金融庁が保険会社の申請書類を紛失

金融庁が書類を紛失するというヘマをやらかしたようです。どこかの保険会社の正式な申請書類をどうやら誤って破棄してしまったのではないかと思われます。
残念ながら、どの保険会社のものかどころか、リリース資料からは生保か損保かも分かりません。
「保険会社の免許申請書添付書類の一部の所在不明について」
http://www.fsa.go.jp/news/20/hoken/20090206-2.html
金融庁 報道発表資料 2009.2.6)

1.過去に当局(大蔵省銀行局保険部(当時))に提出された保険会社の免許申請書1件について、その添付書類の一部が所在不明となっていることが判明いたしました。
 
2.当該文書の性格上、個人情報は含まれておらず、また、これまでのところ、当該文書が外部に流出した痕跡は認められませんが、保険会社の監督を行う立場の当庁として、誠に遺憾であり、深くお詫び申し上げます。
 
3.金融庁としては、今回の事態を踏まえ、当庁内における一層の適切な文書管理に努めてまいります。

 
この件は、一部マスコミでも既に記事になっています。
金融庁うっかり廃棄?保険会社の提出書類紛失」
http://www.sponichi.co.jp/society/flash/KFullFlash20090206088.html
スポーツニッポン 2009.2.6)

金融庁は6日、1994年ごろに保険会社から当時の大蔵省銀行局保険部に提出された免許申請書の添付書類を紛失したと発表した。同庁は誤って廃棄した可能性が高いとみている。
 
紛失したのは保険会社の事業方法書、商品の約款、保険料などの書類で、30年間保管することになっている。昨年12月に情報公開の請求があり、紛失が分かった。金融庁は保険会社に陳謝し、再提出してもらったという。

 
金融庁、書類を紛失 個人情報は含まれず」
http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20090206AT2C0600X06022009.html
日経新聞 2009.2.6)

金融庁は6日、およそ15年前に大蔵省銀行局保険部(当時)に提出された保険会社の免許申請書1件の添付書類を紛失していたと発表した。昨年12月に一般の情報公開請求で紛失が判明した。過去に誤って破棄した可能性が高く、文書が外部に流出した痕跡はないという。紛失した文書は事業報告書や保険契約の約款などで、個人情報は含まないとしている。

 
個人的には、スポーツニッポンの記事の方が信憑性が高いと思っています。と言うのも、保険業法第4条第2項に以下の記載があります。金融庁のリリース資料と記事の内容を突き合わせて合致するのは明らかにスポーツニッポンの方です。

(免許申請手続)
第四条  前条第一項の免許を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した免許申請書を内閣総理大臣に提出しなければならない。
(中略)
2  前項の免許申請書には、次に掲げる書類その他内閣府令で定める書類を添付しなければならない。
一  定款
二  事業方法書
三  普通保険約款
四  保険料及び責任準備金の算出方法書
(中略)

新たに新種目を作り、その認可を取得する場合は、『定款』の変更は必要ないので、『事業方法書』『普通保険約款』『保険料及び責任準備金の算出方法書』を申請書類として監督官庁(昔は大蔵省、今は金融庁)に提出します。
余談ですが、今はこの4つを基礎書類と言いますが、昔はこれに『財産利用方法書』を加えた5つが基礎書類でした。
 
ちなみに『事業方法書』とは、保険種目毎に作成する書類であり、その種目に関する規定(保険の目的,保険期間,証券記載事項,特約etc)について書かれているものです。何について書かなければならないのかは、保険業法施行規則 第8条(事業方法書の記載事項)にて定められています。けして、事業報告書のことではありません。
それに、『保険契約の約款』と『保険約款』ではまったく意味が異なります。日経新聞の記者の保険担当のレベルが低いことは以前から分かっていることですが、もっと勉強してもらいたいものです。