ネット販売に向く保険とは(其の五)

前回までの「ネット販売に向く保険とは(其の壱)」「ネット販売に向く保険とは(其の弐)」の続きです。
 
(7).ペット保険
ここ数年で急に脚光をあびてきた分野で、大手損保が手を出していない保険です。
最近のことですが、アリアンツ火災海上保険株式会社http://sonpo.allianz.co.jp/pet/ アリアンツ・ペット保険(ペット保険)アニコム損害保険株式会社のどうぶつ健保ふぁみりぃ(ペット保険)がネット販売されています。
A.市場規模・ニーズ
今でも一定の規模はあると思っています。ペットに対して、単なる愛玩動物から一種のパートナーへ認識が変わってくるにつれて市場規模やニーズの拡大はありそうです。飽和状態に達するのはまだまだ先のことかと思います。
B.保険商品(補償範囲・有無責など)の説明
人間相手の医療保険と共通点がありますが、人間のように健康保険がない分、商品そのものを単純にすることができます。また、持病を不担保にして引き受けるということもやっていないようです。その場合は、謝絶でしょうか。
告知事項をきちんと取りつけて引受のリスクを保険会社が持ってしまえば、説明が困難だったり、支払時に問題になったりすることはなさそうです。
ネット販売では、その告知事項をどこまでしっかりやるかがポイントになってきそうです。。
C.被保険利益の確認・保険価額の確定
当然に、ペットを飼っていることが前提です。そのことをネットで示すことが必要です。
マイクロチップが埋め込まれているなら、それを利用するのが確実です。
そうでないなら、犬は保健所で登録をするので、それを利用して飼っていることを示すことができそうです。それ以外の動物の場合は、飼い主と写っている写真を送ってもらうくらいしかなさそうです。
保険価額は、医療保険と同じで飼い主が定めることになります。さすがにペットショップで買った金額というわけにはいかないでしょう。こちらはネットでも問題はありません。
D.告知事項
上記 B.で書いたので割愛します。多分、ここが最大のネックです。
E.その他
ペットを一種のパートナーと考えて、人間の場合と同等にお金を注ぎ込むのは、現時点ではお金に比較的余裕がある人達であると思っています。そのとおりなら、多少保険料が高くても、対面販売の方が有利だと思います。ただし、対面販売でペット保険を売っている代理店が近くにない場合は、ネットでということも考えられます。
もう1つ、現在のネット販売でうまくないなと思っているのは、対面販売用の商品をそのままネットに持ってきている点です。危険選択の条件を厳しくすることや販売コストの観点から、ネット専用の別商品を売った方がいいのではないかと思います。
 
(8).賠償責任保険
ゴルファー保険、個人賠償責任保険を単品でネット販売してはどうだろうか?と考えてみました。
これらの種目があまり単品で販売されないのは、単品で販売すると保険料の大部分が付加保険料ばかりになってしまうためでしょう。自動車保険や傷害保険などの主契約にくっつければ、募集や管理などのコストを主契約で回収することができますから。
ネットなら、其の壱で述べた性質の募集人αが扱うので、大量に契約を集めれば対面では単品にできなかった問題を解消することができます。
A.市場規模・ニーズ
ゴルファー保険はあまり見こみはないかもしれません。昨今は自動車保険や火災保険の簡潔化でゴルファー向けの特約が廃止されてきていますが、それをかき集めても大した数にならないのではないかと思います。
個人賠償責任保険はそこそこニーズがあります。こちらは自動車保険や火災保険などの特約としても継続販売されるので、パイのとりあいになるでしょう。そこで優位に立つことができれば、ネット販売も成り立つと思います。
B.保険商品(補償範囲・有無責など)の説明
単純な商品なので、特に問題はないでしょう。
C.被保険利益の確認・保険価額の確定
例によってネットでは、契約者=被保険者が前提です。そこさえ決めれば、特に問題はありません。支払限度額は、任意設定できるようにしてもいいし、1億円固定でもいいと思います。
D.告知事項
特にネットだからといって問題になる点はないと思われます。
E.その他
ネットにて単品で売られていた実績がないために、まずは広く認知されることが必要です。特に、自動車保険や火災保険の契約がない人に広く認知されれば成功しそうです。
 
(9).動産総合保険
前回の(4).火災保険(家財)の項では家財特約付帯動産総合保険を含んでいましたが、ここでは携行品に対する動産総合保険を検討します。
ざっと考えた限りでは、ネット販売する上での固有の問題はないと思います。
A.市場規模・ニーズ
近年、携帯電話や携帯音楽プレイヤー、ノートパソコンなどの比較的高価な携行品を持ち運ぶ人が増えてきたことから、潜在的なマーケットニーズは存在すると思われます。
B.保険商品(補償範囲・有無責など)の説明
動産総合保険なのだから、勿論オールリスク担保です。重過失は免責ですが、この部分を明確に説明する必要がありそうです。それでも、説明は割と単純で済みそうです。
C.被保険利益の確認・保険価額の確定
保険の目的物である携行品を所持していれば被保険利益は発生します。持っているかどうかは基本的に申告ベースで十分で、補助的に製品のシリアル番号と購入店,購入日を入力してもらえばいいと思います。
付保できるのは購入から3年以内、保険金額は再調達価額…くらいが妥当なところでしょうか。
D.告知事項
料率体系次第かと思います。ごく単純なものにするなら、特に難しい告知事項はないかと思います。
E.その他
マーケットはあっても損害率が高そうで手を出しかねるというのが実情のような気がします。
メーカーや販売店の保証(大抵、瑕疵保証)と重なった場合にどちらを優先するのか決めておく必要があります。