COVID-19専用保険の失敗と対策

新型コロナウィルス感染症(COVID-19)による入院を支払要件とした医療保険は、COVID-19の初期の感染拡大に伴って株式会社 justInCaseによりコロナ助け合い保険が、第一スマート少額短期保険株式会社によりコロナminiサポ保険(特定感染症保険)が商品開発されましたが、2022年にはいずれも販売停止となっています。
(普通の医療保険でも、COVID-19による入院は支払対象となりますが、今回の話の趣旨から外れるので除外します。)
販売停止の主因は、感染拡大の波がくるたびに、波の高さ(罹患率)が高くなり、保険料と保険金のバランスがとれなくなり、大幅な赤字となったためと思われます。
また、justInCase少短においては、保険金の削減という伝家の宝刀を抜いてしまい、行政処分まで受けてしまいました。
 
個人的には、特にjustInCase少短の理念ややろうとしたことは素晴らしいと思っていますし、それだけに行政処分を受けることになってしまったのは非常に残念だと思います。
既にCOVID-19の感染状況・医療体制や当局の意向・要請などが見えてきている今だから言えることですが、この手の保険はどうすればよかったのかを考えてみました。
 
まずは、保険期間を短期とすることによって、保険金の増減に伴い、保有している契約の保険料もそれに応じた増減の反映が短期間でできるようにしておくことが考えられます。
第一スマート少短が保険期間を1年ではなく3か月にしているのは、このことを考慮しているのでしょう。
そして、自動継続を行う場合には、感染状況等に応じた停止ができる旨を規定しておくことが考えられます。
 
感染の可能性が高い人が新規に加入しているモラルリスクの対策として、ワクチン接種を2回乃至3回したということを引受条件とし、告知でワクチン接種階数を求めることが考えられます。
少額短期なので、複雑な仕組みや手続きを組み込むのはコストの観点で見合わないと思うので、支払時に確認して、告知義務違反があれば解除して免責にする流れにするのが現実的な気がします。
乱暴かもしれませんが、任意保険による助け合いは、まずは自分でできることを行った人だけを対象にするという割り切りがあっても許容されると思っています。
 
保険金に関しては、定額給付ではなく、実損てん補にし、傷害疾病損害保険とすることが考えられます。
もっとも、COVID-19に関しては、医療費の実損てん補は無意味です。そもそも実損が出ませんから。
例えば、COVID-19の感染による逸失利益(アルバイトに行けなかった時給分など)があった場合、その逸失利益を損害として支払うようにするといった感じです。
その際に、免責金額を設けるとか、実損額の7割しか払わないとかにして、ここでもモラルリスクを軽減させる工夫は必要です。
COVID-19の感染により経済的に困った人を助けようという発想で商品を作っているなら、困っていない人まで保険金を支払うような商品にする必要はないですよねということです。