ソニー損保の火災保険改定(2022年10月)

ここ数か月で火災保険のCMは、ソニー損害保険株式会社のものしか目にしていません。
2,3年前は西日本豪雨や台風の自然災害で火災保険は巨額の支払をしており、業界として収支が悪化して、保険料を立て続けに値上げするハメになったのに、ソニー損保は火災保険の販売促進に力をいれており、一際目立ちます。
次の値上げは2022年10月であり、大手社もソニー損保も保険料改定が行われます。
ソニー損保のサイトに以下のお知らせがありました。
「【火災保険】商品改定について(2022年10月1日以降を保険始期日とする契約)」
https://from.sonysonpo.co.jp/topics/information/27062022_02_282956.html

直近の大規模な自然災害の影響を踏まえ、損害保険料率算出機構は、2019年に引続き、2021年5月に参考純率(*1)を改定しました。 この参考純率改定を受け、当社の保険料水準の見直しを行います。(*2)

 
ソニー損保は、どのくらい値上げするのか、改定の近いこの時期にCMをバンバン出していても大丈夫なのか、気になって調べてみました。
東京・一戸建・T構造・年払で、改定前と改定後の保険料を見積もって、改定率を出してみました。
その結果が下表です。

  建物 家財
火災、落雷、破裂・爆発  -35%  -5%  
風災、雹災、雪災  -22%  -6%  
水災  0%  1%  
水濡れ、外部からの物体の衝突など  -19%  12%  
盗難  -60%  -58%  
破損・汚損 150% 150%  
臨時費用(破損・汚損を除く)  -9% 1229%  
5補償  -13%  -5%  -9%
6補償+臨時費用  -3%  13%  6%
5補償+臨時費用  -13%  1%  -6%

(家財の破損・汚損と臨時費用の保険料は、建物・家財-建物で計算)
 
損害保険料率算出機構が2021年5月に当局に届け出た参考純率の改定率は、住宅総合保険で平均+10.9%とのことです。
破損・汚損と臨時費用は住宅総合保険の基本補償に含まれていないので、↑の「5補償」に相当します。
私が試算した条件でのソニー損保の改定率は建物・家財計ではナント! -9%で値上げどころか値下げになっています。
これには驚きです。
ちなみに、大手社の改定率と比較するなら、「6補償+臨時費用」を見るのが妥当です。ここでは+6%ですが、それでも大手社は日本経済新聞の7/13の記事によれば11~13%引き上げだそうですから、頑張って保険料をできるだけ上げないようにしていると言えます。
 
保険料の内訳を見ると、一様に上げ下げをしているのではなく、ぺリルによって異なることがわかります。
違和感があるのは、風災のところです。ここは台風の影響で保険料がかなり上がるはずですが、ソニー損保は引き下げています。到底、純率が下がったとは思えないので、付加保険料や修正率で何かしているのでしょうか。あるいは、東京都という条件で出したことが影響しているのでしょうか。(面倒だから他の都道府県での見積りはしないけど)
臨時費用の家財の改定率がすごいことになっていますが、なんとなくこれは改定前の臨時費用の保険料が間違っていたのではないかと思います。
破損・汚損は、保険料が2.5倍になっていますが、これは損害率の悪さがそのまま保険料に反映されたのではという気がします。個人的には破損・汚損の補償なんて要らないと思うし、多分、ソニー損保でもそう思ったから遠慮なく保険料を上げたのでしょう。
 
あと、微妙に長期係数も引き下げているようです。
そのため、一括払で改定率を出すと、僅かに引き下げ幅が大きくなります。