三井住友海上の2008年度の数字

三井住友海上グループホールディングス株式会社の2008年度決算短信が5月20日に公表されているので、ざっと見てみました。とは言え、損保として見たいので、三井住友海上火災保険株式会社単体を対象にすることにします。
「平成21年3月期 決算短信
http://www.msig.com/ir/library/financials/pdf/h21r3_1.pdf
「平成21年3月期 決算説明資料」
http://www.msig.com/ir/library/financials/pdf/h21s3_1.pdf
三井住友海上グループホールディングス株式会社 ニュースリリース 2009.5.20)
ざっとめぼしい数字を拾ってみました。
 正味収入保険料:1,234,011百万円(前年度:1,311,345百万円)
 経常利益:25,532百万円(前年度:55,018百万円)
 正味損害率:69.5%(前年度:65.1%)
 正味事業費率:34.0%(前年度:31.8%)
損保単体で見ると、保険料は減収ですが、利益は前年度の半分とは言え黒字を確保しています。大手6社の中では、東京海上日動火災保険株式会社三井住友海上の2社が黒字です。なお、正味収入保険料に関しては、火災,海上,傷害,自動車,自賠責,その他のすべてにおいて、減収だったようです。
黒字の割に、コンバインドレシオは103.5%と悪いです。正味事業費率は大手6社中最も低いのですが、正味損害率の悪化が足を引っ張っています。ただ、これは不払い問題の分の保険金支払という要因があるので、そうなら2008年度限りと思われます。
 
これは、三井住友HDとしての資料なので、あまり保険のことは書かれていませんでした。
三井住友HDとして見るなら、将来のためにスミセイ損害保険株式会社も見ておくことにします。去年の9月30日に「スミセイ損保の廃業」で書きましたが、スミセイ損保の契約は三井住友海上に移ってくることになるでしょうから。
なお、三井ダイレクト損害保険株式会社については別途書くことにします。
「平成21年3月期 決算報告について」
http://www.sumisei-sonpo.co.jp/release/pdf/h21_05_20.pdf
スミセイ損害保険株式会社 ニュースリリース 2009.5.20)
大して良い数字ではないだろうと思いつつ、資料を見てみると…
 正味収入保険料:30,143百万円(前年度:29,497百万円)
 経常利益:2,473百万円(前年度:1,263百万円)
 正味損害率:61.7%(前年度:63.6%)
 正味事業費率:29.5%(前年度:30.1%)
なんと、前年度に対していずれの項目も良くなっています。散々なことになっている大手6社とはまるで異なる様相を呈しています。
種目別の元受正味保険料の状況を見たところ、火災と自動車が増収、傷害とその他が減収です。火災は巨大な自然災害がなければ損害率が良い種目なので、ここが増収したことが利益の倍近い伸びに影響を及ぼしていると思います。
 
三井住友海上にとっては、三井住友HDにぶら下がるあいおい損保とニッセイ同和よりも、当面はスミセイ損保の契約移転を如何にうまくやるかの方が大切かもしれません。