日本興亜損保vsサウスイースタン(第一ラウンド)

日本興亜損保の大株主であるサウスイースタンが兵頭氏の社長再任に反対するという話が6月10日からニュースで取り上げられています。
今までのところでは、私なりにざっくりと要約すると
サウスイースタン側の主張
●兵頭氏の社長再任に反対する
∵兵頭社長の在任期間(1年間)に市場シェアと保険引受利益の低下,純資産の減少,不適切な投資により、財務内容が悪化したため
・ただし、他の株主に兵頭社長再任反対の議決権の行使は求めない
に対して、日本興亜損保側の主張
●サウスイースタンの兵頭氏の社長再任反対は正しい判断ではない
∵純資産の低下は外部要因が原因であるし、兵頭社長は自己株式の取得による株主還元を行ったため。
と真っ向から対立しています。
 
【参考】
「2008年6月9日 : 日本興亜の取締役選任に関する議決権行使について」
http://www.southeastern.jp/jp/release/data/06092008.html
(Southeastern Asset Management, Inc. ニュースリリース 2008.6.9)
「2008年6月12日 : 日本興亜の取締役選任に関する議決権行使についての補足説明」
http://www.southeastern.jp/jp/release/data/06122008.html
(Southeastern Asset Management, Inc. ニュースリリース )
「大株主の社長再任反対表明に対する弊社見解」
http://www.nipponkoa.co.jp/news/whatsnew/2008/news2008_06_13.pdf
日本興亜損害保険株式会社 ニュースリリース 2008.6.13)
 
なお、日本興亜損保側の主張のうちの?コーポレート・ガバナンス改革については、"兵頭が新経営体制のもとで様々な施策を実現してきたことは、以下のとおり明らかであります。"に含めることはできないと私は思います。実績と予定を分けた書き方をすれば、予定としては一定認めますが…。でも、兵頭氏が社長の再任と社外取締役の増加には相関関係はほとんどないと考えれば、これはまったく関係ない話になりますね。
 
それと、本業の保険についてサウスイースタン側は市場シェアと保険引受利益の低下の指摘をしていますが、日本興亜損保側はこの件に関しては兵頭社長の実績もこれからの展望も一切触れていません。保険業績が悪化したのは事実ですし、おそらく株主側に兵頭社長の実績としてアピールできるものは何もなかったのではないかと思われます。そして、これを打開する手だてもないと考えざるをえません。(具体的に公表すると拙いなら、「業績を上向きにする施策は検討されていて、それによりXXX億円増収する見込み」などと書けば済むことです。)
 
双方のニュースリリースだけを読むと、サウスイースタン側の主張の方が論理的に勝っている印象を受けます。ただ、現実的には違うんだろうなと分かってますが。
おそらくそこのところはサウスイースタン側も分かっているので、『今回は』本気で他の株主の議決権を取りにこないのでしょうね。
 
6月26日の株主総会が終わらないと分かりませんが、多分、兵頭氏は社長に再任されて、その見返りにサウスイースタン側の提案をいくつか飲むことになるんじゃないかと予想してます。日本興亜損保が今回の件の影響を何も受けないというのは考えにくく、その影響によってどのようになるのか興味があります。
 
 
余談ですが、損保協会の会長職は5社で輪番制にしていたかと思います。ネットでざっと調べた限りでは、以下のとおりでした。(2006年は三井住友海上行政処分があって、順番が変わっているようです。)
住友海上  :植村 裕之
東京海上  :石原 邦夫
日本興亜損保:松澤 建
損保ジャパン:平野 浩志
あいおい損保:児玉 正之
東京海上日動:石原 邦夫
三井住友海上:江頭 敏明
次あたりは日本興亜損保になりそうですが、万が一6月末時点で社長が確定しないということになったら、順番がまた変わってしまうかもしれません。