契約内容の適正化(3)

世間では「保険料取り過ぎ問題」と言われている件の調査結果が7月4日に各損保社(行政処分を受けた会社)から出されました。
今回の内容は、契約内容の適正化(2)の続きで大手6社の対策についてです。
 
やはり対策は、どの会社もほぼ似たような内容でした。
多少の相違はあるものの、ざっくり挙げると、
・何らかの形で社外の目を導入する。
・苦情やお客様の声を管理・反映する。
・内部監査態勢を整えて、きちんとチェックする。
・各部門横断で問題解決に取り組む。
・契約者への説明態勢,情報(案内,Webサイト)提供を強化する。
・契約者からのアンケートを吸い上げて不適切な契約がないか確認する。
・問題が生じにくいように商品を改定する
・教材,資料やe-ラーニングを提供して募集人の資質を向上する
・システムによるデータチェックを強化する。
といったところでした。
どの部分を重点的にやろうとしているのかは、各社違いがありました。
 
ただ、原因として業務量の増加によるオーバーフローを挙げているのは、東海日動社のみだったのが気になります。おそらく、どの会社も業務量がオーバーフローぎみなのは変わりはないと思います。
上記の対策を実施するということは、内務部門も営業現場もそのまま業務量が増加することを意味します。つまり右肩上がりの事業計画を立てているなら、即戦力の人員を増加する以外に業務をこなす方法はありません。
実効性のない絵に描いた餅にしないためには、施策全体の中にこれらの対策が組み込まれていなければならないはずです。
そこのところは、ほとんどの会社が経営計画を一般向けに公表していないので、確認していないです。
 
また、商品改定について具体的かつ効果的な内容を挙げていたのは東海日動社のみでした。
その中でも興味深い部分をピックアップしてみました。
火災保険

超過保険等の問題を生じやすい時価ベースの契約を原則販売停止しました。

自動車保険

各種安全装置((デュアル)エアバッグ、ABS、横滑り防止装置、安全ボディ、環境対策車、盗難車追跡装置)に関する割引を廃止

搭乗者傷害保険の整理(「トータルアシスト」における日数払の廃止等)や、人身傷害保険の臨時費用保険金等の各種費用保険金の廃止等を行いました。

賛否両論ありそうですが、これらは非常に大胆な割り切りです。「自社にとってリスクになるだけでメリットはほとんどないから、ちまちまとこうるさいことを言うなら、保険料割引なんかヤメだ!」という風にも捉えることができます。実際、私はそう感じていますが、そういう判断も是だと思っています。
 
参照した資料は以下のとおりです。
 

東京海上日動火災株式会社

「ご契約内容の適正性に係る点検について」
http://www.tokiomarine-nichido.co.jp/j0201/pdf/080704.pdf
東京海上日動火災株式会社 ニュースリリース 2008.7.4)
 

株式会社損害保険ジャパン

「火災保険等の適正な募集態勢に係る点検について」
http://www.sompo-japan.co.jp/news/download/200807041500.pdf
(株式会社損害保険ジャパン ニュースリリース・トピックス 2008.7.4)
 

三井住友海上火災保険株式会社

「火災保険等の適正な募集態勢等にかかる点検結果および状況の報告について」
http://www.ms-ins.com/news/h20/pdf/0704_1.pdf
三井住友海上火災保険株式会社 ニュースリリース 2008.7.4)
 

日本興亜損害保険株式会社

「火災保険の適正な募集態勢等に係る点検結果等について」
http://www.nipponkoa.co.jp/news/whatsnew/2008/news2008_07_04_tenken.pdf
日本興亜損害保険株式会社 ニュースリリース 2008.7.4)
 

あいおい損害保険株式会社

「火災保険等の保険料の適正性に係る点検について」
http://www.ioi-sonpo.co.jp/corporate/news/pdf/2008/20080704.pdf
あいおい損害保険株式会社 ニュースリリース 2008.7.4)
 

ニッセイ動作損害保険株式会社

「火災保険等の契約点検に関するお詫びとご報告」
http://www.nissaydowa.co.jp/download/0807_01.pdf
(ニッセイ動作損害保険株式会社 ニュースリリース 2008.7.4)
 
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ところで、割引のいくつかにはそれを適用するために証明書類が必要です。その照明書類を提出するために、契約者に手間と費用がかかります。その手間と費用に比べて割引となる保険料が小さくて、「割引を使わなくてもいいや」と契約者が判断した場合はどうなるんでしょうね?