2012年度経営方針資料から見たソニー損保の方向性

ソニーフィナンシャルホールディングス株式会社が2012年6月4日に行った2012年度ソニーフィナンシャルホールディングスグループ経営方針説明会からソニー損害保険株式会社に関する部分に対して思ったことを書いてみることにします。
「2012年度ソニーフィナンシャルホールディングスグループ経営方針説明会」
http://www.sonyfh.co.jp/web/ja/financial_info/management_vision.html#2012
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言うまでもなく、ソニー損保は自動車保険においてダイレクト系損保の中でダントツの収入保険料を誇っています。ダイレクト系他社も入れた自動車保険の元受正味保険料の年間推移のグラフがプレゼンテーション資料の中にあります。
 
A〜G社の会社を当てるのも一興ですが、ココでは止めておきます。
ソニー損保は元受正味保険料そのものでトップなのは重々承知ですが、それよりも注目すべきなのは前年比の増加額でもトップクラスであることです。つまり、新規流入による保険料が他社よりも多いということです。違った見方をすれば、他のダイレクト系損保はいつまでたってもソニー損保を追い抜くことはできず、ソニー損保の地位は安泰ということです。
ソニー損保の自動車保険は、ダイレクト系損保の中では保険料が高い部類に属し、インターネットの世界の中での価格競争では不利な位置にあります。それでもこの結果を出しているということの意味を考えてみることは重要だと思います。
継続に関してはくりこし割引というソニー損保での継続を選択する要素がありますが、新規に関してはそれも無力です。
おそらく他のダイレクト系損保からではなく大手損保からの流入が多いのでしょう。これは地道に信頼性を高める努力をしてきた結果としてのソニー損保というブランドが一定の役割を果たしているのではないかと思います。
また、例えば「お約束サービス」等のように単純だけど実行が難しくボディブローのように効いてくる施策の継続実施も要因としてあるのかもしれません。
 
自動車保険に関して説明会の中で、トップラインを更に伸ばすということ以外に収益性を高めるということを言っていました。その中で料率改定をやる旨を言っていましたが、話の流れからすると保険料を上げるということになります。つまり、経営として収益を上げることを主眼において保険料UPを容認している旨が明言されました。そのことは質疑応答の中からも読み取れます。
また、これは充分想定内のことですが、参考純率の改定(内容は「自動車保険参考純率(等級制度)改定(2011年9月届出)」(2012.6.3)のはず)を今年度に実施することも触れ、それも損害率の低下に影響を及ぼすだろうと言っていました。
そして、E.I.損害率+正味事業費率を2014年度末において94%にするとしています。この数字は、2011年度の98.1%からすると頑張った数字のように思えますが、2009年度:91.9%・2008年度:90.2%からすると自動車保険の損害率のコントロールで充分達成可能かと思われます。
【備考】
 I/E損害率=発生保険金/経過保険料
 W/B損害率=支払保険金/収入保険料
 
あと、自動車保険の他に医療保険があるが、その他に新たな種目を考えている旨も言っていました。これに関しては、質疑応答の中にもあります。この答えぶりからすると、もう種目は固まっていて、具体的な検討に着手していると思われます。根拠の薄い直感ですが、傷害系種目のような気がします。

Q7.[損保]
プレゼンテーション資料P.16に記載の「その他種目の育成」とは具体的に何か?
A7.
自動車保険医療保険以外にもさまざまな保険商品への展開を検討しており、具体的な内容はまだお答えできないが、ダイレクトチャネルでの保険販売という特徴あるビジネスモデルに合致する保険商品を検討している。

 
規模はおいておくとして成長と収益力という観点で見れば、ソニー損保は国内損保全社(大手損保も含む)の中で最も優れている会社ではなかろうかというのが私の評価です。
そして、2014年度まで見据えた経営方針説明会を見る限りにおいて、その評価は少なくともあと2年は変わりそうにないと感じています。