東京海上日動のフィラデルフィア買収
あまり M&A には興味はないのですが、東京海上ホールディングスからいろいろ情報が公開されていたので、ちょっと取り上げてみることにしました。ぶっちゃけた話、海外の保険事情に関してはまったくの門外漢なので、本日ニュースになるまではフィラデルフィア・コンソリデイティッド社なんて聞いたこともありませんでした。
「米国損害保険グループ フィラデルフィア・コンソリデイティッド社買収手続き開始の合意について」
http://ir.tokiomarinehd.com/ja/NewsRelease/NewsRelease985970518898510412.html
(東京海上ホールディングス株式会社 News Release 2008.7.23)
「フィラデルフィア・コンソリデイティッド社の買収について」
http://ir.tokiomarinehd.com/ja/Topics/Topics-1352300913269794776/TopLink/RedirectFile/080723irpresentation(j).pdf
(東京海上ホールディングス株式会社 Topics 2008.7.23)
公開された資料の中で、これは凄い!と思ったのは、コンバインドレシオの低さです。
フィラデルフィアのコンバインドレシオ
2007年 74.3%
2006年 68.3%
2005年 78.1%
2004年 88.7%
2003年 90.3%
2002年 91.5%
2001年 91.9%
2000年 89.1%
この会社は損害率もかなり低いのですが、それは日本の保険会社でも種目によってはありうるレベルです。フィラデルフィアは資料を見る限りでは、どうも特定のセグメントに特化している印象を受けるので、びっくりするほどのレベルじゃないです。しかし、このコンバインドレシオは驚異的です。
ちなみに、2007年のディスクロージャー資料によれば、日本の大手6社のコンバインドレシオは以下のとおりです。
92.2% 東京海上日動
93.9% 三井住友海上
94.3% ニッセイ同和
95.1% あいおい損保
95.1% 損保ジャパン
100.9% 日本興亜損保
買収金額:4,705百万米ドル(約4,987億円)(1株当り$61.50(約6,519円))(*1,2)。本買収価格は、フィラデルフィア社の7月22日までの過去1ヵ年の平均株価に対し66.5%、07年1ヵ年の平均株価に対し46.8%のプレミアムを加えた金額となります。
とのことなので、フィラデルフィアの株価にずいぶん奮発した上乗せをしたなという印象を受けます。でも、もはや大きくなる見込みのない国内市場の中でパイの取り合いをしているだけでは将来的な成長はないでしょうから、伸びる見込みのある有望な会社を高く買うこの決断は正解かもしれません。
買収資金の一部は社債などの外部借入によるようです。そして・・・
返済原資には、主として次期中期計画以降に実施する政策株式の売却資金を充当することを見込む。
これは、持合いしていた株式をかなり売ることになるんじゃないかと思います。持合いしていた株式というのは日本の会社の株ばかりでしょうから、多少は国内営業に影響が出るのもやむなしと判断しているのではないでしょうか。
ふと思ったのですが、東京海上日動が東京海上ホールディングスを作ったのは、単にグループ会社をまとめただけではなく、実はこのような M&A を行いやすくするためというのが狙いではないでしょうか?もしも同じ考えで、三井住友海上が三井住友海上グループホールディングスを作ったのだとしたら、こっちもそろそろ何か目に見えるものが出てきてもよさそうな気がします。
# 根拠のない完全な憶測です。