「金融検査指摘事例集(平成19検査事務年度)」参照

金融庁から「金融検査指摘事例集(平成19検査事務年度)」なるものが公表されています。
 
「金融検査指摘事例集(平成19検査事務年度)」
http://www.fsa.go.jp/news/20/20080704-2/01.pdf
金融庁 2008.7.4)
 
96ページもの大作で、保険会社は P.83〜92 です。
検査はたまにしかないし、このような検査結果もなかなか目にする機会がないので、たまにはこういうのに目を通すのもよさげです。
 
多くは「まぁ、そんなもんだよなぁ」と思えるものばかりなのだが、「さすがにそれはどうなの?」と感じたものもあったので、そのいくつかをピックアップしておきます。
 

募集管理部門は、内部規程において、代理店から募集管理の実態を確認するための報告書を徴求することとしているが、金融機関代理店の負担に配慮し、一部の金融機関代理店が同報告書を提出していない実態を容認しており、代理店を適切に管理できる態勢となっていない事例。

募集管理部門は、団体構成員外契約の適正化への取組について、経営会議において同契約の引受拒絶を行うことが決定されているにもかかわらず、苦情を申し出ている団体に対しては、引受拒絶を行っていない事例。

このようなのを見ると、圧力や苦情というのは今でもまだまだ効果があるんだな〜と思います。
# 私もある大手企業で心当たりはあります。ヤバいので書けませんが。
 

募集管理部門は、保険料の確定精算について、管理システムにおいて管理することとしているが、確定精算が必要な契約に係る同システムへの登録を代理店任せとしており、登録状況の実態を把握していない。このため、登録漏れとなった契約において、確定精算が行われていない事例。

募集管理部門は、保険料の確定精算について、精算事務の管理を代理店任せとしており、精算金額が0円となっている契約において適切に精算が行われているか否かについて検証を行っていない。このため、代理店において、契約者から確定精算に必要な資料を入手しておらず、適正な保険料を徴収していない事例。

確定精算は面倒な上に成績にならないので、忙しいとこういうことになりやすいんでしょうね。でも、これも例の巷でいう保険料取り過ぎの一種です。
プラスマイナスがあるので、一方的に取り過ぎってことはないでしょうけど。
ただ、おそらく件数が少ないので目立たないため、マスコミが面白がって取り上げることはしないでしょう。
 

募集管理部門は、リスク細分型自動車保険について、免許証の帯色相違に係る契約取消が多数発生していることを把握しているにもかかわらず、代理店が免許証の帯色確認を適切に実施しているか否かについて検証を行っていない。このため、依然として代理店の確認不足等を原因とした帯色相違に係る契約取消が発生している事例。

これは、もしかして、損保ジャパンでしょうか?
そうだとしたら、先日のブログ「契約内容の適正化(1)」で書いた謎も納得できます。
 
ちなみに、保険会社に関してはこの指摘事例が行政処分に繋がったものはないようです。