未だにある自動車保険の勘違い

日経トレンディネットに興味深い記事がありました。ただ、結局はガッカリしたのですが、一応書いておきます。
「2010年度に自動車保険が大幅値上げ!? 安く抑える手段は何か」
http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/column/20090904/1028657/
日経トレンディネット 2009.9.7)
前半では、損害保険料率算出機構自動車保険の参考純率を改定したことによって、各損保が自動車保険の保険料を来年度に上げるだろうということと参考純率改定の概要とダイレクト系損保(記事では直販損保と記載)の存在について書かれています。
各損保が保険料を上げることはまだ確定ではありませんがほぼ間違いないだろうと言えますし、その他の点についても概ね合っています。
 
しかし、後半の肝心な部分に誤りがあります。ダイレクト系損保の保険料が安い理由を2つ挙げていますが、その2つ目↓が間違っているのです。(事故を起こしたことがないドライバーが安くなるのは直販損保じゃなくても安くなるという点で誤りですが、当たり前過ぎるのでパスします。)

もう一つの取り組みは「リスクの細分化」だ。直販損保では、事故を起こしたことがない優良ドライバーほど保険料が安くなる。優良ドライバーの優遇で、大手損保からの乗り換え促進を図り、さらに契約者全体の事故率を抑えて安定運用を目指している。
   (中略)
まず注目したいのは「距離割引」だ。年間走行距離によって、保険料を割り引いている。サンデードライバーで、めったに遠出もしないという人にお薦めだ。距離割引が充実しているのはソニー損保で、年間走行距離の指定が「3000km以下」「7000km以下」「1万1000km以下」「1万6000km以下」「1万6001km以上」と細かく設定。他の直販損保と比べても、年間走行距離数が少ないドライバーを優遇している。
次は「ゴールド免許割引」。意外だったのだが、直販損保の中には、ゴールド免許保有者に対しての割引を適用していないところがある。比較した3社の中では、三井ダイレクト損保がそうだ。実際に見積もりを取ってみると、ゴールド免許割引を導入している損保とほぼ同等の金額を提示された。免許証の色が青や緑の人は、そこに注目して直販損保を選ぶのも手だ。

「リスクの細分化」と言っているのは、間違いなく自由化によって可能となったリスク細分のことを指しています。
この記事は、リスク細分を行っているのはダイレクト系損保のみで大手損保はリスク細分を行っていないから保険料に差があると主張しています。
しかし、損保の募集人なら誰でも知っているとおり、大手損保でもリテール分野向けに販売している自動車保険はすべてリスク細分型自動車保険です。あえて具体名を挙げるなら、東京海上日動火災保険株式会社のトータルアシスト(総合自動車保険),三井住友海上火災保険株式会社のGK(家庭用自動車総合保険),株式会社損害保険ジャパンのONE-Step(個人用自動車総合保険)などです。無論、何をリスク細分項目にするのかは各損保によって異なりますが、これらの自動車保険は紛れもなくリスク細分です。
リスク細分がダイレクト系損保だけだったのは、自由化直後の昔の話です。
損保屋がちょっとチェックすれば防げるレベルの間違いをマスコミのプロが流布するのは勘弁願いたいものです。