日経記事の"直販勢は値下げ"について

新聞記事は事実と記者の憶測がごっちゃになっていることがあります。
 
先週の記事に以下の記事がありました。
自動車保険料、大手損保が一斉引き上げ 直販勢は値下げ」
http://car.nikkei.co.jp/news/carlife/index.cfm?i=2008061110304c4
日経新聞 2008.6.11)
 
この記事の最後の方に

 一方、直販損保は値下げに動き始めた。米AIG系のアメリカンホーム保険は5月、平均2割ほど下げた。今年1月に開業したSBI損害保険も3月に2―3割下げた。ガソリン価格が高騰するなか、ドライバーは自動車保険料を節約する可能性があり、こうした顧客層を取り込むねらいだ。

と書かれています。
この最後の一文は、明らかに記者の誤った憶測です。
 
ガソリンが高騰したのは5月からです。1月の時点では、税金がどうなるかまったく予想もつかなかったので、まずSBI損保の保険料引き下げは明らかに関係ありません。また、保険料を変更するには、収支の検討やシステムの対応や金融庁への届け出もしくは認可が必要でいくら身軽な会社といえども1か月でこれらをやるのはちょっと無理でしょう。継続契約のことを考慮すると、2か月前に対応を完了しておく必要があります。大手社だと1年くらい前から検討に着手していると思われます。つまり、アメリカンホームもガソリン価格がどうなるか分からないうちから、保険料の引き下げを検討していたということになります。
 
そもそも保険料は純保険料と付加保険料からなっており、純保険料…純率は損害率から出すものなのでガソリンの価格と相関関係はないし、付加保険料…付加率を決めるときもガソリン価格の動向なんて考えもしないはずです。実のところ、付加率の水準は専ら保険会社側の都合で決めており、世間一般の家庭の事情を考慮しているなんて話は聞いたことがありません。
 
仮にガソリン価格の高騰を自動車保険の販売促進に利用するなら、付帯サービス(呼称は会社毎に異なります。ex.ロードアシスタンスサービス)に何らかの形で反映させるのが現実的なところでしょう。