標準利率の下げ予測と保険料

読売新聞の記事に生保各社が保険料を上げるだろうというものがありました。
「生命保険料、来春上げ…標準利率0.5%下げで」
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20120623-OYT1T01253.htm
(読売新聞 2012.6.24)

契約者に約束する運用利回り(予定利率)の目安となる「標準利率」について、金融庁が現行の年1・5%から年1・0%に12年ぶりに引き下げる見通しになり、保険料を増やさなければ保険金の原資を確保できなくなるためだ。

ちなみに、記事中では「終身保険養老保険など」を対象にと書かれていますが、責任準備金における標準利率の適用は生保会社で販売している商品全てに影響がある話かと思います。ただ、予定利率が標準利率と乖離したときに影響が大きくなるのは、超長期の保険と生存保険でしょうから、そこだけ予定利率を変更することはあるかもしれません。すると、定額タイプの年金保険や終身医療保険も変更の対象になるかもしれません。
 
話のついでに標準利率に関する告示のリンクを張っておくことにします。
「責任準備金の積立方式及び計算基礎率を定める件 平成8年2月29日大蔵省告示第48号」
http://www.fsa.go.jp/common/law/kokuji/19960229zai48.pdf
金融庁
 
生保の方はおいとくとして、損保の方は?と考えると、第三分野商品や積立保険は予定利率を上げる動きが出てくるかもしれないと思っています。
積立型基本特約付帯の積立保険を例として、いくつかの想定をおいて試算してみました。
仮に、予定利率が 1.5%から 1.0%になるとし、保険期間:10年・満期返れい金:10万円・予定契約消滅率:0・予定払込免除発生率:0 という前提とします。
この場合の年払平準積立保険料は、9,205.3377円から 9,463.5719円に上がります。つまり、約2.8%の上げになります。積立型基本特約の保険料はこれに×(1+代理店手数料率+維持費率)としたものなので、上昇率は同じです。ただし、月払・半年払の場合は分割割増が予定利率と連動するので異なります。
この試算は積立部分だけで行っており、補償部分の保険料上げはないとすれば、補償部分の割合が高いほど保険料の上がり幅は約2.8%よりも小さくなります。予定利率が2/3(=1.0%/1.5%)になるのに比べれば、約2.8%以下の影響とは思ったよりも大したことがないように思えます。
ちなみに、これが年払ではなく一時払になると、全然違う様相を呈します。上記と同じ条件での一時払積立保険料は、86,166.7232円から 90,528.6955円に上がり、約5.1%の上げになります。
勿論、先ほどと同じ理屈で補償部分の割合が高いほど保険料の上がり幅は小さくなります。でも、一時払で売る積立保険は補償割合が低い傾向にあるでしょうから、この上昇率のインパクトは小さくないと思います。
 
あとは、この標準利率が改定されたとしたら、そのときに予定利率の変更を同じようにするか?ということがポイントになってこようかと思います。
ここは、営業面と財務面のバランスを見て判断されるのではないかと思いますが、昨今の状況では後者の方を優先して判断されることになるような気がします。