子供に対する死亡保障(新聞記事)

なんだか怪しい記事を見つけてしまいました。
 
海外旅行保険 子供の死亡補償、上限額引き下げ 大手損保、殺人防止へ対応」
http://www.business-i.jp/news/kinyu-page/news/200807220029a.nwc
(FujiSankei Business i. 2008.7.22)
 
全体的には、とっくに知っているよ!といった内容ばかりで、目新しい内容はまったくありません。得ることができた情報をあえて挙げるなら「三井住友海上が9月」の部分くらいです。尤も、どこの会社も近々にやることは容易に推察できたことなので、9という具体的な数字以外に価値はないのですが。

上限引き下げの対象となる契約は、インターネットや空港に設置した専用の自動引受機などによる非対面のみ。他の損害保険商品と比べて、非対面のため保険金殺人などの「モラルリスク」が発生する可能性が比較的高いと判断したため。東京海上日動では「実態に即した判断。金融審での議論を受けて、早急な対応が必要だと考えた」としている。

↑のことなんか本当ですか?と是非記者に訊いてみたいです。東京海上日動の担当者は、そんなつもりで言ったのではないと私は思います。海旅なんかでいきなり高額の保険金額を設定して、人殺しをすれば即疑われます。モラルリスクは寧ろ低いのではないでしょうか。インターネットや自動引受機の対応なら、システム対応も比較的簡単にできるし、営業を通じて代理店に説明する手間もないし、計上待ちになっている契約のことも考えがえなくていいから、実態として早急にできるのはココくらいだ!というのが本音のような気がします。
 
そして、バカバカしくて苦笑してしまうのが、最後のこの文章です。

このため、損保業界では、必要な対応について規定する自主ガイドラインの策定準備を進めている。上限額については、複数の保険会社で保険を引き受けた場合でも通算でカウントすることが求められており、保険引き受けに関する情報を損保各社間でどうやって共有するかといったことがガイドラインに盛り込まれる見通しだ。ただ、契約情報の共有は個人情報保護の面で問題もあり、今後の議論の動向が注視される。

一番最後の一文ははっきり言って、傷害保険のことを何も知らない人が書いたとしか思えません。傷害保険はもうとっくに契約情報の集約は行っているのです。従って、少なくとも『個人情報保護の面で問題』なんてものは既にクリアされている話のはずです。情報交換をしているということは、損保協会のサイトにちゃんと公開されています。
 
「傷害保険契約等の契約内容登録制度」
http://www.sonpo.or.jp/about/guideline/kyodoriyou/0011.html
(損害保険協会)
 
↑のリンク先を見れば、現在の情報に"保険始期"または"被保険者の年齢"という項目を加えれば、簡単に子供に関しての通算の保険金額を出すことができることが分かります。もちろん、出す側(保険会社)と受ける側(損保協会)のシステム対応が必要なので、今すぐというわけにはいかないでしょうけど。ここに乗っかる種目については、通算のカウントなんて難なくできるのです。
 
乗っからないものはどうするの?という話は前に書いたし、新たな情報もないので今回は割愛します。