辻田幹夫のお気楽損害保険(損保)ブログ

主に損害保険について気の向くままにアレコレ書いています。

SOMPOHD 決算説明会(2026年5月)での保険見通し

SOMPOホールディングスは、5月20日に2025年度の決算発表(電話会議)を行いました。
そこで、決算のポイントとして語られたのは、「2025年度通期業績」「2026年度通期業績予想」「株主還元」です。
最後の質疑応答で、8名からの質問があり、自動車保険火災保険についても触れられることがありました。
 

Q&A.3 BofA証券 辻野 氏からの質問への回答

回答要約 資本調整について、2025年度は13%を超えたが、2026年度は自然災害の剥落等で13%を下回る想定。ただし中計の分子目標は達成しており、分母の膨らみによるもの。単年度の微調整ではなく、恒常的に13%を下回り、かつ大規模投資案件が当面ない状況になれば資本調整を検討する。自然災害除きの損害率(2026年度予想)
自動車保険について、値上げの効果が浸透し、前年実績から1.9ポイント改善の66.9%を見込む。
火災保険について、ベースの収支は改善するものの、再保険契約のリリース益が減少する影響で、前年実績から3ポイント弱上昇の28.7%を想定。

2025年度は自然災害が少なかったのですが、これはたまたまなので、2026年度はその影響が剥落するとしています。
自動車保険について、2026年1月料率改定で保険料を上げ、2026年7月料率改定でも保険料を上げます。これらを織り込んでの回答です。
 

Q&A.6 みずほ証券 坂巻 氏からの質問への回答

回答要約 オーガニックな成長のみでROE13%を目指せるかという点について、損保ジャパンや海外事業において収益性を高める手立てはまだあるため、中長期的には十分に達成可能と考えている。
自動車保険のコンバインド・レシオの見通しは102.2%と95%水準から乖離しているが、インフレや事故率の動向が想定を外れるリスクに備え、2026年7月に機動的な追加値上げを想定している。また、15,000とおりのリスク細分化による適切なレーティングや、AIを用いた不正請求排除、DRS(デントリペア技術等)の活用による保険金削減などを組み合わせ、95%水準への改善を目指す。

自動車保険について、現行では約2,000のセグメントだったのを、約15,000セグメントにして、リスクに応じたレーティングをすると回答していました。約7.5倍にするということです。ひょっとして、PHYD(運転行動連動型)を本格的に導入するつもりでしょうか。
 

 

東京海上HD 決算IR資料(2026年5月)の保険見通し

東京海上ホールディングスが、5月20日に行った2025年度決算IR電話会議のプレゼンテーション資料に、2026年度の自動車保険火災保険の見通しが書かれていました。
 

P.30 トップライン:ビジネスは堅調に拡大


自動車保険に関して、2025年10月に料率改定で保険料を上げました。そして、2026年1月は上げませんでした。2026年度は2026年10月に料率改定で保険料を上げる予定のようです。
火災保険に関しては、2025年度は2025年10月で保険期間5年に短縮された契約の満期が初めて到来するため、満期到来件数が一時的に多かったはずです。2026年度はそのようなことがないため、減収を見込んでいるようです。
 

P.32 保険関連損益:堅調な保険引受を主因に、3.6%の増益を見込む


2025年度は自然災害が例年に比べて少なくラッキーな年でした。2026年度もそのようなラッキーな年になると限らないので、自動車保険火災保険もその見込みが反動として現れています。
自動車保険は、2025年10月料率改定と2026年10月料率改定の増収がプラスに働くと見込んでいます。
 

P.44 自然災害発生保険金


2025年度は自然災害によるロスが少なかったことが反映されています。
 

 

生保の銀行窓販「スパイ事件」で転換点

日経新聞の記事「生保と銀行、窓販に遠心力 スパイ事件は終わりの始まりか」(2026.1.12)に以下の内容のことが書かれていました。

生保の銀行への出向による窓販は、家電量販店とメーカーの関係に似た持ちつ持たれつの商慣習だった。しかし、銀行に出向した生保職員が機密情報を不正取得する「スパイ事件」が発覚した。これにより、生保販売の難しさと銀行の専門家育成不作為が露呈した。窓販解禁から20年が経った。生命保険文化センターの2024年調査では、銀行のシェアが6%から4.4%に減少した。金利上昇や新NISAで銀行の収益構造が変化し、窓販のうまみが薄れ関係が疎遠化。この事件は、生保から銀行への出向終了と両者の関係に遠心力が働き始めた「終わりの始まり」を象徴する出来事となるだろう。

 

生保業界目線での流れ

日本生命の銀行への出向社員が不適切な情報取得をしていたがばれたことをきっかけに、生保側はその再発防止策として営業目的の出向をとりやめ、また、銀行側も都銀を中心に出向者を受け入れない方針を出すところが出てきました。ただ、現実問題として、銀行は生保からの出向者なしでは、生保の募集が難しいため、生保からの出向者が欲しいと考えているフシがあります。
なお、生保側において、当初は営業目的以外の出向は継続するつもりだったようですが、それもとりやめる方向に変わってきたようです。
傍から見ていると、生保も銀行もそれぞれの内部からの自浄作用ではなく、世間や金融庁の目を気にして仕方なく出向をやめるように思えます。お互いに、自社の利益追求を第一にするなら、出向はあった方が都合がよいでしょうし、対応が小出しだったり、ぐずぐずしていたりしていますから。
 

所感

生保に限定せず、保険業界で見ると、損保の出向者の不適切な情報取得(いわゆる、出向者事案)が日本生命の事案よりも早くから問題視され、その再発防止策として、代理店への出向廃止の動きがありました。また、金融庁の損保に対する業務改善命令でも出向を実質禁止するような内容がありました。
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同様の問題は生保でもあるはずなので、この時点で生保も出向を原則廃止する動きをすべきでした。
しかし、生保は十分な対応を取りませんでしたが、そうこうしているうちに日本生命不適切な情報取得が明るみになり、代理店(銀行)側の信頼を失う形で、出向を止めざるを得ない状態になりました。
出向廃止の動きは、日本生命不適切な情報取得をきっかけに起こりましたが、保険代理店である銀行に保険募集を行う能力がなければ、銀行窓販のビジネス自体が適切に存続することはできないのではないでしょうか。仮に、不適切な情報取得が仮になかったとしても、例えば過度な便宜供与の問題が浮かび上がって、遅かれ早かれ出向廃止という方向に向かったと思います。
 

 

ソニー損保 地震上乗せ特約のフレキシブルな対応

ソニー損保の火災保険のトップページにて、地震上乗せ特約を一部の地域では引き受けない旨の記載がありました。

地震保険上乗せ特約の引受制限について
現在、地震保険上乗せ特約(全半損時のみ)の引受を制限させていただいている地域がございます。※地震保険はお申込みいただけます。
【引受制限地域】青森県 八戸市


 

保険者の立場

大きい地震があると、数日以内に余震があるということが、近年、広く認知されてきました。しかも、その余震の方が大きいことがよくあります。それは、もはや余震ではなく、本震と言えます。
そうすると、余震が来る前に、保険で地震の補償を付けておこうという動きをする人も多くなってきます。
その地震の補償として、地震保険がありますが、いくつかの保険会社では、地震保険とは別に、火災保険の特約として地震上乗せ特約を取り扱っています。
地震保険は地震保険に関する法律に基づく半官半民の保険で、ガチガチの規制・規定で縛られており、基本的に保険会社は申込みを断ることはできません。
一方、地震上乗せ特約は、それぞれの保険会社の独自特約であり、引受けの方針を自社で決めることができます。したがって、逆選択でリスクが著しく高くなる場合は引き受けないという方針を定めるのは当然です。
しかし、方針を定めても、実際にその運用ができるかどうかは別問題です。あらかじめ、その方針の対応ができるようにシステムに実装していなければ不可能でしょう。また、代理店に契約締結権がある場合も、素早く対応を実施するのは現実的ではないでしょう。
それらのハードルを越えて、ソニー損保が、おそらく一時的に、地域を限定して、地震上乗せ特約の引受けを停止していることについて、個人的には「おぉ!やるなぁ。」と感心しました。
 

おまけ:地震保険の引受けをしない例外

基本的に保険会社は申込みを断ることはできないと書きましたが、例外があります。
大震法(大規模地震対策特別措置法)に基づく警戒宣言が発令された場合は、その時から地震保険に関する法律に定める一定期間、東海地震に係る地震防災対策強化地域内に所在する保険の対象(建物または家財)について、地震保険の新規契約および増額契約の引受けはできなくなります。
東海地震に係る地震防災対策強化地域

都県 市町村
東京都 新島村、神津島村、三宅村
神奈川県 平塚市、小田原市、茅ヶ崎市、秦野市、厚木市、伊勢原市、海老名市、南足柄市、
高座郡寒川町、中郡大磯町、中郡二宮町、足柄上郡中井町、足柄上郡大井町、足柄上郡松田町、足柄上郡山北町、足柄上郡開成町、足柄下郡箱根町、足柄下郡真鶴町、足柄下郡湯河原町
山梨県 甲府市、富士吉田市、都留市、山梨市、大月市、韮崎市、南アルプス市、北杜市、甲斐市、笛吹市、上野原市、甲州市、中央市、
西八代郡市川三郷町、南巨摩郡早川町、南巨摩郡身延町、南巨摩郡南部町、南巨摩郡富士川町、中巨摩郡昭和町、南都留郡道志村、南都留郡西桂町、南都留郡忍野村、南都留郡山中湖村、南都留郡鳴沢村、南都留郡富士河口湖町
長野県 岡谷市、飯田市、諏訪市、伊那市、駒ケ根市、茅野市、
諏訪郡下諏訪町、諏訪郡富士見町、諏訪郡原村、上伊那郡辰野町、上伊那郡箕輪町、上伊那郡飯島町、上伊那郡南箕輪村、上伊那郡中川村、上伊那郡宮田村、下伊那郡松川町、下伊那郡高森町、下伊那郡阿南町、下伊那郡阿智村、下伊那郡下條村、下伊那郡天龍村、下伊那郡泰阜村、下伊那郡喬木村、下伊那郡豊丘村、下伊那郡大鹿村
岐阜県 中津川市
静岡県 全域
愛知県 名古屋市、豊橋市、岡崎市、半田市、豊川市、津島市、碧南市、刈谷市、豊田市、安城市、西尾市、蒲郡市、常滑市、新城市、東海市、大府市、知多市、知立市、高浜市、豊明市、日進市、田原市、愛西市、弥富市、みよし市、あま市、長久手市、
愛知郡東郷町、海部郡大治町、海部郡蟹江町、海部郡飛島村、知多郡阿久比町、知多郡東浦町、知多郡南知多町、知多郡美浜町、知多郡武豊町、額田郡幸田町、北設楽郡設楽町、北設楽郡東栄町
三重県 伊勢市、桑名市、尾鷲市、鳥羽市、熊野市、志摩市、
桑名郡木曽岬町、度会郡大紀町、度会郡南伊勢町、北牟婁郡紀北町

しかし、この例外は、東海地震の予知ができることを前提にしているので、現在では適用されることはないはずです。
 

 

プルデンシャル生命 金銭詐取と責任回避

DIAMOND onlineの2025年12月30日の記事「【独自】プルデンシャル生命社員の投資勧誘による「新たな金銭トラブル」が判明!裁判資料から浮かび上がる“手口”と“会社側の言い分”とは?」に次の内容が書かれていました。

プルデンシャル生命の元社員による金銭詐取が相次ぎ、顧客が約2000万円の損害賠償を求めた訴訟で「おっさん投資案件」等の手口が判明した。裁判所は職務外の行為として2744万5000円の請求を棄却したが、25年4月には金融庁が報告徴求命令を出した。同社は教育徹底を掲げるが、管理体制の強化が問われている。

 

今回の事案以外の営業社員の金銭詐取

プルデンシャル生命は、多数の営業社員が金銭詐取行為を起こしており、DIAMOND onlineのの2025年10月16日の記事「【独自】プルデンシャルがひた隠す「投資トラブル」全6件の全容判明!濱田会長の引責辞任は不可避だった」では6件の金銭詐取事案を紹介しています。そのうち、逮捕に至った2件は、プルデンシャル生命がニュースリリースで公表しています。
そして、2025年4月に金融庁は、これらの不祥事を踏まえて同社に報告徴求命令を出しました。ただ、その報告徴求命令に対して、同社が報告した内容は公開されておらず、不明です。
一方で、2025年12月26日にニュースリリースで「「営業職員チャネルのコンプライアンス・リスク管理態勢の更なる高度化にかかる着眼点」を踏まえた取組み状況のご報告」を出しており、そこに営業社員の金銭詐取に対する再発防止策と現状の取組みが書かれています。しかし、何故、多数の営業職員による金銭詐取事案があったのかの原因については書かれていません。それもあって、再発防止策が適切かよくわからないし、形だけのような印象を受けます。
 

今回の事案

営業社員の行動と状況

営業社員は、プルデンシャル生命の営業行為に付随して、同社の取扱いではない投資を顧客に持ちかけて金銭詐取をしました。
この営業社員は死亡しており、騙された顧客は、プルデンシャル生命に賠償を求めて裁判になりました。しかし、結果としては棄却されたとのことです。

プルデンシャル生命の主張

DOL記事には、次のとおり書かれていました。

プルデンシャル生命は、使用者が被用者の行為について、使用者責任を負うには、その行為が「事業の執行について」なされたものであることが要件になると主張した。
原告とH氏(営業社員)の間で行われた金銭のやりとりは、両者の個人的な信頼に基づくものであり、保険の販売という職務の範囲外であったと説明。さらに、プルデンシャル生命は全契約者に対し、社員が違法な投資や出資を募っていないか、注意喚起の書面を送っていた。原告に対しても書面を送っており、原告はH氏(営業社員)が提案した投資案件は職務と関連するものではないと認識していたはずだ、との論陣を張った。

プルデンシャル生命の営業社員が、保険商品の販売以外での金銭詐取をしても、プルデンシャル生命は管理責任がないと主張しているように思えます。それが仮に勤務時間中の行為であったとしても。
 

所感

裁判については、プルデンシャル生命の使用者責任がないとして棄却したとのことですが、いまいち納得できません。
それにしても、プルデンシャル生命としては、この1件だけなら、秘密にすることを条件に、こっそり約2千万円を支払った方が総合的にはダメージが小さかったと思われます。しかし、裁判をしてでも支払を拒否しました。
これは憶測ですが、裁判に持ち込まれてもプルデンシャル生命が損害賠償に応じなかった理由は、他にも多数の同種の案件があり、全部に同じ対応をすると莫大な額になるからではないでしょうか。
 

 
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保険業法施行令改正(案)パブコメ結果

金融庁は、2025年9月30日に「令和7年保険業法改正に係る政令(案)に対するパブリックコメントの実施について」にて、保険業法施行令の改正案を公表しました。
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そして、2025年12月19日に「令和7年保険業法改正に係る政令の公布及びパブリックコメント結果の公表について」にて、募集したコメントとそれに対する金融庁の考え方を公表しました。
 

改正内容

保険業法施行令の主な改正内容は次の2点です。

  • 改正法において措置された特定大規模乗合損害保険代理店の業務運営に関する体制整備義務と同様の体制整備義務を、大規模な乗合代理店である生命保険募集人に対して措置
  • 保険仲立人の活用促進に向けた対応として、保険仲立人の保証金の最低金額等を引下げ

その他所要の改正を行います。
今回のパブコメのコメントによる保険業法施行令の案の変更はありませんでした。
 

パブリックコメントでのコメントの概要・それに対する金融庁の考え方

大規模な乗合代理店である生命保険募集人に対して求める措置
No. コメントの概要 金融庁の考え方
1 ・今回の政令改正は、2024年12月に公表された「損害保険業等に関する制度等ワーキング・グループ」報告書にて「大規模乗合代理店については、保険会社に対して、適切な管理・指導等を改めて求めることは当然であるが、それに加えて、大規模乗合代理店自身に対して、法令上、必要な体制整備義務を強化することが適切である。加えて、定期的なヒアリング等を通じたモニタリングにより、法令上求められる体制が確実に整備されているかを当局が把握・確認することで、実効性を確保することも重要である」とされたことを受けて行われたものと理解しております。
・この点、損害保険代理店のうち、「特定大規模乗合損害保険代理店」に対しては、改正保険業法第294条の4にて直接上乗せ義務が課されておりますところ、今回の政令改正案において生命保険代理店に対しても、所定の要件に該当する場合にあっては、改正保険業法第294条の4にて「特定大規模乗合損害保険代理店」に求められるものに準じた措置を講じる義務が課されることになるものとの認識に相違ないでしょうか。また、対象の代理店に対しては、当該措置の履行状況等につき、当局により重点的にモニタリングが行われることになると理解しておりますが、認識に相違ないでしょうか。
「今回の政令改正案において生命保険代理店に対しても、所定の要件に該当する場合にあっては、改正保険業法第294条の4にて『特定大規模乗合損害保険代理店』に求められるものに準じた措置を講じる義務が課されることになる」かという点については、御理解のとおりです。なお、具体的な措置の内容は内閣府令で定める予定です。
「対象の代理店に対しては、当該措置の履行状況等につき、当局により重点的にモニタリングが行われることになる」かという点は、対象の代理店に対して当局としても重点的にモニタリングを行うこととしていますが、併せて保険会社による教育・管理・指導も適切になされる必要があると考えます。
2 ・今回新たに政令40条にて規定される大規模な乗合生命保険募集人に該当する委託先に対する、生命保険会社による委託の考え方(特に、政令40条で規定する基準に該当したものの、十分な体制整備ができていない委託先への対応)について、当該要件を満たさないことを把握した場合には、速やかに適正化に向けた指導をはじめとする措置を講じる必要があるという認識でよろしいでしょうか。 御理解のとおりです。
3 ・政令第40条に定める「法294条の3第1項に規定する保険募集の業務に関して受領した手数料、報酬、その他の対価の額」は、規則第236条の2各号に定める「手数料、報酬その他の対価の額」と同じと理解してよろしいでしょうか。 御理解のとおりです。
4 保険業法施行令の一部を改正する政令(案)において、3~4ページで第294条の4(特定大規模乗合損害保険募集人等に係る体制整備)に言及されている件で伺いたい。
上記の詳細を記載した、令和7年9月30日公表されたRIA「大規模な乗合代理店である生命保険募集人に対する体制整備義務の強化」より二点お伺いする。
■1 規制の必要性・有効性の
<必要となる規制新設・拡充の内容> では、「法令等遵守責任者を設置すること」とあるが、この手段のみによって本来の目的を果たせるとは思えない。「大規模な乗合代理店自身に必要な体制整備義務を強化」が目的ということであるが、今回の規制の背景になった「保険金不正請求事案」以外にも同業界では課題を抱えている。
例えば、社会保険の潜脱行為。
代理店業界内では、
・営業拠点の一部を別法人化し、別法人やそこにぶら下がる営業社員(募集人)に対する金銭の支払いや管理系統を複線化するスキームで実質的には再委託を行っている代理店があり、社会保険料を軽減することを「売り」に急速に組織を拡大させている。
・4月~6月までの月額給与を、意図的に抑えることで社会保険料負担を軽減させている代理店もある。
また、広域型の歩合制乗合代理店では手数料率が高いことを「売り」に小規模代理店を吸収し支店化し、吸収前の報酬制度や勤務ルールを継続させている。このような一つの大型代理店でありながら、実態としては小規模代理店の集合体のような運営を行っており、大規模であるがゆえに本来求められる組織のガバナンス体制を利かせているとは到底思えない。このような代理店が法令順守責任者を配置すれば事足りるという判断で上記等を改善しないまま特定大規模代理店として認可されるとすれば、本来の目的を果たせるとは到底思えない。
■2 規制の妥当性(その他の手段との比較検証)において、
・全ての乗合代理店である生命保険募集人の業務運営に関して、体制整備義務を強化等することも検討した
・全ての兼業の生命保険募集人に対して、顧客の利益を不当に害することを防止する体制整備義務を導入することも検討した
とあるが言い逃れも抜け道もない上記の道筋を監督官庁である金融庁が求めることが、真の顧客本位に繋がるのではないかと思料する。
以上について御庁の意見を伺いたい。
貴重な御意見として承ります。
なお、御意見の1点目について、政令第40条に規定する「当該生命保険募集人が法人(法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めのあるものを含む。)であって各事業年度における所属保険会社等から保険募集の業務(法第294条の3第1項に規定する保険募集の業務をいう。)に関して受領した手数料、報酬その他の対価の額が内閣府令で定める額以上であることその他内閣府令で定める要件に該当する場合」に、当該生命保険募集人が講ずべき措置の具体的内容は、内閣府令で定める予定です。
また、御意見の2点目については、今般の保険金不正請求事案が生じた背景として、保険会社と保険代理店との間で、保険代理店の規模が大きいほど保険代理店に対する適切な管理・指導等の機能が弱まりやすくなる構造が認められたことを踏まえ、対象を大規模な乗合代理店に限定することとしています。
5 ・特定大規模乗合損害保険代理店に対する措置は保険業法で定められている一方で、大規模な乗合生命保険募集人については、施行令で特定大規模乗合損害保険代理店に対する措置に準じた措置を講じることが求められている。
・これは、生命保険募集人については、保険業法第282条第1項及び第2項において一社専属を原則としつつ、その例外として、同条第3項及び施行令第40条において乗合を認める要件を定めているため、大規模な乗合生命保険募集人については、同条を改正することにより、乗合生命保険募集人一般に適用される既存の要件に加えて、特定大規模乗合損害保険代理店に対する措置に準じた措置を講じている場合に乗合を認めることとしたものであるという理解でよいか。
御理解のとおりです。
6 本改正において、大規模な乗合生命保険募集人についても、保険業法第294条の4各号に掲げる特定大規模乗合損害保険代理店に求められる措置に準ずる措置を講じることが求められています。
今般の改正保険業法および保険業法施行令において、大規模な少額短期保険募集人については規定がないことから特段の措置が求められていないものとの認識でよろしいでしょうか。
少額短期保険募集人が損害保険代理店でもある場合であって、法第294条の4に規定する「特定大規模乗合損害保険代理店」に該当する場合には、同条各号に掲げる措置を講じる必要があります。
また、少額短期保険募集人が生命保険募集人でもある場合であって、政令第40条に規定する「当該生命保険募集人が法人(法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めのあるものを含む。)であって各事業年度における所属保険会社等から保険募集の業務(法第294条の3第1項に規定する保険募集の業務をいう。)に関して受領した手数料、報酬その他の対価の額が内閣府令で定める額以上であることその他内閣府令で定める要件に該当する場合」には、「法第294条の4各号に掲げる措置に相当する」措置を講じる必要があります。
7 改正案の第40条について、生保は損保と異なり、保険業法第282条で原則乗合禁止とされ、保険業法施行令第40条第1号及び第2号の要件を満たす者が例外として適用が除外され乗合が可能という建て付けとなっていると認識しているところ、この第1号で「二以上の所属保険会社等のために行う保険募集に係る業務を的確かつ公正に遂行するために、所要の知識等の修得をし、又は業務の適正な管理を行い得る者として金融庁長官の定める資格を有する者」がいるにも関わらず、なぜ法令等遵守責任者も設置しなければならないのか。特に他の事業を兼業している事業者にとっては負担が大きいのではないか。他の事業にも影響が出れば利用者である我々国民に不利益が生じるのではないか。 貴重な御意見として承ります。
なお、政令第40条に規定する「当該生命保険募集人が法人(法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めのあるものを含む。)であって各事業年度における所属保険会社等から保険募集の業務(法第294条の3第1項に規定する保険募集の業務をいう。)に関して受領した手数料、報酬その他の対価の額が内閣府令で定める額以上であることその他内閣府令で定める要件に該当する場合」に、当該生命保険募集人が講ずべき措置の具体的内容は、内閣府令で定める予定です。
保険仲立人の保証金の最低金額等の引下げ
No. コメントの概要 金融庁の考え方
8 政令第41条(保証金の額)並びに第44条(保証金の一部に代わる保険仲立人賠償責任保険契約の内容等)の改正案について
保険仲立人が保険契約者に契約の媒介業務において保険契約者に損害を与えた場合の損害賠償資力の確保を目的とする保証金供託義務に関して、最低保証金額を20百万円から10百万円に引き下げる改定自体は、2013年の金融審議会 保険商品・サービスの提供等の在り方に関するワーキンググループでも検討され、一定期間問題がなければ10百万円への引き下げは適当であるとされていたこともあって、今般やっと引き下げが実現したものでもあり順当なものと考えます。
しかしながら、保険仲立人制度の導入以来、保険仲立人がその業務において保険契約者に損害を与えた事態が顕在化した事実がない実態と、保険仲立人に課された供託義務の負担との権衡が果たして妥当なものかどうかについては検討の余地があります。保証金額が過去3年間の保険契約の締結の媒介に関して受領した合計額とされていますが、平均額に引き下げられることが相応だと考えます。また、保証金の一部を保険仲立人賠償責任保険契約によって代替できるとされていますが、保険会社がこの保険契約を締結することに極めて消極的であり妥当な保険料で締結することが難しいことから、最低保証金額を引き下げただけでは新規参入等が促されることは期待できません。保険仲立人賠償責任保険契約の要件(平成10年大蔵省告示228号)の見直しが必須と考えます。以上の2点についてご検討をお願いします。
貴重な御意見として承ります。

 

金融庁の考え方で示されている「内閣府令で定める予定」

ここでいう内閣府令は、保険業法施行規則のことと思われます。そして、その保険業法施行規則の改正案は、12月17日に公開されました。
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監督指針改正(有識者会議・WG報告書反映)案(2025年)

金融庁は、2025年12月17日に「「保険会社向けの総合的な監督指針」の一部改正(案)の公表について」にて、保険会社向けの総合的な監督指針の改正案を公表しました。
 

改正の概要

令和6年6月25日付で公表された「損害保険業の構造的課題と競争のあり方に関する有識者会議」報告書においては、保険会社の保険金等支払管理態勢及び営業推進態勢、同年12月25日付で公表された金融審議会「損害保険業等に関する制度等ワーキング・グループ」報告書においては、保険代理店と保険仲立人の協業等に関しても、それぞれ提言がなされています。本件は、これらの提言の内容を踏まえ、「保険会社向けの総合的な監督指針」について、所要の改正を行うものです。

改正の内容は、次の3点です。

  1. 保険金等支払管理態勢の改善
  2. 不祥事発覚後の伏在調査の徹底
  3. 保険仲立人の保険会社・代理店との共同の行為の緩和

なお、同日に本件以外の理由で監督指針の改正(案)が出されています。
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保険金等支払管理態勢の改善

Ⅱ-4 業務の適切性 に、ビッグモーターの保険金不正請求事案を念頭においた記載がいくつも追加されました。
まずは、Ⅱ-4-4 顧客保護等 Ⅱ-4-4-3 保険金等支払管理態勢 の(1)意義 の記載からして、ビッグモーターの保険金不正請求事案を強く意識し、以下の青字のとおり変更されました。

(1) 意義
保険商品には、わが国における社会の構造的変化・経済活動の多様化等に伴い、保険契約者ニーズに対応して多様化が求められている。このような中にあって、生命保険会社における保険金・給付金の不適切な不払いや損害保険会社における付随的な保険金の支払漏れといった問題が発生し、保険契約者、利用者の保険事業全般に対する信頼が大きく損なわれた事例も認められ
また、損害保険業界においては、例えば、自動車ディーラーや中古車販売業者を兼業している保険代理店が、事故により損傷した自動車を修理する場合に関して、保険金等支払管理態勢が適切に機能せず、不正な修理費の見積りに基づく保険金請求により過大な保険金が支払われた事例も認められた。
このような不適切な事例を防止し、
適時・適切な保険金等の支払いを行っていくことは、保険会社として保険事業を行っていく上で必要不可欠な基本的かつ最も重要な機能である。保険会社には、自己責任原則に基づく経営管理機能を十分に発揮するとともに、必要かつ十分な査定の実施や、専門性を考慮した人員配置やシステム整備といった観点にも留意し、損害査定や保険金等の支払判断に関する保険契約者間の公平性の確保に資する適切な支払管理態勢を構築することが求められている。
保険金等支払管理態勢に係る主な着眼点等の見直しにあたり、保険金・給付金の不適切な不払いや付随的な保険金の支払漏れのほか、不正な修理費の見積りに基づく保険金請求といった重大な問題を招いた原因の分析等を踏まえつつ、保険金等支払全般に関して、適切な支払管理態勢の確立のために、特に重点とした事項は以下のとおりである。
[①~③ 削除]

そして、(2)主な着眼点 においても、保険金・給付金の不適切な不払いや付随的な保険金の支払漏れのほか、保険金等不正請求事案(保険金等不正請求事案のほか、不正な修理費の見積りに基づく保険金請求により過大な保険金が支払われる事案や、これらの疑義のある事案も含む。)の防止のため、より具体的な内容に記載が改められています。
また、Ⅱ-4-13 保険会社の営業推進態勢 が新設されました。内容は以下のとおりです。

保険会社は、あらゆるコンプライアンス・リスクに対応する観点から、営業部門への過度な圧力を防止する態勢を構築する等といった適切な営業推進態勢を確保し、運用する必要があるため、以下の事項のような態勢を整備できているか。
① 役職員に対する不適切なインセンティブとならない評価体系(営業目標、人事・業績評価等)の策定等を行い、適切に運用できているか。
② 取締役会等の経営陣においても、定期的に営業推進体制を検証する態勢が確保されているか。

 

不祥事発覚後の伏在調査の徹底

Ⅲ 保険検査・監督に係る事務処理上の留意点 Ⅲ-2 保険業法等に係る事務処理 Ⅲ-2-16 不祥事件等に対する監督上の対応 の(3) 業務の適切性の検証 の②ア.(カ)および②イ.(カ)に、次のとおり青字の部分が追加されました。

② 保険募集人に関する不祥事件等届出書の場合
ア.保険募集人の教育・管理・指導を担う保険会社に対する検証の着眼点は、以下のとおりとする。
(カ)当該事件の発覚後の対応が適切か。特に、当該事件と同様又は類似の発生原因により当該保険募集人の取り扱う他の保険契約等に被害が生じている可能性を踏まえた伏在調査が適切に行われているか(保険会社による必要に応じた伏在調査の実施を含む)。

② 保険募集人に関する不祥事件等届出書の場合
イ.保険募集人に対する検証の着眼点は、以下のとおりとする。なお、保険募集人の規模や業務の特性、不祥事件の内容等を踏まえるものとする。
(カ)当該事件の発覚後の対応が適切か。特に、当該事件と同様又は類似の発生原因により当該保険代理店の取り扱う他の保険契約等に被害が生じている可能性を踏まえた伏在調査が適切に行われているか。また、必要に応じて関係先への情報共有が適時・適切になされているか。

これまでも不祥事が発覚した場合、当局は伏在調査をするように保険会社等に求めてきていたはずです。しかし、代理店においては当該事件だけの個別事案として伏在調査をしなかったり、情報の不正取得をした生命保険会社のように都合のよい範囲に絞ってのみ伏在調査をしたりといい加減な対応がありました。監督指針に明記することで、そういうのは許さない!という金融庁の意思表示でもあると思います。
 

保険仲立人の保険会社・代理店との共同の行為の緩和

Ⅴ 保険仲立人関係 Ⅴ-4 他の募集人等との関係 Ⅴ-4-1他の保険募集人との関係 (2) 共同の行為 の内容が青字のとおり大幅に変更されました。

(2) 共同の行為
① 保険仲立人又はその保険募集を行う役員若しくは使用人(以下、Ⅴ-4-1(2)において「保険仲立人等」という。)が、保険会社等又は保険募集人(以下、Ⅴ-4-1(2)において「保険募集人等」という。)と、同一契約の共同取扱いを行う場合には、保険仲立人等は、顧客の誤認防止の観点から、保険媒介業務を行う前に、顧客に対して、次に掲げる事項について説明の上、同意を取得しているか。
ア.保険仲立人等と保険募集人等における立場の違い
イ.保険募集人等との間で合意した業務分担の内容(想定される業務量や業務分担割合も含む)

② 保険募集人等が、保険仲立人等と同一契約の共同取扱いを行う場合には、保険募集人等は、事前に、保険会社等に対して、保険仲立人等との間で合意した業務分担の内容(想定される業務量や業務分担割合も含む)を説明の上、同意を取得しているか。
(注)上記①及び②において、保険仲立人等又は保険募集人等が、顧客又は保険会社等から同意を取得するに際しては、顧客又は保険会社等が、業務分担の内容を確実に認識できるよう、文書等で同意を取得する措置を適切に講じることに留意する。

③ 保険仲立人等が、金融サービス仲介業者(顧客からの委託を受けて保険媒介業務を行う場合を除く)と、同一契約の共同取扱いを行っていないか。
④ 保険仲立人等が、原則として、保険募集人等又は金融サービス仲介業者(顧客からの委託を受けて保険媒介業務を行う場合を除く)に保険募集事務の一部の引継ぎ又は代行をさせていないか。
⑤ 保険募集人等が、金融サービス仲介業者(保険会社等からの委託を受けて保険媒介業務を行う場合を除く)と、同一契約の共同取扱いを行っていないか。
⑥ 保険募集人等が、原則として、保険仲立人等又は金融サービス仲介業者(保険会社等からの委託を受けて保険媒介業務を行う場合を除く)に保険募集事務の一部の引継ぎ又は代行をさせていないか。

これによって、保険仲立人が保険会社・保険代理店との共同で行う行為の制限が緩和されました。
 

 

監督指針改正(保険業法施行規則関連)案(2025年)

金融庁は、2025年12月17日に「「保険会社向けの総合的な監督指針」等の一部改正(案)の公表について(保険業法施行規則の一部を改正する内閣府令(案)関係)」にて、保険会社向けの総合的な監督指針等の改正案を公表しました。
 

改正の概要

令和6年6月25日付で公表された「損害保険業の構造的課題と競争のあり方に関する有識者会議」報告書、同年12月25日で公表された金融審議会「損害保険業等に関する制度等ワーキング・グループ」報告書での提言を踏まえ、乗合代理店における適切な比較推奨販売の確保に向け、比較説明・推奨販売に係る保険業法施行規則の改正を予定しているところ、これに併せて「保険会社向けの総合的な監督指針」等についても所要の整備を行うものです。

なお、同日に本件以外の理由で監督指針の改正(案)が出されています。
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改正された監督指針

Ⅱ-4-2 保険募集管理態勢 Ⅱ-4-2-9 保険募集人の体制整備義務(法第294条の3関係) に、次の(5)が項番として新設されます。内容は現行規定を部分的に踏襲している箇所があります。

(5) 乗合代理店における比較推奨販売
乗合代理店(規則第227条の2第3項第4号及び規則第234条の21の2第1項第2号に規定する二以上の所属保険会社等を有する保険募集人をいう。以下、(5)において同じ。)は、金融サービス提供法(同法第2条第1項)に基づく顧客等に対する誠実公正義務の趣旨も踏まえ、顧客の最善の利益を勘案しつつ、適切な比較推奨販売(規則第227条の2第3項第4号及び規則第234条の21の2第1項第2号に規定する保険契約への加入の提案をいう。以下、同じ。)を行わなければならない。
このため、以下の点に留意しつつ、法第294条第3項に基づき、あらかじめ所属保険会社等の商号等を明らかにした上で、法第294条第1項(規則第227条の2第3項第4号及び規則第234条の21の2第1項第2号)に基づき、保険契約の内容、その他保険契約者等の参考となるべき情報を提供し、わかりやすく説明しているか。
また、乗合代理店の健全かつ適切な業務運営を確保するための措置が講じられているか。
① 比較推奨販売の方法
A.複数の保険契約の契約内容を比較して説明する場合(比較説明)の情報提供義務(法第300条第1項第6号、Ⅱ-4-2-2(9)②参照)
乗合代理店が取り扱う複数の保険契約の契約内容を比較して説明する場合には、規則第227条の2第3項第4号イの規定の趣旨を踏まえた上で、保険募集の実務や募集形態等に応じて、以下の事項を遵守しているか。
(a) 複数の保険契約の契約内容を比較する場合には、比較する事項やその内容を適切に説明しているか。
(b) 顧客が保険契約の契約内容について、正確な判断を行うに必要な事項を包括的に示しているか。
(c) 特定の保険契約の優位性を示すために他の保険契約と比較を行う場合には、当該他の保険契約についても、その全体像や商品特性を顧客に対して正確に示すとともに自らが勧める保険契約の優位性の根拠を説明しているか。
B.二以上の比較可能な同種の保険契約の中から顧客の意向に沿って保険契約を選別し、提示・推奨する場合(推奨販売)の情報提供義務
乗合代理店が二以上の比較可能な同種の保険契約の中から顧客の意向に沿って保険契約を選別することにより、保険契約を提示・推奨しようとする場合には、規則第227条の2第3項第4号ロの規定の趣旨を踏まえた上で、保険募集の実務や募集形態等に応じて、以下の事項を遵守しているか。
また、顧客の意向に沿って保険契約を選別する場合には、事前に商品特性や保険料水準などの顧客が重視する事項を丁寧かつ明確に確認する必要があることに留意する。
(a) 乗合代理店が二以上の比較可能な同種の保険契約の中から顧客の意向に沿って保険契約を選別し、一又は二以上の保険契約を提示・推奨する場合には、当該提示・推奨する保険契約の概要及び顧客の求めに応じて契約内容並びに当該提示・推奨する基準や理由等を説明しているか。
特に、顧客の意向に沿って選別した保険契約の中から、商品特性等により、特定の保険契約を推奨する場合には、顧客の最善の利益を勘案したものとして、保険募集人や乗合代理店の都合によることなく、合理的かつ一定の具体性を有する基準や理由等を説明しているか。その場合、推奨する特定の保険契約以外の保険契約もある旨及び顧客の求めに応じて、それらの保険契約の概要又は契約内容を説明する旨を説明しているか。
(注1) 保険契約を提示・推奨する基準や理由等について、合理的かつ一定の具体性を有する説明をしているように装いながら、実質的には、例えば、乗合代理店が受け取る手数料水準の高さや乗合代理店への便宜供与等の実績など、乗合代理店の都合による保険契約の選別や提示・推奨を行うことのないよう留意する。
(注2) 提示・推奨する本来の基準や理由等を告げない行為、提示・推奨する基準や理由等が複数ある場合に主たるものを告げず、他の基準や理由等を告げる行為を行うことのないよう留意する。
(b) 顧客の意向が不明確な場合であっても、保険契約の選別に当たっては、例えば、顧客が特に重視すると考えられる事項を例示するなど、可能な限り顧客の意向を把握した上で、上記(a)に基づき対応しているか。
(注3) 顧客が特に重視すると考えられる事項を例示するに当たっては、顧客の意向を顧みず営業上の理由から恣意的に特定の保険契約へ誘導することのないよう留意する。なお、恣意的に特定の保険契約へ誘導するその行為が、内容や態様等によっては、法第300条第1項第1号及び第6号に抵触するおそれがあることに留意する。
② 比較推奨販売に係る体制整備関係
比較推奨販売を適切に行うための措置について、以下のような点を含めて、法第294条の3の規定の趣旨を踏まえた上で、乗合代理店自身の規模や業務特性を踏まえつつ、定期的かつ必要に応じて、その実施状況を確認・検証する態勢が構築されているか。また、確認・検証に当たっては、保険代理店等に対する便宜供与(Ⅱ-4-2-12)や保険代理店に対する出向(Ⅱ-4-2-13)により、顧客の適切な商品選択の機会を阻害していないか否かも含めて確認する必要があることに留意する。
ア.上記①における提示・推奨する基準や理由等について、社内規則等に規定しているか。
イ.上記ア.の社内規則等を踏まえた、適切な比較推奨販売を行うための教育・管理・指導を実施しているか。
ウ.比較推奨販売の適切性等の確認・検証に必要となる記録や証跡等の保存期間等を社内規則等にて定めた上で、比較推奨販売の適切性に関して、効率的かつ効果的に確認・検証しているか。
(注) 証跡等の保存に当たっては、顧客保護等(Ⅱ-4-4)の規定も踏まえつつ、顧客の意向や属性に応じた比較推奨販売に係る説明が適切に行われているか確認・検証できるものであること。
エ.上記ウ.における確認・検証結果を踏まえ、必要に応じて比較推奨販売方法の見直しや改善を行っているか。

ここで参照している規則は、以下で改正された保険業法施行規則です。
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監督指針改正(保険業法改正関連)案(2025年)

金融庁は、2025年12月17日に「令和7年改正保険業法(1年以内施行)に係る「保険会社向けの総合的な監督指針」等の一部改正(案)の公表について」にて、保険会社向けの総合的な監督指針等の改正案を公表しました。
 

改正の概要

令和7年5月30日に成立した「保険業法の一部を改正する法律」(令和7年法律第54号。公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日から施行。)に関し、今般、保険業法施行規則等の規定が整備されることに併せて、「保険会社向けの総合的な監督指針」等についても所要の整備を行うものです。
主な改正の内容は以下のとおりです。
(1)特定大規模乗合保険募集人に対する体制整備義務の強化関係(保険募集の業務関連)
(2)特定大規模乗合損害保険代理店に対する体制整備義務の強化関係(兼業業務関連)
(3)保険会社等に対する体制整備義務の強化関係
(4)保険会社等による保険契約者等への過度な便宜供与の禁止関係
(5)保険仲立人の活用促進に向けた対応等関係

「特定大規模乗合保険募集人」とは、「特定大規模乗合生命保険募集人」および「特定大規模乗合損害保険代理店」のことです。
なお、同日に本件以外の理由で監督指針の改正(案)が出されています。
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特別利益提供の対象の追加

特別利益提供の対象に追加された保険契約者等と密接な関係を有する者に関して、Ⅱ-4 業務の適切性 Ⅱ-4-2 保険募集管理態勢 Ⅱ-4-2-2 保険契約の募集上の留意点(8)法第300条第1項第5号関係① が次のとおり改定されます。

① 保険会社又は保険募集人が、保険契約の締結又は保険募集に関し、保険契約者若しくは被保険者又はこれらの者と内閣府令で定める密接な関係を有する者(以下、Ⅱ-4-2-2(8)において「保険契約者等」という。)(注1)との間で、取引等を行う場合においては、以下のような点に留意して、「特別利益の提供」に該当しないものとなっているか。
(注1) 取引等の相手方が、保険契約者等に該当しない場合であっても、規則第234条第1項第1号に該当するものではないか、留意する必要がある。
ア.物品の購入、役務の提供その他の取引(注2)に関し、以下のような点から、取引上の社会通念に照らし相当であると認められないものとなっていないか。
(ア)保険会社又は保険募集人において、保険契約の締結や、保険契約数又は保険引受シェアの調整の前提として、当該取引を行う又は当該取引の内容を決定することとされていないか(注3)、(注4)。
(イ)当該取引が、保険会社又は保険募集人の事業運営において必要性のないもの又は事業運営上の必要性に照らし過大なものとなっていないか。
(ウ)当該取引における、価格等の取引条件が、一般的な取引条件と比較し、著しく不合理なものとなっていないか。
(エ)当該取引が、保険契約者間の公平性を著しく阻害するものとなっていないか。
(注2) ここでいう取引とは、保険契約に付帯されるサービス以外のものであって、売買その他保険契約者等との間で対価を伴い行われるものをいう。
なお、取引の性質上、本来は保険会社又は保険募集人において対価を得て行われるものであるにも関わらず、対価を得ずに行われる場合、当該対価の免除が下記イ.「その他特別利益の提供」に該当するおそれがあることに留意する必要がある。
(注3) なお、例えば、事故防止・損害抑制に係るサービスについては、保険契約の締結や、保険契約数又は保険引受シェアの調整の前提として提供されることをもって、直ちに取引上の社会通念に照らして不相当と判断されるものではない。
(注4) 保険会社又は保険募集人において、保険契約の締結や、保険契約数又は保険引受シェアの調整の前提として、当該取引の内容を決定する場合とは、例えば、保険募集人が、特定の保険契約への加入を条件に、保険契約者等に販売する車両価格を値引くなどの行為が該当する。
イ.上記取引に該当しない、各種のサービスや物品の提供に関し、以下のような点から、「その他特別利益の提供」に該当しないものとなっているか。
(ア)当該サービス等の経済的価値及び内容が、社会相当性を超えるものとなっていないか。
(イ)当該サービス等が、換金性の程度と使途の範囲等に照らして、実質的に保険料の割引・割戻しに該当するものとなっていないか。

(ウ)当該サービス等の提供が、保険契約者間の公平性を著しく阻害するものとなっていないか。
なお、保険会社は、当該取引やサービス等の提供を通じ、他業禁止に反する行為を行っていないかについても留意する。
(注5) 保険会社又は保険募集人が、保険契約者又は被保険者に対し、保険契約の締結によりポイントを付与し、当該ポイントに応じた生活関連の割引サービス等を提供している例があるが、その際、ポイントに応じてキャッシュバックを行うことは、保険料の割引・割戻しに該当し、法第4条第2項各号に掲げる書類に基づいて行う場合を除き、禁止されていることに留意する。

損保業界であった不祥事の保険料調整行為保険金不正請求の根底にあった過度な便宜供与を防止しようという意図が見えます。
 

兼業特定保険募集人への利益供与等の管理

Ⅱ-4 業務の適切性 Ⅱ-4-6 顧客の利益の保護のための体制整備 の下に、次の項目が新設されます。

  • Ⅱ-4-6-3 兼業特定保険募集人に関する措置(顧客の利益の保護のための体制整備関係)(規則第53条の14の2関係)
  • Ⅱ-4-6-4 保険持株会社による兼業特定保険募集人に関する措置(規則第210条の6の7関係)

この追加に伴って、現行の Ⅱ-4-6-3 監督手法・対応 は、項番が繰り下げられて、Ⅱ-4-6-5 になります。

Ⅱ-4-6-3 兼業特定保険募集人に関する措置(顧客の利益の保護のための体制整備関係)(規則第53条の14の2関係)
(1) 意義
損害保険会社は、法100条の2の2第1項に規定する兼業特定保険募集人に関しては、上記Ⅱ-4-6-1及びⅡ-4-6-2にかかわらず、兼業特定保険募集人と損害保険会社の関係性等を踏まえた体制整備を行う必要がある。
この観点から、規則第53条の14の2に基づき、修理費の不正な見積りによる過大な保険金の支払い等により、対象保険募集人が行う保険関連業務に係る顧客(対象保険募集人にあっては、当該損害保険会社から委託を受けた業務に係る顧客に限る。)の利益が不当に害されることを防止するため、以下の措置を講じる必要がある。
(2) 主な着眼点
① 対象業務の確認等
対象保険募集人が規則第53条の14の3に定める業務を行っているかについて、日常的な教育・管理・指導のほか、代理店監査等の機会を通じて定期的に確認し、その結果の関連部門間での共有も含め、適切に管理する態勢を整備しているか。
② 兼業特定保険募集人に関する保険金支払管理態勢の整備保険金の支払に関する業務の公正かつ適切な実施を確保するため、Ⅱ-4-4-3(2)⑧に掲げる措置を講じているか。
③ 対象保険募集人が講じる措置の確認・検証態勢の整備対象保険募集人である特定大規模乗合損害保険代理店が規227条の20及び同第227条の21第1項第1号第6号に基づき講じる措置(「Ⅱ-4-2-15-5兼業特定保険募集人である特定大規模乗合保険募集人が講ずべき態勢整備等(規則第227条の20関係)」も参照)について、日常的な教育・管理・指導のほか、代理店監査等の機会を通じて確認・検証し、課題等が認められる場合には期限を定めて改善を求めるための態勢を整備しているか。
④ 実施方針の策定及びその公表
規則第53条の14の2第1項第3号及び第5号ハにより公表する実施方針の概要については、その趣旨が明確に現れているものとなっているか。
また、公表方法は、例えば、店頭でのポスター掲示やホームページへの掲載など、顧客等に対して十分に伝わる方法となっているか。
⑤ 記録の保存等
規則第53条の14の2第1項第4号及び第5号ニに基づく記録の保存も含め、上記①、②及び③に係る措置の適切性について、事後に検証を行うための態勢を整備しているか。

Ⅱ-4-6-4 保険持株会社による兼業特定保険募集人に関する措置(規則第210条の6の7関係)
保険持株会社は、規則第210条の6の7に基づき、子会社である損害保険会社及び対象保険募集人が行う保険関連業務に係る顧客(対象保険募集人にあっては、当該損害保険会社から委託を受けた業務に係る顧客に限る。)の利益が不当に害されることを防止する必要がある。
この観点から、子会社である損害保険会社におけるⅡ-4-6-3を踏まえた措置に係る体制整備の状況について、定期的な確認や実効性の検証を行うとともに、必要に応じて改善に向けた指導を行うための体制を整備しているか。
また、保険持株会社の取締役及び取締役会等は、Ⅶ-2-2(1)②及び③において、グループ内会社との間での報告態勢の明確化やグループ内会社の事業及びリスクについての十分な理解が求められていることも踏まえ、子会社である損害保険会社におけるⅡ-4-6-3を踏まえた措置の適切性や実効性に係る重要な情報を能動的に入手するための体制を整備しているか。

保険金不正請求を起こしたビッグモーターやその疑義のあったネクステージトヨタモビリティ東京グッドスピードといった自動車関連業が兼業特定保険募集人の代表的なものであり、保険金不正請求の根本的な原因をつぶそうという意図が感じられます。
 

兼業特定保険募集人に関連する保険金等支払管理態勢

Ⅱ-4-4 顧客保護等 Ⅱ-4-4-3 保険金等支払管理態勢(2)主な着眼点 に、次の⑧が追加されました。

⑧ 兼業特定保険募集人に関する保険金支払管理に係る措置(規則第53条の14の2関係)
損害保険会社は、上記①から⑦に掲げる措置に加えて、当該損害保険会社又は当該損害保険会社を所属保険会社等とする兼業特定保険募集人(以下「対象保険募集人」という。)が行う保険関連業務に係る顧客(対象保険募集人にあっては、当該損害保険会社から委託を受けた業務に係る顧客に限る。)の利益が不当に害されることを防止する観点から、以下の措置を講じているか。
ア.例えば、本社の支払管理部門を担当する役員として、営業部門を担当する役員とは別の者を設置すること、支払管理部門及び支払部門が実施する保険金支払に関連する業務については、その指揮命令に基づくものに専念させること、支社(支部)・支店における支払管理業務及び支払業務に対しても本社の支払管理部門の牽制を働かせることなどにより、保険金の支払に関する業務の公正かつ適切な実施を確保する体制を整備すること。なお、不正請求疑義に関する情報については、支払管理部門及び支払部門と営業部門の間も含め、関連部門間で適切な情報共有がされる体制を構築すること。
イ.対象保険募集人が特定大規模乗合損害保険代理店であって、「Ⅱ-4-6-3(2)③兼業業務の監視態勢整備」の結果等により、対象保険募集人である特定大規模乗合損害保険代理店が規則第227条の20及び同第227条の21第1項第6号に基づき講じる措置の適切性に疑義が生じた場合には、当該特定大規模乗合損害保険代理店が関与する保険金の支払請求に関しては、例えば以下の内容を含む体制を整備すること。
(ア)不正請求疑義に関する情報や上記の疑義が生じた対象保険募集人である特定大規模乗合損害保険代理店に関する情報の適切な管理及び関連部門間での共有
(イ)損害の確認や損害額の決定に必要十分な知識・技能を有する者の確実な関与
ウ.支払管理部門や関連部門への内部監査体制の整備に当たっては、上記ア.及びイ.の観点が考慮されているか。

これも、同様に保険金不正請求の対策として設けたものと思われます。
 

体制整備義務への特定大規模乗合保険募集人の追加

Ⅱ-4 業務の適切性 Ⅱ-4-2 保険募集管理態勢 Ⅱ-4-2-9 保険募集人の体制整備義務(法第294条の3関係)に、次の(9)が新設されました。

(9) 保険募集人は、規則第215条の3又は同第227条の16に定める要件を満たす場合には、それぞれ特定大規模乗合生命保険募集人又は特定大規模乗合損害保険代理店に該当することとなる。
これを踏まえ、保険募集人(特に法第303条に規定する特定保険募集人)は、自社が特定大規模乗合生命保険募集人又は特定大規模乗合損害保険代理店に該当するか否かを事業年度毎に確認するとともに、該当する場合には、「Ⅱ-4-2-15特定大規模乗合生命保険募集人及び特定大規模乗合損害保険代理店に対する保険募集の委託」に掲げる措置を講じているか(注)。
(注) 特定大規模乗合生命保険募集人又は特定大規模乗合損害保険代理店に対する体制整備義務の履行を免れることを目的とした不適切な行為を行わないといった観点にも留意する。

 

特定大規模乗合保険募集人への規制

Ⅱ-4 業務の適切性 Ⅱ-4-2 保険募集管理態勢 の下に、Ⅱ-4-2-15 特定大規模乗合生命保険募集人及び特定大規模乗合損害保険代理店に対する保険募集の委託 が新設され、更に、その下に、次の項目が設けられました。

  • Ⅱ-4-2-15-1 特定大規模乗合生命保険募集人及び特定大規模乗合損害保険代理店に対する保険募集の委託・管理
  • Ⅱ-4-2-15-2 特定大規模乗合保険募集人の保険募集指針
  • Ⅱ-4-2-15-3 特定大規模乗合保険募集人の保険募集に係る法令等遵守責任者等
  • Ⅱ-4-2-15-4 特定大規模乗合保険募集人が講ずべきその他の態勢整備等
  • Ⅱ-4-2-15-5 兼業特定保険募集人である特定大規模乗合損害保険代理店が講ずべき態勢整備等(規則第227条の20関係)

また、Ⅱ-4-2-16 兼業特定保険募集人における態勢整備等 も新設されました。

Ⅱ-4-2-15-1 特定大規模乗合生命保険募集人及び特定大規模乗合損害保険代理店に対する保険募集の委託・管理
(1) 特定大規模乗合生命保険募集人及び特定大規模乗合損害保険代理店(以下「特定大規模乗合保険募集人」という。)に対して保険募集の委託を行うにあたり、保険会社において、その業務の健全かつ適切な運営及び保険募集の公正を確保する観点から、以下の措置が講じられているか。
① 特定大規模乗合保険募集人に該当する旨は、新たに該当することとなったとき又は特定大規模乗合保険募集人が新たに所属保険会社等を有することとなったときに、特定大規模乗合保険募集人から保険会社に対して通知されるため、当該通知を受けた場合には適切に対応すること。
特に、当該通知は初年度のみになされることを踏まえ、特定大規模乗合保険募集人に該当する保険代理店を適切に教育・管理・指導するとともに、毎年その状況を確認し、特定大規模乗合保険募集人に該当しなくなったことが判明した場合には、その理由や背景等に疑義がないか(不適切な行為に起因するものではないか等)を確認すること。
また、二以上の所属生命保険会社等又は所属損害保険会社等から受領した手数料、報酬、その他の対価の額の総額(以下「手数料等の総額」という。)が規則第215条の3第1項及び第2項又は規則第227条の16第1項及び第2項に定める額である20億円に満たない事業年度(以下「基準未達事業年度」という。)の翌事業年度及び翌々事業年度(以下「翌二事業年度」という。)の間においても、規則第215条の3第3項又は規則第227条の16第3項に基づき、以下ア.及びイ.の区分に従い、特定大規模乗合保険募集人として取り扱うこと。
ア.基準未達事業年度の前事業年度の手数料等の総額が20億円以上であり、基準未達事業年度に二以上の所属保険会社等(特定大規模乗合生命保険募集人の場合は所属生命保険会社等、特定大規模乗合損害保険代理店の場合は所属損害保険会社等に限る。以下①において同じ。)から受け取る手数料等の総額が10億円以上20億円未満である場合は、当該基準未達事業年度の翌事業年度
イ.基準未達事業年度の前事業年度の手数料等の総額が20億円以上であり、基準未達事業年度及びその翌事業年度に二以上の所属保険会社等から受け取る手数料等の総額がそれぞれ10億円以上20億円未満である場合は、翌二事業年度までの間
② 特定大規模乗合保険募集人への委託に関して、規則第53条の13に基づき以下の内容を含む方針を定め、当該方針に沿った対応を実施すること。また、当該方針については、定期的に検証を行い、必要に応じた見直しを行うこと。
ア.特定大規模乗合保険募集人への委託の考え方
イ.特定大規模乗合保険募集人に対する教育・管理・指導や代理店監査等の実施方法・頻度等に関する考え方(注)
(注) 特定大規模乗合保険募集人における法令等遵守態勢(法令等遵守責任者や統括責任者の配置状況を含む。)や法令等遵守状況の定期的な検証方法のほか、法令等遵守に不備が認められた場合の対応方針及び具体的な対応方法を含む。また、特定大規模乗合保険募集人において顧客の適切な商品選択の機会を阻害するおそれがあり、適切な改善が図られないと見込まれる場合の対応方針及び具体的な対応方法も含む。
ウ.特定大規模乗合保険募集人に対する便宜供与に関して、Ⅱ-4-2-12(1)①を踏まえて講じる措置の内容
エ.特定大規模乗合保険募集人への委託にあたって、法令等遵守責任者や統括責任者に求める要件
③ 規則第53条の13の2に基づき、特定大規模乗合保険募集人における保険業法その他保険募集に関する法令等(法令又は法令に基づく行政官庁の処分をいう。)の遵守状況を検証するため、管理責任者を選任するとともに、管理責任者がその業務を適切に遂行できるよう、必要に応じて適切に人員の配置を行うこと。
なお、管理責任者には、特定大規模乗合保険募集人に設置が義務付けられる統括責任者を主たる相手方として特定大規模乗合保険募集人の法令等遵守態勢(法令等遵守責任者や統括責任者の配置状況を含む。)や法令等遵守状況を確認・検証し、保険会社による教育・管理・指導の実効性を向上させることが求められる。この観点からは、管理責任者は法令等や保険契約に関する知識を有するのみならず、コンプライアンス部門や監査部門での業務や代理店監査等に従事した経験を有することが望ましい。
④ 上記②イにより定めた方針に沿って、特定大規模乗合保険募集人における法令等遵守態勢や法令等遵守状況について、適切な頻度により定期的に検証を行い、不備が認められる場合には是正を求めること。
⑤ 保険会社による特定大規模乗合保険募集人の業務運営との関連性が認められる費用の負担や代理店手数料の設定について、「Ⅱ-4-2-12保険代理店等に対する便宜供与」及び「Ⅱ-4-2-14代理店手数料の算出方法」を踏まえたものであるかの検証を行うこと。
⑥ 規則第215条の4第1項第4号及び規則第227条の21第1項1号に基づき特定大規模乗合保険募集人が定める保険募集指針の内容を確認し、当該保険募集指針に沿った対応がなされていない場合には、改善を促すこと。
(2) 監督手法・対応
監督当局は、上記(1)に係る取組状況について、必要に応じて法第128条に基づき報告を求めるとともに、重大な問題があると認められる場合には、法第132条又は第133条に基づき行政処分を行うものとする。

Ⅱ-4-2-15-2 特定大規模乗合保険募集人の保険募集指針
規則第215条の4第1項第4号及び規則第227条の21第1項1号に基づき特定大規模乗合保険募集人が定める保険募集指針には、以下の(1)から(3)に掲げるもののほか、保険募集の公正の確保に関する事項が定められているか。
また、保険募集指針の内容について、顧客に周知するため、保険募集指針の書面による交付又は説明、店頭掲示、インターネットホームページの活用等の必要な措置が講じられているか。
さらに、当該指針については、定期的に検証を行い、必要に応じた見直しが行われているか。
(1) 法第294条第3項に基づき、顧客に対し、保険募集を行う保険契約の引受保険会社の商号や名称を明示すること。
(2) 保険契約の締結に当たり顧客が自主的な判断を行うために必要と認められる情報として、法第294条第1項に基づき、保険契約の内容、その他保険契約者等の参考となるべき情報を提供し、わかりやすく説明すること。
(3) 特定大規模乗合保険募集人における苦情・相談の受付先を明示するとともに、顧客からの苦情・相談に適切に対応する等契約締結後においても必要に応じて適切な顧客対応を行うこと。

Ⅱ-4-2-15-3 特定大規模乗合保険募集人の保険募集に係る法令等遵守責任者等
(1) 法令等遵守責任者
特定大規模乗合保険募集人は、保険募集の業務を行う営業所又は事務所ごとに法令等遵守責任者を設置しているか(注)。
なお、法令等遵守責任者には、保険募集の業務を行う役員又は使用人に対し、これらの者が法令等を遵守して保険募集の業務を実施するため必要な助言又は指導を行うことができるように、法令や保険契約に関する知識等を有する人材が選任されているか。
また、法令等遵守責任者は、上記の助言又は指導を的確に実施するため、統括責任者による指揮の下、自らが担当する営業所又は事務所の保険募集の実態(保険会社等からの便宜供与の状況等を含む。)を把握し、その適切性について定期的な検証(便宜供与による比較推奨販売への影響の有無に係る確認・検証等を含む。)を行い、その結果を統括責任者に報告するとともに、不適切と認められる場合には、改善に向けて適切な措置を講じているか。
さらに、法令等遵守責任者は、自らが担当する営業所又は事務所の法令等遵守の状況等について、保険会社等又は当局の求めに応じて、適切かつ十分な説明を行っているか。
(注) 規則第215条の4第1号ニ及び規則第227条の17第1項第4号にいう「法令等遵守責任者としての業務の実施に支障を及ぼすおそれがない場合」に該当するか否かは、例えば、法令等遵守責任者が担当する営業所又は事務所の数や規模、当該営業所又は事務所における契約件数、当該営業所又は事務所に所属する保険募集人の数、営業所又は事務所間の地理的近接性等の要素も踏まえつつ、法令等遵守責任者としての業務が実効的に実施可能であり、役割や職責が十分に果たされているかに照らして判断する。
(2) 統括責任者
特定大規模乗合保険募集人は、営業部門からの独立性を確保した上で統括責任者を設置するとともに、統括責任者がその業務を適切に遂行できるよう、必要な人員の配置を含めた体制整備を行っているか。
なお、統括責任者には、法令等遵守責任者を指揮するとともに、役員又は使用人に対し、これらの者が法令等を遵守して保険募集の業務を実施するため必要な助言又は指導を行うことができるように、法令や保険契約に関する知識等を有し、業務を適切に実施することができる管理的又は監督的地位にある人材が選任されているか(注)。
また、統括責任者は、上記の助言又は指導を的確に実施するため、法令等遵守責任者等を通じて、自社の保険募集の実態(保険会社等からの便宜供与の状況等を含む。)や法令等遵守責任者の業務の内容を把握し、その適切性について定期的な検証(便宜供与による自社の比較推奨販売への影響の有無に係る確認・検証等を含む。)を行うとともに、不適切と認められる場合には、改善に向けて適切な措置を講じているか。
さらに、統括責任者は、自社の法令等遵守の状況等について、取締役会等の経営陣へ定期的に報告しているか。また、保険会社等又は当局の求めに応じて、適切かつ十分な説明を行っているか。
(注) 規則第215条の4第1項第2号ハ及び第227条の18第1項第3号においては、保険募集に現に従事している者や特定大規模乗合保険募集人の法令等遵守責任者ではないことが求められているが、その職務の性質を踏まえれば、これに加えてコンプライアンス部門や監査部門での業務に従事した経験を有することが望ましい。

Ⅱ-4-2-15-4 特定大規模乗合保険募集人が講ずべきその他の態勢整備等
(1) 所属保険会社等への通知
規則第215条の3又は同第227条の16に定める要件を満たし、新たに特定大規模乗合保険募集人に該当することとなった保険募集人は、遅滞なく所属保険会社等にその旨を通知しているか。
また、新たに所属保険会社等を有することとなった場合にも、自らが特定大規模乗合保険募集人である旨を、遅滞なく所属保険会社等に通知しているか。
併せて、所属保険会社等の求めに応じて、Ⅱ-4-2-15-3及びⅡ-4-2-15-4において特定大規模乗合保険募集人に求められる態勢整備等の状況(その予定も含む)や自社における規則第53条の14の3に定める業務の実施状況(実施の予定も含む)その他参考となるべき情報を提供しているか。
(2) 苦情処理関係
特定大規模乗合保険募集人は、規則第215条の4第1項第3号又は規則第227条の19に規定する措置を適切に講じているか。
(3) 内部監査関係
特定大規模乗合保険募集人は、規則第215条の4第1項第5号又は規則第227条の21第1項第2号に規定する措置に関し、以下の点に留意しつつ、保険募集の業務について内部監査を定期的に行うための責任者の設置、社内規則等の整備その他の体制の整備を行っているか。
① 経営陣
ア.特定大規模乗合保険募集人は、その規模の大きさに加えて、二以上の所属保険会社等を有し、複数の保険会社等の保険商品を取り扱うことに伴い、適正な保険募集の管理を行うことが特に求められる。代表取締役及び取締役会等は、このような特定大規模乗合保険募集人の特性上、内部監査が極めて重要であることを認識し、内部監査に係る責任者がその業務を適切に遂行するために必要な人員の確保・配置を行っているか。
イ.代表取締役及び取締役会等は、内部監査部門(内部監査を定期的に行うための責任者の指示を受けて内部監査に従事する者を含む。以下Ⅱ-4-2-15-4において同じ。)の独立性を確保し、内部監査が確実に実施されるための態勢を構築しているか(内部監査の進捗が恒常的に遅延する等、改善を要すると見込まれる場合には必要な対応策を講じることや、代表取締役及び取締役会等による検討状況の記録や証跡の保存を行うことを含む。)。
ウ.代表取締役及び取締役会等は、被監査部門におけるリスク管理状況等を踏まえた上で、内部監査計画を承認するとともに、内部監査の結果を踏まえて適切な措置を講じているか。
エ.代表取締役及び取締役会等は、内部監査態勢に関し、所属保険会社等による代理店監査や当局検査等で指摘された問題点を踏まえ、実効性ある態勢整備に積極的に取り組んでいるか。
② 内部監査部門
ア.内部監査部門は、被監査部門に対して十分牽制機能が働くよう独立し、かつ、実効性ある内部監査が実施できる態勢となっているか。
イ.内部監査部門は、被監査部門におけるリスク管理状況等を把握した上で、リスクの種類・程度に応じて、頻度・深度に配慮した効率的かつ実効性ある内部監査計画を立案し、取締役会等の経営陣の承認を得た上で、当該内部監査計画に基づき内部監査を確実に実施しているか。
ウ.内部監査の実施に当たっては、当該内部監査計画に基づく内部監査の進捗状況のほか、内部監査で指摘した重要な事項について遅滞なく代表取締役及び取締役会等に報告しているか。
エ.内部監査部門は、内部監査報告書で指摘した問題点に関して、被監査部門に対し改善策の策定を行わせるとともに、被監査部門等による改善への取組状況を適切に管理し、その記録や証跡等を保存しているか。
オ.内部監査部門は、効率的かつ実効性ある内部監査の実施に向けて、必要に応じて、外部の専門家や保険会社等に意見を求めるとともに、業務運営に反映させているか。
③ 監査役監査
監査役監査を行う場合にあっては、取締役会等(取締役会非設置会社にあっては、代表取締役)による内部監査態勢の構築状況についても業務監査の対象としているか。
(4) 内部通報関係
特定大規模乗合保険募集人は、規則第215条の4第1項第6号又は規則第227条の21第1項第3号に規定する措置に関し、役員又は使用人による保険募集の業務に関する通報及び相談(以下「内部通報等」という。)に応じ、適切に対応するための責任者の設置、社内規則等の整備等を行っているか。
さらに、体制整備の状況については、定期的な検証及び見直しが行われているか。
なお、体制整備にあたっては、内部通報等がなされた事案に係る利害関係者の排除や責任者の独立性の確保等により、内部通報等に対応する業務の独立性・中立性・公正性を確保することや、内部通報等を行った者を特定させる情報の共有は必要最小限にする等により、内部通報等を行った者の探索や不利益な取扱いを防止すること等にも留意する。
(5) 不祥事件の概要等の通知
特定大規模乗合保険募集人は、規則第215条の4第1項第7号又は規則第227条の21第1項第4号に基づき、所属保険会社等が特定大規模乗合保険募集人に委託する業務において発生した不祥事件について、当該所属保険会社等が不祥事件の届出を行ったことを知ったときは、必要に応じて当該所属保険会社等の協力を得つつ、自らの責任において不祥事件の概要を作成し、遅滞なく、不祥事件の届出を行った所属保険会社以外の所属保険会社等(以下「非届出所属保険会社等」という。)の全てに対して通知するとともに、非届出所属保険会社等による照会や調査に適切かつ十分に協力しているか。
さらに、非届出所属保険会社等が当該特定大規模乗合保険募集人に委託する業務において、不祥事件を惹起した者が当該不祥事件と類似の不祥事件を惹起した疑いが認められる場合(注)には、当該非届出所属保険会社等に対し、遅滞なく、上記の概要と併せて不祥事件を惹起した者の氏名及び役職名その他参考となるべき事項を通知するとともに、非届出所属保険会社等による照会や調査に適切かつ十分に協力しているか。
(注) 類似の不祥事件を惹起した疑いの有無については、所属保険会社等の協力も得つつ、組織として適切に検討を実施すること。
なお、上記の「不祥事件を惹起した者の氏名及び役職名その他参考となるべき事項」に係る個人情報等としては、不祥事件を惹起した者に係る個人情報に限定される(注)ことを踏まえ、通知の内容に当該不祥事件を惹起した者以外の個人情報等が含まれていないか、通知の送付先に誤りがないか等を複数名で確認するなどにより、個人情報等の漏えい等の個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十七号)への違反又は抵触が生じないよう、十分に留意する。
(注) 例えば、当該不祥事件の被害者や当該不祥事件を惹起した者の関係者等の氏名等は含まれない。なお、上記の記載はあくまでも個人情報の保護に関する法律にいう「法令に基づく場合」として、規則第215条の4第1項第7号又は規則第227条の21第1項第4号に基づき非届出所属保険会社等への共有が認められる場合を示すものであり、その他の根拠法令に基づき非届出所属保険会社等への共有が認められる場合があることを踏まえ、適法かつ必要な範囲での情報共有が図られるよう、併せて留意する。
また、上記の通知に係る期間・頻度に関しては、例えば、金銭の費消・流用事案(その疑いのある事案を含む)等、顧客の財産に被害が生じ得る事案や犯罪行為のおそれがある事案等、不祥事件の内容や性質によっては被害の拡大防止の観点から非届出所属保険会社等による迅速な伏在調査の実施が必要となる場合もあることから、事案の内容に応じて可能な限り迅速かつ適切な頻度で行うよう努めることとする。
(6) 特定大規模乗合保険募集人に係る要件の確認
特定大規模乗合保険募集人は、自身が規則第215条の3又は同第227条の16に定める要件を満たすか否かを事業年度毎に確認するとともに、その結果を所属保険会社等に対して共有しているか(注)。
(注) なお、手数料等の総額が規則第215条の3第1項及び第2項又は規則第227条の16第1項及び第2項に定める額に満たない事業年度の翌二事業年度の間においても、規則第215条の3第3項又は規則第227条の16第3項に基づき、手数料等の総額に応じて、Ⅱ-4-2-15-1(1)①ア.及びイ.に掲げる区分に従い、特定大規模乗合保険募集人としての措置を講じる必要があることに留意する。
また、要件の確認や、要件に該当する場合の態勢整備に当たっては、特定大規模乗合保険募集人に対する体制整備義務の履行を免れることを目的とした不適切な行為を行わないといった観点にも留意する。
(7) 特定大規模乗合損害保険代理店が講ずべき措置
特定大規模乗合損害保険代理店は、自身の行う業務が規則第53条の14の3に定める業務に該当するかを定期的に確認するとともに、該当する場合には、「Ⅱ-4-2-15-5 兼業特定保険募集人である特定大規模乗合損害保険代理店が講ずべき態勢整備等(規則第227条の20関係)」に掲げる措置を講じるための体制を整備しているか。

Ⅱ-4-2-15-5 兼業特定保険募集人である特定大規模乗合損害保険代理店が講ずべき態勢整備等(規則第227条の20関係)
兼業特定保険募集人である特定大規模乗合損害保険代理店は、規則第227条の20に基づき、当該特定大規模乗合損害保険代理店による自動車修理費等の過大な見積りに基づく保険金不正請求等のように、法第100条の2の2第2項にいう保険募集の業務以外の業務(その所属保険会社等に対する保険金の支払の請求に関するものに限る。以下「対象業務」という。)が、保険金の支払いに不当な影響を及ぼすことがないよう、以下の点も踏まえた態勢を整備しているか。
(1) 対象業務がその保険会社による保険金の支払に不当な影響を及ぼさないよう、その確認・検証を行う責任者(以下、Ⅱ-4-2-15-5において「当該責任者」という。)を設置するとともに、当該責任者の関与の下、以下の観点も含め適切な措置を講じるための体制を整備しているか。
また、上記の体制整備に当たっては、当該責任者がその業務を適切に遂行できるよう、必要な人員の配置を行っているか。
① 自動車の損傷状況や修理内容など、見積額の適切性に係る証跡を適切かつ十分に記録・保存すること。また、当該責任者は、その記録・保存の状況や、修理費等の過大な見積り等の保険金不正請求につながり得る事案がないか、定期的に調査・検証すること。
② 保険会社からの求めに応じて、上記①により記録・保存している証跡を提出し、その内容について適切かつ十分に説明できる体制を整備すること。
(2) 当該責任者が保険金不正請求につながり得る事案を把握した場合には、速やかに保険会社及び取締役会等の経営陣に対して報告を行うとともに、経営陣の適切な指示・関与の下で、以下の観点も含めて適切な措置を講じるための体制を整備しているか。
① 深度ある調査・分析や関係者へのヒアリング等を実施すること。
② 複数回の調査を経ても保険会社との間で見解の相違が存在する場合等には、必要に応じて事案の解明に向けて第三者の関与も含めるなど、透明性・客観性を確保すること。
(3) 規則第227条の20第1項第5号により公表する実施方針の概要については、その趣旨が明確に現れているものとなっているか。
また、公表方法は、例えば、店頭でのポスター掲示やホームページへの掲載など、顧客等に対して十分に伝わる方法となっているか。
(4) 見積額の適切性に係る証跡や(1)①に掲げる定期的な検証に係る記録のほか、(1)及び(2)に掲げる体制整備に係る記録について、規則第227条の20第2項に基づき保存し、その適切性を事後的に検証できる体制を整備しているか。
また、対象業務の全部又は一部を委託する場合であっても、同条に基づく記録の保存も含め、上記(1)及び(2)に係る措置を適切に実施するための外部委託先管理を行う体制を整備しているか。
(5) 対象業務に係る苦情処理体制について、Ⅱ-4-2-15-4(2)と同様の体制を整備しているか。
(6) 対象業務に係る内部監査及び内部通報体制について、それぞれⅡ-4-2-15-4(3)及び(4)と同様の体制を整備しているか。
(7) 上記(1)から(6)に掲げる措置((3)を除く。)に係る社内規則等を策定し、社内に周知しているか。

Ⅱ-4-2-16 兼業特定保険募集人における態勢整備等
保険代理店が、保険会社から支払われる保険金を原資として対価を得る業務を行う場合において、自らの利益を得るために不正な費用を見積り、これによって過大な保険金の支払いが発生する可能性は、兼業特定保険募集人である特定大規模乗合損害保険代理店に限られない。
この観点からは、保険会社から支払われる保険金を原資として対価を得る業務を行う全ての損害保険代理店において、その規模・特性に応じて、「Ⅱ-4-2-15-5 兼業特定保険募集人である特定大規模乗合損害保険代理店が講ずべきその他の体制整備等(規則第227条の20関係)」に準じた態勢整備がなされることが望ましい(注)。
(注) 規模・特性に応じた態勢整備の検討に当たっては、「顧客本位の業務運営に関する原則(特に原則3「利益相反の適切な管理」)を踏まえることも考えられる。

 

特定大規模乗合保険募集人における不祥事件の伏在調査

Ⅱ-4 業務の適切性 Ⅱ-4-2 保険募集管理態勢 Ⅱ-4-2-1 適正な保険募集管理態勢の確立(4) 特定保険募集人等の教育・管理・指導に、以下の④が新設されました。

④ 特定大規模乗合生命保険募集人及び特定大規模乗合損害保険代理店(以下「特定大規模乗合保険募集人」という。)において発生した不祥事件については、規則第215条の4第1項第7号又は規則第227条の21第1項第4号に基づき、不祥事件の届出を行った所属保険会社等以外の所属保険会社等(以下「非届出所属保険会社等」という。)の全てに対してその概要が通知されるとともに、当該非届出所属保険会社等が当該特定大規模乗合保険募集人に委託する業務において、不祥事件を惹起した者が当該不祥事件と類似の不祥事件を惹起した疑いが認められる場合には、当該非届出所属保険会社等に対して不祥事件を惹起した者の氏名及び役職名その他参考となるべき事項が通知されることを踏まえ、当該特定大規模乗合保険募集人からの通知に基づき、必要に応じて伏在調査等を適切に行っているか。

Ⅲ-2 保険業法等に係る事務処理 Ⅲ-2-16 不祥事件等に対する監督上の対応(3)業務の適切性の検証② 保険募集人に関する不祥事件等届出書の場合 アおよびイに、次の(キ)が追加されました。

(キ)特定大規模乗合保険募集人において発生した不祥事件については、規則第215条の4第1項第7号又は規則第227条の21第1項第4号に基づき、不祥事件の届出を行った所属保険会社等以外の所属保険会社等(以下「非届出所属保険会社等」という)が委託する業務において、不祥事件を惹起した者が当該不祥事件と類似の不祥事件を惹起した疑いが認められる場合には、非届出所属保険会社等に対して不祥事件を惹起した者の氏名及び役職名その他参考となるべき事項を通知する必要があることを踏まえ、伏在調査が確実かつ適切に行われているか(保険会社による必要に応じた伏在調査の実施を含む)。

 

保険仲立人の不祥事件等に対する監督上の対応

Ⅴ-7 不祥事件等に対する監督上の対応 が新設されました。

Ⅴ-7 不祥事件等に対する監督上の対応
不祥事件等に対する監督上の対応については、以下のとおり取り扱うこととする。
(1) 不祥事件等の発覚の第一報
保険仲立人として登録されている者又はそれらの役員若しくは使用人(以下、Ⅴ-7において「保険仲立人」という。)において不祥事件等が発覚し、第一報があった場合は、以下の点を確認することとする。
なお、保険仲立人から第一報がなく、不祥事件等届出書の提出があった場合にも、同様の取扱いとする。
① 本部等の事務部門、内部監査部門への迅速な報告及び社内規則等に基づく取締役会等への報告を行っているか。
② 刑罰法令に抵触している恐れのある事実については、警察等関係機関等へ通報しているか。
③ 事件とは独立した部署(内部監査部門等)での事件の調査・解明を実施しているか。
(2) 不祥事件等届出書の受理
① 保険仲立人が、規則第220条第4項各号のいずれかに該当する行為を行った場合は、当該保険仲立人から当該保険仲立人の主たる事務所の所在地を管轄する財務局長等宛の不祥事件等届出書を当該財務局等が受理することとする。
なお、当該不祥事件等届出書を受理した財務局等においては、当該不祥事件等届出書の内容及び受理件数について1ヵ月分を取りまとめの上、翌月10日までに保険課宛て報告することとする。
ただし、財務局等において緊急性が認められると判断するときは、随時、保険課宛て報告することとする。
② 不祥事件等届出書の受理にあたっての確認事項は、以下のとおりとする。
ア.規則220条第1項第3号の規定に基づく不祥事件届出書については、保険仲立人が不祥事件の発生を知った日から30日以内に提出するものとするが、当該不祥事件等届出書の受理時においては、法令の規定に基づき届出が適切に行われているかを確認することとする。
イ.保険契約者等の判断に重要な影響を与えるような場合であるにもかかわらず、保険仲立人が公表していない場合には、公表の検討が適切に行われているかを確認することとする。
(3) 業務の適切性の検証
不祥事件と業務の適切性の関係については、以下の着眼点に基づき検証することとし、また、Ⅲ-4-1なお書き①②の要因も踏まえたものとする。
なお、検証にあたっては、保険仲立人の規模や業務の特性、不祥事件の内容等を踏まえるものとする。
① 法人である保険仲立人の不祥事件等届出書の場合
ア.当該事件に役員は関与していないか、組織的な関与は認められないか。また、経営者の責任の明確化が図られているか。
イ.事実関係の真相究明、同様の問題が他の事務所等で生じていないかの確認・検証及び監督者を含めた責任の追及が厳正に行われているか。
ウ.事実関係を踏まえた原因分析により、実効性のある再発防止への取組みが適時適切に行われているか。特に、発生原因が保険仲立人固有の問題である場合は、保険仲立人自身において上記取組みが適時適切に行われているか。
エ.内部牽制機能が適切に発揮されているか。
オ.役員及び使用人に対する教育・管理・指導は十分か。
カ.当該事件の発覚後の対応が適切か。特に、同様又は類似の発生原因により当該保険仲立人の取り扱う他の保険契約等に被害が生じている可能性を踏まえた伏在調査が適切に行われているか。また、必要に応じて関係先への情報共有が適時・適切になされているか。
② 個人である保険仲立人の不祥事件等届出書の場合
ア.事実関係の真相究明、同様の問題が生じていないかの確認・検証及び監督者を含めた責任の追及が厳正に行われているか。
イ.事実関係を踏まえた原因分析により、実効性のある再発防止への取組みが適時適切に行われているか。
ウ.使用人を雇用している場合には、使用人に対する教育・管理・指導は十分か。
エ.当該事件の発覚後の対応が適切か。特に、同様又は類似の発生原因により当該保険仲立人の取り扱う他の保険契約等に被害が生じている可能性を踏まえた伏在調査が適切に行われているか。また、必要に応じて関係先への情報共有が適時・適切になされているか。
(4) 監督上の措置
不祥事件等届出書の提出があった場合には、以下の措置を講じることとする。
① 財務局等においては、事実関係、発生原因分析、改善・対応策等について、規則第220条第4項各号のいずれかに該当する行為を行った保険仲立人に対してヒアリングを実施する。
また、当該保険仲立人における同様の事案の発生状況等ヒアリングの結果も踏まえ、必要に応じて、当該保険仲立人に対して法第305条に基づき報告を求め、さらに、重大な問題があると認められる場合には、法第306条又は第307条に基づき行政処分を行うこととする。
なお、財務局等においては、適宜、金融庁との密接な連携に努めるものとする。
② 財務局等においては、規則第220条第4項各号のいずれかに該当する行為を行った保険仲立人の業務を行う区域が、他の財務局等の管轄区域に及び、当該他の財務局等の管轄区域内での被害等が想定される等、必要性が認められる場合には、当該他の財務局等に情報提供する等、密接な連携に努めるものとする。また、連携を行った場合には、保険課に対して報告を行うこととする。
③ 金融庁においては、規則第220条第4項各号に規定される行為の発生状況等を分析し、同様の事案が全国的に多発している傾向が見られる等、必要性が認められる場合には、財務局等に対して情報提供することとする。
(5) 標準処理期間
不祥事件等届出書に係る法第305条に基づく報告徴求や法第306条又は第307条に基づく行政処分を行う場合は、当該不祥事件等届出書(第305条に基づく報告徴求を行った場合は、当該報告書)の受理の日から原則として概ね1ヵ月(財務局等が金融庁への連携や保険仲立人に対して直接ヒアリングを行う場合は概ね2ヵ月)以内を目途に行うこととする。

 

 

保険業法施行規則等改正案(2025年)

金融庁は、2025年12月17日に「令和7年保険業法改正に係る内閣府令(案)等に対するパブリックコメントの実施について」にて、保険業法施行令の改正案を公表しました。
 

改正内容

主な改正内容は次の6点です。

  1. 特定大規模乗合保険募集人(特定大規模乗合生命保険募集人及び特定大規模乗合損害保険代理店)に対する体制整備義務の強化(保険募集の業務関連)
    1. 特定大規模乗合保険募集人の要件
    2. 営業所又は事務所ごとの法令等遵守責任者の設置
    3. 本店又は主たる事務所への法令等遵守責任者を指揮する者(統括責任者)の設置
    4. 苦情処理体制の整備
  2. 特定大規模乗合損害保険代理店に対する体制整備義務の強化(兼業業務関連)
    1. 対象となる特定大規模乗合損害保険代理店
    2. 兼業業務に係る体制整備等
    3. 苦情処理体制の整備
    4. 内部監査・社内通報等に関する体制の整備
  3. 保険会社等に対する体制整備義務の強化
    1. 特定大規模乗合保険募集人に業務を委託する場合の措置
    2. 兼業業務を行う特定保険募集人(兼業特定保険募集人)に関して損害保険会社に求める措置
  4. 保険会社等による保険契約者等への過度な便宜供与の禁止
    1. 保険契約者又は被保険者と密接な関係を有する者を規制対象に拡充
  5. 保険仲立人の活用促進に向けた対応等
    1. 海外直接付保に関する手続き及び海外直接付保の許可に係る保険媒介における保険仲立人の活用
    2. 保険仲立人の不祥事件の届出義務の新設に伴う届出事項等の整備
  6. 乗合代理店における適切な比較推奨販売の確保
    1. 情報の提供に係る規定の改正

 

特定大規模乗合保険募集人に対する体制整備義務の強化(保険募集の業務関連)

特定大規模乗合保険募集人とは、特定大規模乗合生命保険募集人と特定大規模乗合損害保険代理店を指すとのことであり、新たな規定が設けられました。

特定大規模乗合生命保険募集人の要件

特定大規模乗合損害保険代理店の方は後で出てくるので、ここでは特定大規模乗合生命保険募集人の方のみ記載します。第215条の3が次のとおり新設されました。

(特定大規模乗合生命保険募集人の要件)
第215条の3 令第40条に規定する内閣府令で定める額は、20億円(第3項の規定が適用される場合にあっては、10億円)とする。
2 令第40条に規定する内閣府令で定める要件は、次の各号のいずれかに該当することとする。
一 当該生命保険募集人が損害保険代理店でない場合にあっては、当該事業年度の直前の事業年度(次号及び次項において「判定事業年度」という。)における二以上の所属生命保険会社等(所属保険会社等のうち生命保険会社又は外国生命保険会社等をいう。同号、第227条の16第2項第2号ロ及び第236条の2第1号において同じ。)から保険募集の業務(法第294条の3第1項に規定する保険募集の業務をいう。以下この編において同じ。)に関して受領した手数料、報酬その他の対価(次号において「手数料等」という。)の額が前項に規定する額以上であること。
二 当該生命保険募集人が損害保険代理店である場合にあっては、判定事業年度における二以上の所属生命保険会社等から保険募集の業務に関して受領した手数料等の額が10億円以上であり、かつ、次のイ及びロに掲げる額の総額が前項に規定する額以上であること。
イ 当該手数料等の額
ロ 判定事業年度における二以上の所属損害保険会社等(所属保険会社等のうち損害保険会社又は外国損害保険会社等をいう。第227条の16第2項及び第236条の2第2号において同じ。)から保険募集の業務に関して受領した手数料等の額
3 当該事業年度(以下この項において「対象事業年度」という。)に係る判定事業年度において前項各号のいずれかに該当する生命保険募集人は、対象事業年度の翌事業年度及び翌々事業年度に係る各判定事業年度において同項各号のいずれにも該当しない場合であっても、第236条の2第1号ロに該当するとき(当該翌々事業年度に係る判定事業年度にあっては、当該翌事業年度に係る判定事業年度において同号ロに該当したときに限る。)は、当該各判定事業年度において同項各号のいずれかに該当するものとみなす。

営業所又は事務所ごとの法令等遵守責任者の設置

特定大規模乗合損害保険代理店においては、新設された第227条の17にて次のとおり規定されました。

(特定大規模乗合損害保険代理店における法令等遵守責任者の設置)
第227条の17 特定大規模乗合損害保険代理店は、法令等遵守責任者(法第294条の4第1号に規定する法令等遵守責任者をいう。以下この条において同じ。)を、次の各号に掲げるところにより設置しなければならない。
一 新たに特定大規模乗合損害保険代理店に該当することとなった日から起算して六月以内に法令等遵守責任者を設置すること。
二 法令等遵守責任者として設置した者が欠けるに至ったときは、当該事由が発生した日から起算して三月以内に新たに法令等遵守責任者を設置すること。
三 法令等遵守責任者は、その業務を的確に遂行するに足りる能力を有する者であること。
四 法令等遵守責任者は、他の営業所又は事務所の法令等遵守責任者でないこと。ただし、法令等遵守責任者としての業務の実施に支障を及ぼすおそれがない場合は、この限りでない。

特定大規模乗合生命保険募集人においては、新設された第215条の4第1号にて次のとおり規定されました。

(特定大規模乗合生命保険募集人の業務運営に関する措置)
第215条の4 令第40条に規定する法第294条の4各号に掲げる措置に相当するものとして内閣府令で定める措置は、次に掲げる措置とする。
一 保険募集の業務を行う営業所又は事務所ごとに、当該営業所又は事務所において保険募集の業務を行う役員又は使用人に対し、これらの者が法令等(法令、法令に基づく行政官庁の処分又は定款その他の規則をいう。次号において同じ。)を遵守して保険募集の業務を実施するため必要な助言又は指導を行う者(以下この号において「法令等遵守責任者」という。)を、次に掲げるところにより設置すること。
イ 新たに特定大規模乗合生命保険募集人に該当することとなった日から起算して六月以内に法令等遵守責任者を設置すること。
ロ 法令等遵守責任者として設置した者が欠けるに至ったときは、当該事由が発生した日から起算して三月以内に新たに法令等遵守責任者を設置すること。
ハ 法令等遵守責任者は、その業務を的確に遂行するに足りる能力を有する者であること。
ニ 法令等遵守責任者は、他の営業所又は事務所の法令等遵守責任者でないこと。ただし、法令等遵守責任者としての業務の実施に支障を及ぼすおそれがない場合は、この限りでない。

本店又は主たる事務所への法令等遵守責任者を指揮する者(統括責任者)の設置

特定大規模乗合損害保険代理店においては、新設された第227条の18にて次のとおり規定されました。

(特定大規模乗合損害保険代理店における統括責任者の設置)
第227条の18 特定大規模乗合損害保険代理店は統括責任者(法第294条の4第2号の助言又は指導を行う者をいう。以下この条において同じ。)を、次の各号に掲げるところにより設置しなければならない。
一 新たに特定大規模乗合損害保険代理店に該当することとなった日から起算して六月以内に統括責任者を設置すること。
二 統括責任者として設置した者が欠けるに至ったときは、当該事由が発生した日から起算して三月以内に新たに統括責任者を設置すること。
三 統括責任者は、次に掲げる要件のいずれにも該当する者であること。
イ 統括責任者としての業務を的確に遂行するに足りる能力を有すること。
ロ 統括責任者としての業務を適切に実施することができる管理的又は監督的地位にあること。
ハ 保険募集に現に従事していないこと。
ニ 第215条の4第1項第1号又は前条に規定する法令等遵守責任者でないこと。

特定大規模乗合生命保険募集人においては、新設された第215条の4第2号にて次のとおり規定されました。

(特定大規模乗合生命保険募集人の業務運営に関する措置)
第215条の4 令第40条に規定する法第294条の4各号に掲げる措置に相当するものとして内閣府令で定める措置は、次に掲げる措置とする。
二 本店又は主たる事務所に、前号に規定する法令等遵守責任者を指揮するとともに、特定大規模乗合生命保険募集人の役員又は使用人に対し、これらの者が法令等を遵守して保険募集の業務を実施するため必要な助言又は指導を行う者(以下この号において「統括責任者」という。)を、次に掲げるところにより設置すること。
イ 新たに特定大規模乗合生命保険募集人に該当することとなった日から起算して六月以内に統括責任者を設置すること。
ロ 統括責任者として設置した者が欠けるに至ったときは、当該事由が発生した日から起算して三月以内に新たに統括責任者を設置すること。
ハ 統括責任者は、次に掲げる要件のいずれにも該当する者であること。
(1) 統括責任者としての業務を的確に遂行するに足りる能力を有すること。
(2) 統括責任者としての業務を適切に実施することができる管理的又は監督的地位にあること。
(3) 保険募集に現に従事していないこと。
(4) 前号又は第227条の17に規定する法令等遵守責任者でないこと。

苦情処理体制の整備

特定大規模乗合損害保険代理店においては、後で出てくるので、ここでは省略します。
特定大規模乗合生命保険募集人においては、新設された第215条の4第3号にて次のとおり規定されました。

(特定大規模乗合生命保険募集人の業務運営に関する措置)
第215条の4 令第40条に規定する法第294条の4各号に掲げる措置に相当するものとして内閣府令で定める措置は、次に掲げる措置とする。
三 次に掲げるところにより、その行う保険募集の業務に係る苦情の適切かつ迅速な処理を確保すること。
イ 苦情の適切かつ迅速な処理を確保するために必要な措置として、次に掲げる措置を講ずること。
(1) 苦情を受け付けたときは、遅滞なく、当該苦情に係る事項の原因を究明すること。
(2) (1)の規定による原因の究明の結果に基づき、改善が必要な場合には、所要の措置を講ずること。
(3) 苦情を申し立てた者から求めがあった場合には、(1)の規定による原因の究明の結果及び(2)の規定により講じた措置について説明を行うこと。
(4) 苦情を受け付けるための窓口を設置し、その連絡先を公表すること。
ロ イ(1)から(4)までの規定により苦情を処理したときは、次に掲げる事項を記載した記録を作成し、その作成の日から五年間保存すること。
(1) 苦情を申し立てた者の氏名及び連絡先(氏名又は連絡先が明らかでない場合は、その旨)
(2) 苦情を受け付けた日時及び場所並びに苦情を受け付けた者の氏名
(3) 苦情の内容
(4) 苦情に係る事項の原因の究明のための調査の内容及び結果
(5) 苦情の受付から申し立てた者への説明に至るまでのやり取りの経緯
(6) イ(2)の規定により講じた措置の内容
(7) イ(3)の規定により苦情を申し立てた者に説明したときは、当該者に説明した内容及び日時ハイ及びロの措置に関する社内規則等(社内規則その他これに準ずるものをいう。第5号及び第6号において同じ。)を整備すること。

 

特定大規模乗合損害保険代理店に対する体制整備義務の強化(兼業業務関連)

対象となる特定大規模乗合損害保険代理店

新設された第227条の16にて次のとおり規定されました。

(特定大規模乗合損害保険代理店の要件)
第227条の16 法第294条の4に規定する内閣府令で定める額は、20億円(第3項の規定が適用される場合にあっては、10億円)とする。
2 法第294条の4に規定する内閣府令で定める要件は、次の各号のいずれかに該当することとする。
一 当該損害保険代理店が生命保険募集人でない場合にあっては、当該事業年度の直前の事業年度(次号及び次項において「判定事業年度」という。)における二以上の所属損害保険会社等から保険募集の業務に関して受領した手数料、報酬その他の対価(同号において「手数料等」という。)の額が前項に規定する額以上であること。
二 当該損害保険代理店が生命保険募集人である場合にあっては、判定事業年度における二以上の所属損害保険会社等から保険募集の業務に関して受領した手数料等の額が10億円以上であり、かつ、次のイ及びロに掲げる額の総額が前項に規定する額以上であること。
イ 当該手数料等の額
ロ 判定事業年度における二以上の所属生命保険会社等から保険募集の業務に関して受領した手数料等の額
3 当該事業年度(以下この項において「対象事業年度」という。)に係る判定事業年度において前項各号のいずれかに該当する損害保険代理店は、対象事業年度の翌事業年度及び翌々事業年度に係る各判定事業年度において同項各号のいずれにも該当しない場合であっても、第236条の2第2号ロに該当するとき(当該翌々事業年度に係る判定事業年度にあっては、当該翌事業年度に係る判定事業年度において同号ロに該当したときに限る。)は、当該各判定事業年度において同項各号のいずれかに該当するものとみなす。

兼業業務に係る体制整備等

新設された第227条の20にて次のとおり規定されました。

(特定大規模乗合損害保険代理店における保険募集の業務以外の業務により顧客の利益が害されることを防止するための措置)
第227条の20 法第294条の4第4号イに規定する内閣府令で定める措置は、次に掲げる措置とする。
一 対象業務(当該特定大規模乗合損害保険代理店が行う保険募集の業務以外の業務(保険金の支払の請求に関するものに限る。次条第1項第6号において同じ。)をいう。以下この項において同じ。)を特定するための体制の整備
二 対象業務がその所属保険会社等による保険金の支払に不当な影響を及ぼさないよう適切に監視すること。
三 前号の監視のための責任者の設置、社内規則等(社内規則その他これに準ずるものをいう。)の整備その他の体制の整備
四 対象業務の全部又は一部を委託する場合は、その委託先の監督に際して、当該特定大規模乗合損害保険代理店又はその所属保険会社等が行う保険関連業務に係る顧客の利益が不当に害されることを防止するための体制の整備
五 第2号から前号までに掲げる措置の実施の方針の策定及びその概要の適切な方法による公表
六 次に掲げる記録の保存
イ 第1号の体制の下で実施した対象業務の特定に係る記録
ロ 第2号の対象業務の監視に係る記録
ハ 第3号及び4四号の体制の整備に係る記録
2 前項第6号に規定する記録は、その作成の日から五年間保存しなければならない。
3 第1項の規定にかかわらず、同項(第6号を除く。)の措置にあっては、新たに特定大規模乗合損害保険代理店に該当することとなった日から起算して六月間は、当該措置を講じなくてもよい。

苦情処理体制の整備

新設された第227条の19にて次のとおり規定されました。

(特定大規模乗合損害保険代理店における苦情の処理に関する措置)
第227条の19 法第294条の4第3号及び第4号ロに規定する内閣府令で定める措置は、次に掲げるものとする。
一 苦情を受け付けたときは、遅滞なく、当該苦情に係る事項の原因を究明すること。
二 前号の規定による原因の究明の結果に基づき、改善が必要な場合には、所要の措置を講ずること。
三 苦情を申し立てた者から求めがあった場合には、第1号の規定による原因の究明の結果及び前号の規定により講じた措置について説明を行うこと。四 苦情を受け付けるための窓口を設置し、その連絡先を公表すること。
2 特定大規模乗合損害保険代理店は、前項各号の規定により苦情を処理したときは、次に掲げる事項を記載した記録を作成し、その作成の日から五年間保存しなければならない。
一 苦情を申し立てた者の氏名及び連絡先(氏名又は連絡先が明らかでない場合は、その旨)
二 苦情を受け付けた日時及び場所並びに苦情を受け付けた者の氏名
三 苦情の内容
四 苦情に係る事項の原因の究明のための調査の内容及び結果
五 苦情の受付から申し立てた者への説明に至るまでのやり取りの経緯
六 前項第2号の規定により講じた措置の内容
七 前項第3号の規定により苦情を申し立てた者に説明したときは、当該者に説明した内容及び日時
3 特定大規模乗合損害保険代理店は、前2項の措置に関する社内規則等(社内規則その他これに準ずるものをいう。)を整備しなければならない。
4 第1項及び前項の規定にかかわらず、第1項及び前項の措置にあっては、新たに特定大規模乗合損害保険代理店に該当することとなった日から起算して六月間は、当該措置を講じなくてもよい。

内部監査・社内通報等に関する体制の整備

新設された第227条の21にて次のとおり規定されました。

(その他特定大規模乗合損害保険代理店の業務運営に関する措置)
第227条の21 法第294条の4第5号に規定する内閣府令で定める措置は、次に掲げる措置とする。
一 保険募集の公正を確保するため、保険募集に係る保険契約の引受けを行う保険会社の商号又は名称の明示、保険契約の締結に当たり顧客が自主的な判断を行うために必要と認められる情報の提供その他の事項に関する指針を定め、公表し、その実施のために必要な措置を講ずること。
二 保険募集の業務に係る内部監査を定期的に行うための責任者の設置、社内規則等(社内規則その他これに準ずるものをいう。次号及び第6号において同じ。)の整備その他の体制の整備
三 特定大規模乗合損害保険代理店の役員又は使用人による保険募集の業務に係る通報及び相談に応じ、適切に対応するための責任者の設置、社内規則等の整備その他の体制の整備
四 特定大規模乗合損害保険代理店は、所属保険会社等が当該特定大規模乗合損害保険代理店に委託する業務において発生した不祥事件(第85条第8項、第166条第4項及び第211条の55第4項に規定する不祥事件をいい、特定大規模乗合損害保険代理店に該当することとなった日以後に発生したものに限る。以下この号において同じ。)について、当該所属保険会社等が第85条第1項第25号、第166条第1項第7号又は第211条の55第1項第14号の規定による不祥事件の届出を行ったことを知ったときは、遅滞なく、当該所属保険会社等を除く当該特定大規模乗合損害保険代理店の所属保険会社等(以下この号において「非届出所属保険会社等」という。)の全てに対して、当該不祥事件の概要を通知するとともに、当該非届出所属保険会社等が当該特定大規模乗合損害保険代理店に委託する業務において、当該不祥事件を惹起した者が当該不祥事件と類似の不祥事件を惹起した疑いがあると思料するときは、当該非届出所属保険会社等に対し、遅滞なく、当該不祥事件を惹起した者の氏名及び役職名その他参考となるべき事項を通知すること。
五 次のイ又はロに掲げる場合の区分に応じ、当該イ又はロに定める者に対し、遅滞なく、特定大規模乗合損害保険代理店である旨を通知すること。
イ 新たに特定大規模乗合損害保険代理店に該当することとなったとき当該特定大規模乗合損害保険代理店の全ての所属保険会社等
ロ 特定大規模乗合損害保険代理店が新たに所属保険会社等を有することとなったとき当該所属保険会社等
六 兼業特定保険募集人である特定大規模乗合損害保険代理店にあっては、次に掲げる措置
イ 保険募集の業務以外の業務に係る内部監査を定期的に行うための責任者の設置、社内規則等の整備その他の体制の整備
ロ 特定大規模乗合損害保険代理店の役員又は使用人による保険募集の業務以外の業務に係る通報及び相談に応じ、適切に対応するための責任者の設置、社内規則等の整備その他の体制の整備
2 前項の規定にかかわらず、同項各号(第4号及び第5号を除く。)に掲げる措置にあっては、新たに特定大規模乗合損害保険代理店に該当することとなった日から起算して六月間は、当該措置を講じなくてもよい。

 

保険会社等に対する体制整備義務の強化

特定大規模乗合保険募集人に業務を委託する場合の措置

第53条の13および第53条の13の2に次のとおり新たな規定が設けられました。

(委託方針の策定)
第53条の13 生命保険会社は、特定大規模乗合生命保険募集人(生命保険募集人のうち、二以上の所属保険会社等を有する法人(法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めのあるものを含む。)であって各事業年度における所属保険会社等から保険募集の業務(法第294条の3第1項に規定する保険募集の業務をいう。第53条の14の2第1項第1号及び第133条の5第1項第1号において同じ。)に関して受領した手数料、報酬その他の対価の額が第215条の3第1項に規定する額以上であることその他同条第2項各号のいずれか又は第3項の規定に該当するものをいう。以下同じ。)に保険募集を行わせるときは、当該特定大規模乗合生命保険募集人による保険募集の事業の規模を背景とする当該生命保険会社に対する影響力により当該生命保険会社の業務の健全かつ適切な運営及び公正な保険募集が損なわれることのないよう、当該特定大規模乗合生命保険募集人から第215条の4第1項第8号に規定する通知を受けた日から起算して一月以内に、当該特定大規模乗合生命保険募集人への委託に関して方針を定めなければならない。
2 損害保険会社は、特定大規模乗合損害保険代理店(法第294条の4に規定する特定大規模乗合損害保険代理店をいう。以下同じ。)に保険募集を行わせるときは、当該特定大規模乗合損害保険代理店による保険募集の事業の規模を背景とする当該損害保険会社に対する影響力により当該損害保険会社の業務の健全かつ適切な運営及び公正な保険募集が損なわれることのないよう、当該特定大規模乗合損害保険代理店から第227条の21第1項第五号に規定する通知を受けた日から起算して一月以内に、当該特定大規模乗合損害保険代理店への委託に関して方針を定めなければならない。

(管理責任者の設置)
第53条の13の2 生命保険会社は、特定大規模乗合生命保険募集人に保険募集を行わせるときは、当該特定大規模乗合生命保険募集人の業務の適切な運営を確保するため、当該特定大規模乗合生命保険募集人から第215条の4第1項第8号に規定する通知を受けた日から起算して一月以内に、当該特定大規模乗合生命保険募集人における法その他保険募集に係る法令等(法令又は法令に基づく行政官庁の処分をいう。次項において同じ。)の遵守状況を検証するための責任者を設置しなければならない。
2 損害保険会社は、特定大規模乗合損害保険代理店に保険募集を行わせるときは、当該特定大規模乗合損害保険代理店の業務の適切な運営を確保するため、当該特定大規模乗合損害保険代理店から第227条の21第1項第5号に規定する通知を受けた日から起算して一月以内に、当該特定大規模乗合損害保険代理店における法その他保険募集に係る法令等の遵守状況を検証するための責任者を設置しなければならない。

兼業業務を行う特定保険募集人(兼業特定保険募集人)に関して損害保険会社に求める措置

新設された第53条の14の2にて次のとおり規定されました。なお、外国損害保険会社等に対する規定は、これと同様のものが第133条の5に規定されています。

第53条の14の2 損害保険会社は、対象保険募集人(当該損害保険会社を所属保険会社等とする兼業特定保険募集人(法第100条の2の2第2項に規定する兼業特定保険募集人をいう。以下同じ。)をいう。以下この項において同じ。)が行う取引に伴い、当該損害保険会社又は対象保険募集人が行う保険関連業務に係る顧客(対象保険募集人にあっては、当該損害保険会社から委託を受けた業務に係る顧客に限る。)の利益が不当に害されることのないよう、次に掲げる措置(当該対象保険募集人から第227条の21第1項第5号に規定する通知を受けた日(当該損害保険会社を所属保険会社等とする特定大規模乗合損害保険代理店が新たに兼業特定保険募集人に該当することとなった場合にあっては、当該損害保険会社がその事実を知った日)から起算して三月を経過する日までの間においては、第5号(イ及びロに係る部分に限る。)に掲げる措置を除く。)を講じなければならない。
一 対象保険募集人が行う保険募集の業務以外の業務(次条に規定する業務に限る。第133条の5第1項第1号、第227条の20第1項第1号及び第227条の21第1項第6号において同じ。)のうち、当該業務に関して当該損害保険会社が次号から第5号まで及び次項に規定する措置を講ずべき業務(第4号イ及び第5号イにおいて「対象業務」という。)を特定するための体制の整備
二 当該損害保険会社における保険金の支払に関する業務を行う部門と対象保険募集人と保険募集に関して取引を行う部門を適切に分離する方法その他の方法により保険金の支払に関する業務の公正かつ適切な実施を確保するための体制の整備
三 前号に掲げる措置の実施の方針の策定及びその概要の適切な方法による公表
四 次に掲げる記録の保存
イ 第1号の体制の下で実施した対象業務を特定するための措置に係る記録
ロ 第2号の体制の下で実施した保険金の支払に関する業務の公正かつ適切な実施を確保するための措置に係る記録
五 対象保険募集人が特定大規模乗合損害保険代理店である場合にあっては、次に掲げる措置
イ 対象業務に関して当該対象保険募集人が講ずる措置(法第294条の4第4号に掲げるもの及び第227条の21第1項第6号に掲げるものに限る。ロにおいて同じ。)の状況を監視するための体制の整備
ロ イの体制の下で実施した監視により、当該対象保険募集人が講ずる措置の適切性に疑義が生じた場合にあっては、当該対象保険募集人が関与する保険金の支払の請求に関する保険金の支払査定の手続を通常よりも厳格に行う方法その他の方法により保険金の支払に関する業務の公正かつ適切な実施を確保するための体制の整備
ハ イ及びロに掲げる措置の実施の方針の策定並びにその概要の適切な方法による公表
ニ 次に掲げる記録の保存
(1) イの体制の下で実施した特定大規模乗合損害保険代理店が講ずる措置の状況を監視するための措置に係る記録
(2) ロの体制の下で実施した保険金の支払に関する業務の公正かつ適切な実施を確保するための措置に係る記録
2 前項第4号及び第5号ニに規定する記録は、その作成の日から五年間保存しなければならない。

 

保険会社等による保険契約者等への過度な便宜供与の禁止

保険契約者又は被保険者と密接な関係を有する者を規制対象に拡充

新設された第232条の2にて次のとおり規定されました。

(保険契約者又は被保険者と密接な関係を有する者)
第232条の2 法第300条第1項第5号及び第8号、第301条各号並びに第301条の2各号に規定する内閣府令で定める密接な関係を有する者は、次に掲げる者とする。
一 当該保険契約者又は被保険者(法人である者に限る。以下この条において同じ。)の役員又は使用人(当該法人と実質的に同一と認められる者に限る。)
二 当該保険契約者又は被保険者の子法人等
三 当該保険契約者又は被保険者を子法人等(令第13条の5の2第3項後段の規定により子法人等とみなされる者を除く。次号及び第5号において同じ。)とする親法人等(同項後段の規定により親法人等とみなされる者を除く。次号及び第5号において同じ。)
四 当該保険契約者又は被保険者を子法人等とする親法人等の親法人等
五 当該保険契約者又は被保険者を子法人等とする親法人等の子法人等(当該保険契約者又は被保険者を除く。)
六 当該保険契約者又は被保険者の総株主等の議決権の100分の50を超える議決権を保有する個人(第1号に掲げる者を除く。)

 

保険仲立人の活用促進に向けた対応等

海外直接付保に関する手続き及び海外直接付保の許可に係る保険媒介における保険仲立人の活用

第212条の6に、次のとおり第4号が追加されました。

(保険仲立人等が保険募集を行うことのできる外国保険会社等以外の外国保険業者に係る保険契約)
第212条の6 令第39条の2に規定する内閣府令で定める保険契約は、次に掲げるものとする。
一 宇宙空間への打上げ、当該打上げに係る運送貨物(衛星を含む。)及び当該貨物を運送する手段並びにこれらのものから生ずる責任のいずれか又はすべてを対象とする保険契約
二 国際海上運送に使用される船舶又は商業航空に使用される航空機及びこれらにより国際間で運送中の貨物並びにこれらのものから生ずる責任のいずれか又はすべてを対象とする保険契約(令第19条第2号及び第3号に掲げるものを除く。)
三 国際間で運送中の貨物を対象とする保険契約(令第19条第2号及び第3号並びに前号に掲げるものを除く。)(薄)

四 法第186条第2項の規定による許可に係る保険契約

保険仲立人の不祥事件の届出義務の新設に伴う届出事項等の整備

第220条の第1項第3号、第3項、第4項に保険仲立人に関する内容が次のとおり追加されました。

(変更等の届出)
第220条 法第290条第1項の規定による届出をしようとする者は、次の各号に掲げる場合に応じ当該各号に定める届出書を金融庁長官に提出しなければならない。
[一・二 略]
三 当該届出が第3項に規定する不祥事件に係るものである場合当該不祥事件の概要その他の事項を記載した届出書
2[略]
3 法第290条第1項第8号に規定する内閣府令で定めるときは、不祥事件が発生したことを知ったときとし、同号に規定する内閣府令で定める者は、当該保険仲立人とする。
4 前項に規定する不祥事件とは、保険仲立人である個人又は保険仲立人である法人の役員若しくは使用人が次の各号のいずれかに該当する行為を行ったことをいう。
一 保険仲立人の業務を遂行するに際しての詐欺、横領、背任その他の犯罪行為
二 出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律に違反する行為
三 法第294条第1項、第294条の2若しくは第300条第1項の規定、法第300条の2において準用する金融商品取引法第38条第3号から第6号まで若しくは第9号若しくは第39条第1項の規定若しくは第234条の21の2第1項の規定に違反する行為又は法第307条第1項第3号に該当する行為
四 現金、手形、小切手又は有価証券その他有価物の紛失のうち、保険仲立人の業務の特性、規模その他の事情を勘案し、当該業務の管理上重大な紛失と認められるもの
五 海外で発生した前各号に掲げる行為又はこれに準ずるもので、発生地の監督当局に報告したもの
六 その他保険仲立人の業務の健全かつ適切な運営に支障を来す行為又はそのおそれのある行為であって前各号に掲げる行為に準ずるもの

 

乗合代理店における適切な比較推奨販売の確保

情報の提供に係る規定の改正

第227条の2(情報の提供)第3項第4号のハおよび第234条の21の2(情報の提供)第1項第2号のハが削除されました。なお、そのハは、いずれも次のとおりです。

ハ 二以上の所属保険会社等が引き受ける保険に係る二以上の比較可能な同種の保険契約の中からロの規定による選別をすることなく、提案契約の提案をしようとする場合当該提案の理由

 

 

損保協会 企業向けリスクマネジメントセミナー(第2回)パネルディスカッション

日本損害保険協会は、2025年11月19日に第2回 企業向けリスクマネジメントセミナーを開催し、その内容を YouTube で公開しました。
 動画URL:https://youtu.be/F4RgeRLmxxE
mikio-tsujita.hatenadiary.org
このセミナーで実施された内容は、次の3つです。

基調講演 VUCA時代の不確実性をどう乗り越えるか 経済産業省 経済産業政策局 産業資金課
課長補佐 江原 望 氏
講演 日本企業のリスクマネジメント・保険購買の高度化に向けた展望と課題 慶應義塾大学 商学部
教授 柳瀬 典由 氏
パネルディスカッション 企業価値向上を実現するリスクマネジメントとは 慶應義塾大学 商学部
教授 柳瀬 典由 氏
キリンホールディングス株式会社 財務戦略部
主査 菅 雄一郎 氏
一般社団法人 日本保険仲立人協会
理事長 平賀 暁 氏

このうち、パネルディスカッション「企業価値向上を実現するリスクマネジメントとは」をまとめてみました。
 

内容

リスクマネジメントの変容と戦略的意義
キリンホールディングス
菅 氏
キリンホールディングスは、食・医・ヘルスサイエンスの3領域へ事業を多角化しており、事業ポートフォリオの変革に伴いリスクの性質も複雑化している。これに対応するため、リスクマネジメントをポートフォリオ経営の一環として捉えている。損害保険の購買においては、グループ全体の財務的リスクを減らすことを目的とし、経済的合理性を徹底している。2024年にはシンガポールにキャプティブを設立したが、これもリスク保有と移転の最適化を図る「リスクファイナンス」のアプローチである。単なる保険担当ではなく、経営戦略に寄り添い、M&A時のPMIにも深く関与してコストシナジーを引き出す役割を担っている。
保険仲立人協会
平賀 氏
リスクは単体で終わるものではなく、ドミノ倒しのように連鎖して企業の存続(ゴーイングコンサーン)を脅かす。日本企業の課題は、リスクの洗い出しで満足し、具体的な対策やPDCAサイクルまで繋がっていない点にある。2025年版のグローバルリスク報告書に向けた調査(133社の経営者が回答)では、巨大自然災害や地政学リスクが上位を占めているが、これらに対して「部分最適」で終わらせず、全社的・総括的な視点で向き合う必要がある。リスクの連鎖をどこかで食い止めるための体制整備こそが、現代の不確実な環境下で企業が持続的に成長するための不可欠な土台であり、仲立人(ブローカー)はその精査を支援する。
慶應義塾大学
柳瀬 氏
リスクマネジメントは単なる「守り」や不祥事対応ではなく、企業価値向上と直結する戦略的課題である。理論的にはTCOR(総リスクコスト)の最小化が企業価値の最大化を意味する。従来の日本型「リスクシェアリング」が崩壊し、外国人投資家比率が高まる中で、自律的な意思決定が不可欠となった。経営層がリスクと財務の相関を体系的に理解し、資本市場に対して自社のリスク対応の妥当性を論理的な言葉で説明できなければならない。特に法務・コンプライアンスの文脈に偏りがちな現状を打破し、ファイナンスの視点を取り入れた「攻め」のマネジメントへのシフトが、日本企業の国際競争力を再構築する鍵となる。
グローバル展開におけるリスクファイナンスの高度化
キリンホールディングス
菅 氏
海外売上高比率が急速に高まり、国内外に多数の連結会社を持つ現状では、従来の国内中心の常識は通用しない。特に北米のように訴訟リスクが高い地域では、現場に足を運んで現地の商慣習やリスクを直接確認することが不可欠である。AIでの省力化が難しい人間系のアナログな情報収集が、グローバルな保険設計の質を左右する。グループ全体でリスクを「見える化」し、キャプティブを活用した保有と外部移転のバランスを最適化することで、トータル・コスト・オブ・リスクの削減を達成してきた。単に保険を買うだけでなく、ステークホルダーと協調しながら「リスクファイナンス」としての枠組みを構築し続ける姿勢が重要である。
保険仲立人協会
平賀 氏
グローバル化が進展する中、世界各地でバラバラに保険をかけるのではなく、一本化された「グローバル保険プログラム」を構築するメリットは大きい。地域ごとのリスクを可視化し、一元管理することで、効率的な資金活用が可能となる。仲立人は、日本のみならず世界中の保険・再保険マーケットから最適な引き受け手を確保する「マーケッター」としての役割を担う。高額で複雑なリスクを適切にパズルのように組み合わせ、有利な条件でプログラムを組成するには、専門的な知見が不可欠だ。ただし、これを実現するには、本社側に強いガバナンス能力と、海外拠点に対してトップダウンの指示を明確に出せる体制が整っていることが前提となる。
慶應義塾大学
柳瀬 氏
日本企業の多くは、リスクへの資金手当(リスクファイナンス)において「とりあえず現金を持つ」といった消極的な対応に留まっている。しかし、無形資産投資やR&Dが重要となる現代では、情報の非対称性による資本コストの上昇を抑える戦略が必要だ。保険やデリバティブを活用して将来の成長機会をプロテクトすることは、期待キャッシュフローをより確実にする行為である。コーポレートガバナンス・コードとの関連でも、現金を保有する理由をリスクファイナンスの観点から説明できれば、投資家との有効な対話ツールとなる。理論(Why)と実務(How)を融合させ、市場規律を活用した高度な開示設計を検討すべきである。
リスクマネジャーの役割と司令塔としての機能
キリンホールディングス
菅 氏
リスクファイナンスグループの役割は、保険ブローカー、保険会社、キャプティブマネジメント会社など、多様なステークホルダーとの間で「フットワーク」を活かして連携することである。社内においても、単なる「保険担当」という認知から脱却し、財務戦略の重要な一翼を担う「リスクファイナンスのプロ」としての立場を確立する必要がある。キリンでは、トータル・コスト・オブ・リスクを削減した成果を具体的に示すことで、専門人材の増員と体制強化を勝ち取ってきた。理論と実務の融合は一朝一夕には成し遂げられないため、人材を短期で異動させるのではなく、長期的な視点で専門性を培い、毎年枠組みをブラッシュアップし続ける意気込みが求められる。
保険仲立人協会
平賀 氏
リスクマネジャーは、いわばオーケストラの指揮者である。自社のリスクの本質を誰よりも理解し、それをロンドンの再保険マーケットなど外部の引き受け手に対しても説得力を持って説明(ロードショー)できなければならない。専門家としてのリスクマネジャーが不在では、仲立人が提供する高度なサービスを十分に活かしきることができず、企業の利用価値も上がらない。経営層と現場、そして外部マーケットを結ぶ潤滑油としての役割は極めて重い。不確実性が高まる現代において、こうした司令塔機能が各企業に確立されることは、仲立人協会の立場からも切に願うところであり、それが健全な競争環境の実現にも繋がると確信している。
慶應義塾大学
柳瀬 氏
東証プライム上場企業のスキルマトリックスを分析(1134社を対象)すると、リスクマネジメントに印をつける取締役の60%近くが法務・コンプライアンス出身である。一方でファイナンスの知見を持つ者は極めて少ない。本来のリスクマネジャーとは、現場のオペレーションを理解しつつ、CFOの参謀として企業価値向上に資する意思決定を主導する「司令塔」であるべきだ。なぜその手法を選ぶのか(Why)と、いかに実務に落とし込むか(How)の両輪に精通した人材が求められている。将来的には、専門知識を有するリスクマネジャーを置く企業を「プロ契約者」として規制の適用除外とするような、制度的なインセンティブ設計も検討に値する。
不確実性を乗り越えるための今後の展望と課題
キリンホールディングス
菅 氏
リスクマネジメントにおいて最も重要なのは、理論と実務の融合であり、それを支えるのは「人」である。高度な専門性を有する人材を腰を据えて育成し、ステークホルダーと共にリスクファイナンスのフレームワークを作り上げていくプロセスそのものが、企業の「見えない資産」になると考えている。変化の激しいVUCA時代においては、昨日の論理に固執せず、常に新しい知見を取り入れて体制を更新し続けなければならない。毎年、自分たちが構築したスキームを疑い、ブラッシュアップを重ねることで、不測の事態に耐えうる真の強さが養われる。今後も実務の最前線から、企業価値最大化に資する能動的なリスク管理のあり方を追求していきたい。
保険仲立人協会
平賀 氏
企業は常に「最悪のシナリオ(有事)」を想定しておくべきである。予想最大損失額(PML)の把握や、インフラ供給停止を含むサプライチェーンの脆弱性点検など、想像力と予見力を駆使した備えが不可欠だ。最悪を想定できていれば、それ以下の事象に対しては迅速かつ冷静に対応できる。保険業界としても、企業がどのような最悪の事態を危惧し、どのような手助けを求めているのかを深く知りたいと考えている。今回の業法改正などを機に、企業のリスクマネジャー、保険会社、そして仲立人が、より高い透明性と共通言語を持って対話できる環境を醸成し、日本全体のリスク管理能力を世界基準へと引き上げていくことが、我々に課された使命である。
慶應義塾大学
柳瀬 氏
今後の課題は、リスクマネジメントの個別事例を収集し、定点観測を続けていくことである。理論が実務の現場でどのように機能し、ここ5年間でどのように変化したのかを明らかにすることは、国全体のレジリエンス向上に寄与する。2025年度も150社以上の回答を目指した実態調査を継続する予定であり、その結果を教育や人材育成のツールとして還元していきたい。また、リスク情報の開示を定量化し、投資家が適切に評価できる土壌を整えることも急務である。産官学が連携し、損害保険だけでなくコーポレート・ファイナンスまで含めた包括的な教育カリキュラムを構築することで、日本企業の次世代を担う専門人材の育成を強力に推進すべきだ。

 

 

損保協会 企業向けリスクマネジメントセミナー(第2回)講演

日本損害保険協会は、2025年11月19日に第2回 企業向けリスクマネジメントセミナーを開催し、その内容を YouTube で公開しました。
 動画URL:https://youtu.be/F4RgeRLmxxE
mikio-tsujita.hatenadiary.org
このセミナーで実施された内容は、次の3つです。

基調講演 VUCA時代の不確実性をどう乗り越えるか 経済産業省 経済産業政策局 産業資金課
課長補佐 江原 望 氏
講演 日本企業のリスクマネジメント・保険購買の高度化に向けた展望と課題 慶應義塾大学 商学部
教授 柳瀬 典由 氏
パネルディスカッション 企業価値向上を実現するリスクマネジメントとは 慶應義塾大学 商学部
教授 柳瀬 典由 氏
キリンホールディングス株式会社 財務戦略部
主査 菅 雄一郎 氏
一般社団法人 日本保険仲立人協会
理事長 平賀 暁 氏

このうち、講演「日本企業のリスクマネジメント・保険購買の高度化に向けた展望と課題」をまとめてみました。
 

内容

損害保険業界の不祥事と企業に求められるリスク管理能力
2023年に発覚した保険料の価格調整問題や保険金不正請求等の不祥事を受け、金融庁の有識者会議やワーキンググループでは一連の対応が議論された。今回の問題は損害保険業界固有のテクニカルな課題として片付けるべきではなく、ユーザー側である企業のリスクマネジメントの高度化が解決の鍵となる。経営層が、保険を含むリスクマネジメントを体系的に理解し、それが企業価値とどう相関するのかを把握することが重要である。また、保険仲立人(ブローカー)等の専門的なチャネルを使いこなすためにも、企業側のリテラシー向上が不可欠だ。保険業界にはプロとして、企業の自律的なリスク管理を支援する役割がこれまで以上に強く期待されている。
日本の国際競争力の低下と「リスクテイク」の停滞
IMDの世界競争力ランキングにおいて、日本はバブル崩壊直前まで世界トップを走っていたが、現在は「失われた30年」と呼ばれる長い停滞期にある。コロナ禍以降も順位は低下し続けており、この背景には日本企業が適切なリスクテイクをできなかったことが指摘されている。しかし、リスクを取るためにはブレーキ役となるリスクマネジメントが整備されていなければならない。リスクテイクとリスクマネジメントは表裏一体であり、アクセルを踏むための条件としてマネジメントの整備が不可欠なのだ。ピーター・ドラッカーが述べたように、利潤はリスクに対する一種の保険料であり、適切な備えがない組織は自らを食いつぶすことになる。
所有構造の劇的変化と「サイレントオーナー」時代の終焉
1949年の東証再開以来、日本の主要株主は国内金融機関や事業法人が占め、1980年代末には上場企業の約70%をこれら「モノ言わない株主」が保有していた。しかし、その後は国内銀行の保有比率が低下し、代わって外国人投資家や機関投資家の比率が急増した。資本主義において最終的なリスクの引き受け手はオーナー(株主)であり、その顔ぶれが激変した以上、企業の対応も変わるべきであった。にもかかわらず、保険購買を含むリスクへの向き合い方は、この30年間ほとんど変化してこなかった。現在の所有構造下では、株主に対して自社のリスク管理とコストの妥当性を論理的に説明できる言葉を持つことが、経営の最重要課題の一つとなっている。
崩壊する日本型「リスクシェアリング」の仕組み
かつての日本企業は、メインバンクを中心とした企業グループ内で利益変動を平準化する「リスクシェアリング」機能を働かせていた。この暗黙の安全ネットは日本企業の強さの秘訣であったが、その成立には「株主が安定的であること」という前提条件があった。現在のように外国人投資家が増加した環境では、かつての相互扶助的な仕組みは機能しない。そのため、グループを構成する各企業が自らリスクに向き合い、自律的に意思決定を行うマネジメントへのシフトが不可欠となった。過去の成功体験に縛られず、個別の企業レベルでリスクに対するコストを計算し、全社的な最適化を図ることが、日本株式会社から脱却するための鍵となる。
急速なグローバル化に伴うリスクエクスポージャーの拡大
製造業を中心に日本企業の海外進出は加速しており、海外売上高比率は1999年の約26%から2021年にはほぼ50%へと倍増した。活発な海外M&Aによりオペレーションが急拡大したことで、日本国内の常識が通用しない「北米リスク」などに直接さらされる事態となっている。訴訟大国での賠償リスクなどは、経営レベルで対処すべき深刻な課題として目の前に突きつけられている。グローバル化が進展する企業は、国内外の拠点を統合して管理するガバナンス体制が急務だ。地域ごとのばらつきを排除し、全社的な視点でリスクを捉え直すことが求められており、従来の国内中心の捉え方ではもはや通用しない、複雑なリスク管理の時代に突入している。
自然災害の激甚化と国内分散の限界が生む脆弱性
近年、大規模な風水害が頻発しており、火災保険における風水災の支払比率は2010年代後半に極めて高い水準を記録した。日本の製造業拠点は太平洋ベルト地帯に集中しており、2003年と2019年のデータを比較してもその地理的配置に大きな変化はない。つまり、国内のみでの物理的な分散には限界があるのだ。物理的にリスクを回避できない以上、損失に耐えるための「リスクファイナンス(資金手当)」の強化が重要となる。しかし日本企業の多くは「とりあえず現金」といった消極的な対応に留まり、保険やデリバティブなどの高度な資金手当の手法を十分に活用できていない。この脆弱性を克服し、戦略的な資金手当の力を養うことが不可欠である。
TCORの最小化と「攻め」のリスクマネージャーの必要性
これからのリスクマネジメントの目的は、TCOR(総リスクコスト)の最小化を通じた企業価値の最大化である。そのためには「なぜリスクを移転するのか(Why)」と「いかに移転するのか(How)」の両輪に精通したリスクマネージャーが不可欠だ。現状の日本企業では、リスク管理は「法務・コンプライアンス」の文脈(守り)で捉えられがちだが、本来は将来の成長機会を逃さないための「ファイナンス」と融合させるべきである。経営トップがこの重要性を理解し、司令塔となる専門人材を育成・配置することが求められる。教育制度や開示設計を整え、市場との対話を通じて企業価値を高めていく能動的なリスク管理体制の構築が、日本企業の進化を左右する。

 

 

損保協会 企業向けリスクマネジメントセミナー(第2回)基調講演

日本損害保険協会は、2025年11月19日に第2回 企業向けリスクマネジメントセミナーを開催し、その内容を YouTube で公開しました。
 動画URL:https://youtu.be/F4RgeRLmxxE
mikio-tsujita.hatenadiary.org
このセミナーで実施された内容は、次の3つです。

基調講演 VUCA時代の不確実性をどう乗り越えるか 経済産業省 経済産業政策局 産業資金課
課長補佐 江原 望 氏
講演 日本企業のリスクマネジメント・保険購買の高度化に向けた展望と課題 慶應義塾大学 商学部
教授 柳瀬 典由 氏
パネルディスカッション 企業価値向上を実現するリスクマネジメントとは 慶應義塾大学 商学部
教授 柳瀬 典由 氏
キリンホールディングス株式会社 財務戦略部
主査 菅 雄一郎 氏
一般社団法人 日本保険仲立人協会
理事長 平賀 暁 氏

このうち、基調講演「VUCA時代の不確実性をどう乗り越えるか」をまとめてみました。
 

内容

成長型経済への転換と設備投資の拡大目標

経済産業省は「賃上げと投資が牽引する成長型経済への転換」を掲げ、施策を展開している。経団連は設備投資額目標を更新し、2030年度に135兆円、2040年度には足元の約110兆円の約2倍となる200兆円規模を目指すとしている。春闘回答もここ数年3~5%と高い水準で推移しており、この潮目を逃さず、官民一体となって投資を拡大し続けることが我が国経済の成長にとって極めて重要であるとしている。
多様化・複雑化する企業リスクと外部環境の激変


企業を取り巻くリスクは多様化している。多層的なサプライチェーンの混乱、地政学リスク、経済安全保障上のレアアース輸出規制に加え、サイバー攻撃や気候変動による甚大な自然災害が頻発している。「世界における政策不確実性指数」もコロナ禍以来の高い水準にあり、貿易摩擦の激化といった外部環境の厳しさが企業の投資判断に大きな影響を及ぼしている。把握可能なリスクの整理と対応の優先度検討が急務である。
不確実な「VUCA」時代を捉える4つの視点

現代は「VUCA」の時代です。エネルギー価格等の変動性(Volatility)、生成AI等の新技術による不確実性(Uncertainty)、グローバル供給網の複雑性(Complexity)、ESG投資や規制の解釈が分かれる曖昧性(Ambiguity)の4要素が経営を困難にしている。完全な予測が不可能な時代だからこそ、これらの概念を軸にリスクを多角的に整理し、自社のビジネスへの影響を冷静に読み解く視点が不可欠である。
企業価値を高める「攻めのリスクマネジメント」

従来の安全・品質管理や防災といった「守り」だけでなく、挑戦を後押しする「攻め」のリスクマネジメントが重要である。新市場のリスク分析や、不測の事態における意思決定の質を高める取り組みは、さらなる企業価値の向上に直結するす。適切なリスクテイクを可能にする体制を整えることで、不確実な世界においても企業は新しい挑戦に踏み出すことが可能となり、それが持続的な成長への原動力となるからとしている。
挑戦できる経済の実現に向けた官民の役割と決意

「挑戦できる経済」実現に向け、政府は意識醸成や制度的後押し、地震再保険等の官民リスク分担を検討し、企業は手法の高度化や透明性向上に努めるべきである。最後にドラッカーの「最大の危機は激動そのものではなく、昨日の論理で行動することである」という言葉を引用し、過去の論理を捨て官民連携で不確実性を乗り越える重要性を強調した。昨日の成功に縛られず、新たな論理でリスクに向き合う姿勢が求められている。

 

 

損保協会 企業向けリスクマネジメントセミナー(第2回)

日本損害保険協会は、2025年11月19日に第2回 企業向けリスクマネジメントセミナーを開催しました。それに関するニュースリリースを2025年12月17日に出しました。

一般社団法人 日本損害保険協会(会長:舩曵 真一郎)は、企業のリスクマネジメント高度化を支援する観点から、企業向けリスクマネジメントセミナーを11月19日(水)に対面とZoomウェビナーのハイブリッドで開催し、約700名の方々にご参加いただきました。
また、本日から損保協会公式YouTubeチャンネルで、セミナー当日の様子をアーカイブ配信しています。
 動画URL:https://youtu.be/F4RgeRLmxxE
本セミナーでは、経済産業省による基調講演に加え、リスクマネジメント・保険等を専門としている学識者による講演、リスクマネジメントに携わる方々によるパネルディスカッションを実施しました。
参加者からは「リスクマネジメントの重要性について、歴史的経緯や各種データを基に説明いただきよく理解できた」「リスクマネジメントの進んでいる企業の話が聞けて参考になった。経営層にこそ聞いてほしい内容だった」などといったご好評の声が多く寄せられました。
当協会では、引き続き企業のリスクマネジメントの高度化を支援してまいります。

実施された内容は、次の3つです。

基調講演 VUCA時代の不確実性をどう乗り越えるか 経済産業省 経済産業政策局 産業資金課
課長補佐 江原 望 氏
講演 日本企業のリスクマネジメント・保険購買の高度化に向けた展望と課題 慶應義塾大学 商学部
教授 柳瀬 典由 氏
パネルディスカッション 企業価値向上を実現するリスクマネジメントとは 慶應義塾大学 商学部
教授 柳瀬 典由 氏
キリンホールディングス株式会社 財務戦略部
主査 菅 雄一郎 氏
一般社団法人 日本保険仲立人協会
理事長 平賀 暁 氏

この内容を公開されたYouTube動画から、開会と閉会の挨拶を書き起こしてみました。
 

開会挨拶

はい、みなさんこんにちは。日本損害保険協会の企画部会長を務めております、三井住友海上の杉本と申します。本日はですね、ご多忙の中、協会主催の「企業向けリスクマネジメントセミナー」にご参加いただきまして、誠にありがとうございます。協会を代表いたしまして、一言ご挨拶を申し上げます。
自然災害の激甚化や多発化に加えまして、地政学リスクの顕在化、昨今はサイバーリスク、あとはパンデミックリスクなどの、いわゆる企業を取り巻くリスクが複雑化している中にありまして、いわゆる経営管理としてのリスクマネジメントの重要性がますます高まっているというふうに感じております。本日はですね、基調講演いただきます経済産業省におきましても、今年の4月にですね、「稼ぐ力の強化に向けたコーポレートガバナンス研究会」のガイダンス等におきまして、稼ぐ力の強化に向けて価値創造ストーリーを構築して、経営陣の適切なリスクテイクを後押しする取り組みの重要性、こういったことにも触れられているところであります。また、金融庁におかれましても、2025事務年度の金融行政方針におきましても、損害保険を活用した企業のリスクマネジメントの促進というのが掲げられております。こうした中で、リスクマネジメント、リスクファイナンスの重要性というのは、ますます高まっていくというものと考えられます。
一方、損害保険業界におきましても、近年、保険料の価格調整問題や、保険金不正請求問題、情報漏えい問題といった不祥事が多発しております。皆様方をはじめとする関係者の皆様方に、多大なご迷惑をおかけしたこと、この場をお借りして改めてお詫び申し上げます。とりわけ保険料の価格調整問題におきましては、いわゆる政策保有株式であったりとか、過度な便宜供与などの、いわゆる保険本来の価値で勝負してこなかったという、こうした課題がありました。保険業界のビジネス慣行の歪みが、まさにこういったものが表していたというふうに考えられます。
企業の皆様に、良質な保険商品を提供して、企業のリスクマネジメントに貢献するために、また、企業の皆様のリスクマネジメントの高度化の一助となるべく、今回の企画をさせていただきました。今後はセミナーのみならず、企業のリスクマネージャー向けに、研修制度を充実させるなどの取り組みも合わせて進めていきたいと考えています。本日は、経済産業省の江原様による基調講演に加えまして、慶應義塾大学柳瀬様による講演、その後、柳瀬様、キリンホールディングスの菅様、そして日本保険仲立人協会の平賀様によるパネルディスカッションを用意しています。本日、対面、ウェブ合わせて多数のお客様が参加いただいています。リスクマネジメントに対する関心の高さが伺えるかなというふうに思っております。限られた時間ではございますが、企業の皆様のリスクマネジメントの高度化の一助となるべく、これらを祈念しまして、私からの挨拶とさせていただきます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。

 

閉会挨拶

日本損害保険協会の専務理事をしております大知と申します。改めまして、本日は多くの皆様に本セミナーにご参加いただきありがとうございました。またご登壇いただきました皆様におかれましても、貴重なお話を披露いただきありがとうございました。時間があれば、それぞれのパートについて一言ずつ申し上げようかと思ってたんですが、割愛します。
私も長く損害保険業界におりますけれども。なるほどな、こういう風に変わってきたかと、思うことばかりです。昨年のこのセミナーでも、3社のリスクマネージャーからお話を聞きました。その時も、あ、ここまで進んだんだ、と思いましたけれども。今回は少し色彩を変えて、実務に加えて、理論的なフレームワークを、経産省それから柳瀬さんに、かなりご解説いただきました。なるほどそういう捉え方もあるのかと、長くやってきた割には何だったんだ私はと思うような気持ちでおります。いずれにしましても、いろんなことがあって、この企業側のリスクマネージャーを育てていこう、リスクマネジメントを高度化していこうという動きがせっかくきてますので、この機を逃さず、日本損害保険協会としても、業界を挙げてできることをしっかりやっていきたいと思っております。最後になりますが、本日ご参加いただいた皆様が、リスクマネジメントを通じて、さらにご発展されますことを祈念いたしまして、閉会のご挨拶とさせていただきます。どうもありがとうございました。

 

 

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プルデンシャル生命 iDeCo無許可販売でトラブル

DIAMOND onlineの2025年11月20日の記事「【独自】プルデンシャル生命がりそな銀行のiDeCo商品を「勝手に」販売しトラブル多発!両社コンプラ部門の調査に発展…問題の営業所名や事件の背景は?」に次の内容が書かれていました。

プルデンシャル生命で、営業社員や管理職が提携外のりそな銀行のiDeCo商品を不適切に紹介するトラブルが発覚した。2025年9月から両社が調査を開始した。フルコミッション制を背景に、見返りとして顧客紹介を受ける密約の疑いがある。プルデンシャル生命は、投資詐欺等の不祥事が相次ぐ中、組織のガバナンス不全が露呈している。

 

問題となったトラブル

DOL記事に記載のトラブルを要約すると次のとおりとなります。

  1. りそな銀行は、プルデンシャル生命に運営管理業務の委託を行っていない。
  2. プルデンシャル生命の社員がりそな銀行のiDeCoの運用商品を顧客に紹介し、契約書への記入などの手続きを促した。
    後に明らかになったことだが、iDeCoの運用商品の説明は適切に行われていなかった。
  3. 顧客が事情により、プルデンシャル生命の社員が手続きをしたiDeCoの運用商品を中途解約しようとしたが、できなかった。

顧客にとっての問題は 3 ですが、規制の観点で問題となるのは、1 → 2 の部分です。無登録での営業になると考えられます。
 

プルデンシャル生命りそな銀行のメリット

DOL記事の見出しには、「プルデンシャル生命がりそな銀行のiDeCo商品を「勝手に」販売」とありますが、中身を読むと少なくとも営業現場レベルでは、両社が合意の上で行っていたように思えます。
りそな銀行からプルデンシャル生命へのなんらかの便宜供与があったからこそ、多数あるiDeCo商品の中からりそな銀行のものを選択したと考えるのが自然です。
その便宜供与について、DOL記事ではりそな銀行の顧客情報の提供ではないかと推測しています。
つまり、両社の営業現場では、次のメリットがあったと推測しています。

りそな銀行 プルデンシャル生命
メリット iDeCo商品の取扱い量の増加 → 当該営業支店の成績Up 顧客情報の入手 → 自社の保険商品の販売先の増加
コンプライアンス上の問題 個人情報漏洩 iDeCoの無登録販売

 

プルデンシャル生命の営業実態?

プルデンシャル生命は、営業社員が金銭詐取を行った事案が複数発生しています。そのほとんどが、自社の保険商品の保険料や給付金等を不当に搾取するのではなく、自社の取扱いではない投資商品等で顧客をだましています。
今回のりそな銀行のiDeCo商品の販売では、金銭詐取は行っていませんが、取り扱ってはいけないものを取り扱っているという点では同じです。こういうことは、プルデンシャル生命では当たり前に行われているのではないかと思えます。
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