アメホの解返支払漏れ

アメリカンホーム保険会社が解約返れい金の支払漏れがあった旨をニュースリリースとして公開しています。
それについて思ったことをつらつらと書くことにします。
「「保険金額逓増特約」付普通傷害保険の解約返戻金のお支払い漏れに関するお詫びとお知らせ」
http://www.americanhome.co.jp/information/090810.html
アメリカンホーム保険会社 お知らせ 2009.8.10)
リリース資料のタイトルから、その商品の特性とどうして何が起こったのか容易に想像がつきます。
保険金額逓増というのは、一部の種目では存在しますが、あまり損保では一般的ではありません。
保険金額が逓増しても、保険料は平準化しているでしょうから、払込方法が月払であっても期中に解約した場合に解約返れい金が発生するはずです。(保険金額が定額である普通の商品では月払の場合、解約返れい金はありません。)
商品を作った方は当然分かっていたのでしょうが、事務方の方が普通の商品のつもりでいて、事務の手順やシステム化を怠ったのが原因のような気がします。
 
一昔前の私の感覚では、新商品発売時には、当然に新契約受け入れ部分は最も注力し、最初に作り込みをする部分ですが、異動や解約,保険金支払,満期などは大抵後回しにされます。
作り込みもテストもややいい加減になりがちです。特に新契約受け入れ部分で、予定していたコストの大半を使ってしまった場合は、ますますその傾向が顕著になり易いです。
アメホの本件も、1984年の昔の話ですからそんな背景があったのではないかと思われます。
 
一般に損保は、保険期間が長期で数理が必要となる部分は弱いです。
商品管理部門には当然に数理のできる人がいますが、それ以外の事務を統括する部門やシステム部門には数理のできる人材は手薄で、分かる人にとっては常識だろうと思われることが全く通じていないことも珍しくないと思います。
今回はアメホが基本的なところで古い地雷を踏んで醜態を曝しましたが、他の損保もいくつか地雷を抱えているのではないだろうか?というのが私の直感です。
特に、積立保険の契約者配当金はかなり怪しい部分だと思っています。幸い、現在は低金利のために予定利率を上回らないので、計算をするまでもなく0円とすることができますが、景気が回復して運用利回りが予定利率を上回ることになったときにはボロを出す損保が出てくると思っています。