AIG 資産売却のきざし

「AIU の契約者向け説明」に引き続き、AIG 関係の話です。本日の記事に興味深い内容のものがありました。
経営陣に対して詐欺の疑いで FBI が捜査を開始したという話の方ではなくて、資産…つまり 部門の売却による資金調達の話です。
# 日本語に訳されたのが遅かっただけのような気もしますけど。
 
もともと短い記事ですが、その中からポイントだけを抜き出してみました。
 
「米AIG、売却資産リストを来週までに準備=新CEO」
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPJAPAN-33890720080923
(ロイター 2008.9.24 07:58)

[ニューヨーク 22日 ロイター] 米保険大手アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)(AIG.N: 株価, 企業情報, レポート)のエドワード・リディ新最高経営責任者(CEO)は22日、同社が今後売却する資産のリストを来週までに準備する意向を示した。
  (中略)
 売却される可能性のある事業部門については明らかにしなかった。

 
「米AIG、半分以上の資産売却の可能性=クレディスイス
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPJAPAN-33893320080923
(ロイター 2008.9.24 08:05)

[23日 ロイター] クレディスイスのアナリストは、米アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)(AIG.N: 株価, 企業情報, レポート)が事業の半分以上を売却する必要に迫られる可能性があり、とりわけ同社の国際保険と米年金事業に注目が集まるとの見方を示した。
  (中略)
 国際保険・外国事業・米年金事業が売却される可能性があるとし、国際保険事業が売却された場合、台湾や香港などで勢力図が「大きく変化」する可能性があるほか、日本や米国の生保業界にとり「深刻な影響」があるとの見通しを示した。

 
「事業買収 次の焦点AIG リスト公表へ 日欧で争奪戦も」
http://www.business-i.jp/news/kinyu-page/news/200809240017a.nwc
フジサンケイビジネスアイ 2008.9.24)

経営危機に陥り実質的な国家管理下に置かれた米保険大手、アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)の資産売却をめぐる交渉が28日にも始まる見通しとなった。緊急融資の早期返済を目指すAIGが売却リストを10日以内に公表。内外の金融機関が争った米証券大手、リーマン・ブラザーズの事業売却に続き、日本勢をはじめとする世界の保険大手の間で激しい買収合戦が繰り広げられそうだ。
 
 ≪早期返済へ資産整理≫
  (中略)
 航空機リースや国際的なリース金融、個人向け生命保険を主力とする子会社のアメリカン・ゼネラル生命保険などを売却し、今後損害保険などに軸足を置くとの観測が浮上している。
  (中略)
 このうち、自動車保険通販を展開するアメリカンホームについて「東京海上日動火災保険など通販を持たない大手が買収に動く」(大手損保幹部)との観測が出ているものの、生保3社についてはいずれも規模が大きく「買収は現実的ではない」(大手生保幹部)との見方が支配的だ。
 
 ≪関心はアジア≫
 
 また、AIGの日本事業は「好調に推移しており、売却は考えづらい」(スタンダード・アンド・プアーズの黒木達雄・主席アナリスト)とされ、日本の大手各社の関心はむしろ、日本以外のアジア事業に向けられている。シンガポールにアジア地域の統括会社を9月に設立した損害保険ジャパンをはじめ、日本の大手はアジアシフトを加速しており「良い売り物があれば前向きに検討したい」(大手損保幹部)というのが共通した思いだ。

 
日本の損保では、AIUアメリカンホームが AIG の部門です。
また、保有している株式を売るということになれば、ジェイアイ傷害火災保険富士火災の株がごっそりと売られることになるかもしれません。これが一番可能性が高いような気がします。
 
ざっくりと一言でまとめると、『売るつもりだけど、何を売るかは来週まで内緒』ということのようです。
リストが出たら、間違いなく再びニュースになるでしょうから、チェックしておこうかと思います。
個人的には、9/21に書いた「AIU の契約者向け説明」の末尾の部分が自分自身の読みなんですけど。
 

                                                                                                                                                          • -

23:30 追記
このブログをぐずぐずと書いている最中に AIU のサイトが22時半頃に更新されて、以下のお知らせがUPされました。
「850億ドルのクレジットファシリティについてニューヨーク連邦準備銀行と最終合意」
http://www.aiu.co.jp/topics/20080924.htm
AIU保険会社 お知らせ 2008.9.24)
非常に分かりにくい文章ですが、以下の部分で資産の売却について示唆しています。

AIGの会長兼CEOのエドワード・M・リディは、以下のようにコメントしています。「AIG流動性の需要を満たすための民間からの資本調達に全力を尽くしましたが、残念ながら現在の環境下においては、実現するにいたりませんでした。この借入は、AIGにとって最良の選択肢でした。私たちは、この借入について最終合意できたことを非常にうれしく思います。そして、資産を売却し借入を返済することで、規模は縮小しても利益体質の会社となるための計画を既に進行中です。中でも、AIGの子会社である各保険会社は引き続き堅調であり、流動性及び資本も盤石であることは非常に重要なポイントです。」