AIU のディスクロージャー誌より

最近話題になりがちな AIU ですが、私自身よく知らないので2008年のディスクロージャー誌を見てみました。
思ったことをつらつらと書いてみます。
http://www.aiu.co.jp/about_us/br/index.htm
AIU保険会社 会社情報TOP > ディスクロージャー(ビジネスレポート))
 
P.3の資産運用の状況において、以下のように述べられています。少なくとも、サブプライムローン問題により、運用資産に対してダメージを受けるということはなさそうです。

当社の資産運用は、保険金・満期返戻金等のお支払いに備え流動性に留意しつつ、安定的な運用収益を確保することを重視しています。保有資産の構成は、AA 格付相当以上の円建固定利付債券を中心としながらも、運用環境の変化に柔軟に対応するために、外貨建債券や変動利付債券、株式、不動産ファンド等を保有し、資産の多様化に努めています。また、不動産ローン担保証券やクレジットカード債権担保証券の殆どは前年度(2007年3月期)に売却済みとなっています。なお、いわゆるサブプライムローン関連商品は当初から保有していません。

 
P.4には主な取り扱い商品一覧が掲載されています。
火災保険に関しては、突飛なものはほとんどなく、算定会種目もまだ販売しているようです。
傷害保険や新種保険も算定会種目や見慣れた業界共通商品が目立ちます。
自動車保険は逆に算定会種目はまったくなく、オリジナル商品のみのようです。
仮に契約の移転があっても、フルラインでやっている大手社なら、受けるのにそれほど苦労しなくても良さそうです。
 
P.17から業績データとなっています。
2007年度末の正味収入保険料は、59,603百万円でした。
ちなみに、大手6社の2007年度末の正味収入保険料は以下のとおりです。
東海日動火災:1,912,180百万円
損保ジャパン:1,345,024百万円
三井住友海上:1,306,848百万円
あいおい損保:871,589百万円
日本興亜損保:688,892百万円
ニッセイ同和:318,249百万円
また、直近5年の推移を見ると、56,711→55,433→56,786→59,211→59,603 で順調と言えます。昨年度はあいおい損保を除く5社が減収したことからすると、良質なマーケットを持っていると思われます。ただし、昨年度は経常利益,当期純利益ともにマイナスだったので、手放しで良い状態とも言えませんが。
 
種目別の構成比を見ると、傷害が3割超・自動車が2割超でフルラインでやっている他の損保とやや異なります。(普通は自動車が多いので。)
昨年度のコンバインドレシオは100.9%で、拙い状態です。おそらく、損保業界の例の問題(第三分野の保険金不払,付随的保険金の支払い漏れ,火災保険の保険料取り過ぎ)のために事務コストが嵩んだせいでしょう。2006年度に比べて極端に事業費率が悪化していますから。
 
P.24の海外投融資を見ると、そのほとんどを外国公社債で運用していることが分かります。外国株式もやってないようです。
あまり、高利回りを狙う運用はしていないようです。
P.31の保有有価証券の残存期間別残高を見ると、残存期間が1年超5年以下のウェイトがかなり高いです。1年以下は9,237百万円で、解約騒ぎでここを超えないかどうかが当面の懸念ではないでしょうか。