ソニー損保が他社のガン保険を販売する理由

昨日は「セコム損保のガン保険をソニー損保が販売」で、『自社にまったくない分野の商品の供給を受けるのなら理解できますが、競合する他社商品を販売する理由が私には分かりません。』と書きましたが、自分なりにその理由を考えてみました。医療分野およびその分野の保険に関しては素人同然なので、大外れしているかもしれません。
 
言うまでもなく、ソニー損害保険株式会社は損害保険会社なので、その本分は他社の保険を売ることではなく、自分で保険を開発して社会に供給することにあります。従って、良い内容の保険があれば、それを真似て自社で開発し販売することを真っ先に考えるはずです。その方が、他社の保険を代理販売するのに比べて、保険料を低廉に設定できますし、単純に考えれば利幅も大きくなります。
ソニー損保は、既にSURE<シュア>(傷害および疾病危険担保特約付がん保険)を持っていますから、ガン保険に関しては商品開発も販売ルートも損害調査体制もシステムもそれほどハードルは高くないと思われます。少なくとも、ペット保険を自社開発するのに比べれば、いずれも比較にならないほどハードルは低いと言えることは間違いありません。
 
ここから、もしもガン保険固有の事情があったと仮定して話を進めることにします。
 
ガンは未だに絶対に治るとされる治療法が確立されておらず、現在も日々治療法の研究が盛んにされている病気です。そして、その先進的な治療を受けるにはお金がかかりますし、その新たな治療法はまだまだ増える傾向にあると言えます。勿論、将来にできるその新たな治療法にかかる費用は現時点では分かりません。
 
従って、ガンの治療費を実費で払う保険というのは、保険会社の立場から見ると非常にリスキーであると言えます。保険料は契約時に定めた一定の額であるにもかかわらず、保険金がいくらになるのか分からないのです。勿論、保険料を高くすればリスクは減りますが、それでは売れないでしょう。
ソニー損保が代理販売するセコム損害保険株式会社自由診療保険メディコム(新ガン治療費用保険)は、そのいくらになるか分からない先進医療や自由診療を実費で支払う保険です。
ソニー損保がその気になればメディコムと類似の保険を作ることはきっとできるでしょう。しかし、将来のリスクを嫌って自社開発しなかったのではないか?というのが理由の1つにあるのではないかと思います。
 
そして、代理販売ならそのリスクを負うことなく販売した分の手数料を得ることができます。勿論、これはこれで賭けです。自社のSURE<シュア>の販売量が減るかもしれません。私だって、両方の商品を見せられたら、メディコムを選びます。両方の保険に加入するという選択はしません。そのリスクは経営として割り切ったのでしょう。
つまり、将来に、実費払の保険が失敗したとしてもソニー損保はダメージを受けずにSURE<シュア>を売ることができ、実費払の保険が成功した場合はSURE<シュア>は売れなくなるけど代理販売のメディコムの手数料で稼ぐことができると考えられます。
 
以上は勝手な想像なので、本当のところソニー損保がどう考えているのか分かりませんが…