AIG の再建方針

先週あたりからどうなるのかと憶測が飛び交っていたAIG グループについて、一定の方針が出されました。あまり一般向けではない内容かつ結構なボリュームの上に、日本語訳がイマイチなので、こんな夜更けに読む代物ではありませんが、ざっと目を通してみました。
「米国政府がAIG再編継続のための支援策を実施」
http://www.aig.co.jp/news/n2009/n_02.htm
AIG プレスニュース 2009.3.3)

「この結果、AIGは現金のみを対価とする迅速な資産売却計画を進めていくという当初の方針を転換し、個々の事業価値を最大化するためにあらゆる手法を活用していくことになります。AIGは、契約者保護、リスクの継続的低減および強固で焦点を絞った独立事業としての事業基盤を構築するようなプロセスを通じ、今後数年間に渡り再編計画を完全に実行できるよう、米財務省およびFRBと共同で対応策を取ることになります。」とも述べています。
 
AIGは、主要な事業会社の経営陣と密に連携し、各事業会社における適切なガバナンスと資本構成の構築に取り組んでいます。売却計画に含まれ、既に売却プロセスが進んでいる事業会社の中には、今後も継続してこの計画が進められていく事業もあれば、プロセスが保留となり、後に売却のプロセスが再開される事業もあります。一部の事業、例えばAIAおよびALICOは、売却の選択肢をさらに検討し、市況によっては最終的に株式上場という方向に進むこともありえます。

全体の中で↑の部分が要約とも言える箇所だと思います。特に、アリコジャパンについては別のプレスリリースでも触れられていますが、とりあえず売却は一旦ひっこめたということです。
 

さらにAIGは、全利害関係者の利益のため、世界のAIG損保事業子会社の価値を維持・向上することを企図して、コマーシャル・インシュアランス・グループ、米国外損保事業、その他損保事業を含む損害保険事業の持株会社AIUホールディングス・インクという名称で設立する予定です。当該持株会社の取締役、経営陣、およびブランドはAIGとは別になります。AIUホールディングス・インクの設立により、今後AIGはその持株会社の少数持分を売却に向けて準備をすることができます。また今後の市況によっては株式上場の可能性もあり、最終的にはその準備も含まれています。

AIG損保事業子会社と言えば、日本ではAIU保険会社アメリカンホーム保険会社ジェイアイ傷害火災保険株式会社があります。このリリース資料によると、AIG とは別の持株会社を作り、そこにぶら下げると書かれています。オリックスが半分出しているジェイアイまでぶら下げるかどうかは分かりませんけど。
もともと損保事業本体は健全のようですし、今回の AIG の危機は損保事業とは関係ないところで起こったことなので、企業価値を回復させ高める上では妥当な手のように思えます。
 
ちなみに、日本におけるAIGグループ企業は、AIGのサイト(AIGグループ会社のご案内)によると現在は以下のとおりです。このうち生保3社と損保については方針が見えているのですが、それ以外はよく分からないです。

金融サービス・資産運用事業

AIGグローバル・リアルエステート・アジアパシフィック・インク(AIGGRE)
AIGジャパン・キャピタル・インベストメント株式会社
AIGインベストメンツ株式会社
バンクAIG証券会社

保険に関するサービス事業

AIGコミュニケーションワン株式会社
AIGコーポレート・ソリューションズ株式会社
日本保険損害査定株式会社(JACO)

グループ経営管理・サービス等

AIGイースト・アジア・ホールディングス・マネジメント株式会社
AIG株式会社