アドリック損保の見積もりシステムについて

アドリック損保がアドバンスクリエイトの「保険市場」に新見積もりシステムを導入したという話がありました。
 
「スキャナーとTV電話を組み合わせた見積もりシステム『スキャンで簡単店頭見積』導入のお知らせ」
http://www.advancecreate.co.jp/ir/news/080709schan.pdf
(株式会社アドバンスクリエイト ニュースリリース 2008.7.9)

株式会社アドバンスクリエイト代表取締役社長:濱田佳治 本社:大阪市中央区、以下アドバンスクリエイト)と、アドリック損害保険株式会社(代表取締役社長:井口卓郎 本社:大阪市中央区、以下アドリック損保)は、アドバンスクリエイトが全国展開している保険ショップ「保険市場」(平成20年6 月末現在65 店舗)において、スキャナーとTV電話を組み合わせた自動車保険見積もりシステム「スキャンで簡単店頭見積」を導入いたしましたのでお知らせいたします。
 
このシステムは「保険市場」の店頭にお客様がお持ちいただいた自動車保険の証券をスキャンするスキャナーとTV電話を設置する事により自動車保険の見積もりを取得する際に、お客様が感じる『めんどうだ』『わかりにくい』『時間がかかる』等のストレスをなくすことにより、スムーズな見積もり提案が可能になると言う画期的なシステムです。

これだけを読むとなんだか凄そうです。前契約の保険証券をスキャンするだけで、即座に見積もりができるかの印象を受けます。実際にそのとおりだったら、本当に凄いです。他社の保険証券から機械的に契約条件を取得できるなら、もうびっくりです。ここ数年は保険証券のビジュアル化が進んでいるのでなおさらです。
 
しかし、期待したほどではありませんでした。

「保険市場」店頭にお持ちいただいた自動車保険の証券等をスキャンし、事故歴、連絡先などの簡単な質問をお伺いします。実際の見積作成、お客様情報の登録(IDとパスワードの取得)完了までの想定時間は1〜2 時間です。

最後の文の1〜2 時間 ってよくまぁ出せたなと違う意味で感心します。『時間がかかる』は全然変わらないどころか、普通に代理店に行った場合は通常はこの数分の一の時間で見積もりを出してくれるはずです。
どうも、リリース資料を全部読んで判断すると、契約者が「保険市場」に設置された道具を使って、コールセンターと直接やりとりをして、コールセンターに見積もりを出してもらうだけのことのようです。書いてありませんでしたが、「保険市場」の店員はノータッチなのでしょう。
 
いったい、契約者にとって何が便利なのか私にはよく分かりませんでした。
多分、契約者にとっては「保険市場」の店員が損害保険募集人として普通に対応してくれた方が手っ取り早いし、安心できるような気がします。
 
じゃ、このシステムは誰にどんなメリットがあるのか?わざわざコストをかけて導入するのだから、それに見合うだけの効果がなければこんなことしないはずです。
 
おそらく、このシステムで最もメリットを享受するのは、「保険市場」つまりアドバンストクリエイトだと思います。どういうことかというと、多分、「保険市場」は十分な数の損害保険募集人を確保していないか見積もりのための人員を割きたくないかのいずれかと思われます。そこで、「保険市場」の店員が見積もりにタッチしないで済むような仕組みを導入したのではないでしょうか。
アドリック損保はアドバンストクリエイトの子会社ですから、親会社のために便宜を図ったという見方もできそうです。
(株主構成:株式会社アドバンスクリエイト 50.1% あいおい損害保険株式会社 49.9%)