理店への出向とは、役職員が転籍を前提とするものであることを認識し、当該保険代理店において業務への適性を判断するために必要な期間派遣される場合をいう。
(注3)保険会社の役職員が、自社に在籍したまま保険代理店における保険募集に関する業務等を代行する場合においても、下記①~④に準じた検討を行った上、その適切性を判断・検証し、不適切な事案が認められる場合には、解消するための措置を講じる必要がある。
① 当該出向が、以下の点に照らし、顧客の適切な商品選択の機会を阻害するものではないか。
ア.特定の保険代理店への出向が、当該保険代理店における出向元保険会社のシェアの拡大等、営業推進の機能を有するなど、出向元の保険商品の優先的な取扱いを誘引するおそれを有するものではないか。
(注4)例えば、保険代理店に対する出向において、保険代理店が事業を営むために自ら負担すべき人件費や専門人材の育成又は確保に係る費用等を保険会社が肩代わりする場合には、上記のおそれが高くなることに留意する。
イ.保険募集に直接関与するなど、出向先において従事する業務の内容が、出向元の保険商品の優先的な取扱いを誘引するおそれを有するものではないか。
(注5)営業企画部門など、保険募集に直接関与しない部門への出向であっても、保険募集方針の策定や取扱保険商品の選定、保険販売計画の企画・執行、保険募集人への特定商品に係る販売研修などに関与する場合には、出向元保険会社の保険商品を優先的に取扱うなどの弊害が生じうる。そこで、このような業務に関与する場合には、出向先保険代理店に対し、取扱保険商品の選定に係る検討過程の検証や、決定過程に出向者を関与させないなど、不適切な影響を及ぼさないための措置を講じさせる必要がある。
② 出向先の保険代理店において、出向者が顧客等の同意なく当該保険代理店の顧客情報等を出向元の保険会社に共有するおそれが生じないことを確保しているか。
また、その実効性について定期的に検証されているか。
(注6)出向者の職務が、保険募集に直接関与しない職務であっても、顧客情報等に接する可能性があり、顧客情報等を出向元の保険会社に共有するおそれが生じないように留意する。
③ 当該出向が、出向者数や出向期間、出向先での業務内容、当該代理店の規模や特性等に照らし、出向先保険代理店の自立を阻害するものではないか。なお、出向先での業務内容に関しては、以下のア.及びイ.に留意することとする。
ア.出向先での業務内容が、教育・指導、体制整備の支援の範疇を超える場合、出向先保険代理店の自立を阻害するおそれがあることに留意する。
イ.営業企画部門や法令等遵守態勢の整備を担う部門など、保険代理店の業務の中核的な役割を担う部署への長期にわたる出向は、当該保険代理店の自立を阻害するおそれがあることに留意する。
④ 保険金関連事業を兼業する保険代理店に対する出向であって、修理費の算出等の保険金請求に関わる部門の業務に従事する場合など、当該出向が、保険会社における利益相反管理の観点から不適切なものではないか。