AHD-高齢者向け傷害保険?生命保険?

アメリカンホーム保険会社(以下、AHD と書きます)が、ちょっと変わった傷害保険を出しました。
「シニア向け長期保障傷害保険 『人生よろこんで』を販売開始」
http://www.americanhome.co.jp/news/20081104.html
アメリカンホーム保険会社 ニュースリリース 2008.11.4)

基本プランでは、「自分にもしものことがあっても、家族にできるだけ負担をかけたくない。」とお考えの方に、ケガや病気で亡くなられた場合にご親族が負担するお葬式の費用補償と、ケガによる死亡・後遺障害の保障をご用意しております。また、無事に10年後の保険期間満了を迎えられた際には満期お祝い金をお受け取りいただくことができます。
     (中略)
商品名:人生よろこんで(長期保障傷害保険)
保険期間・保険料払込期間:10年間
加入可能年齢:保険期間の開始時点で満50歳〜満80歳まで。(ご加入できる年齢は性別・プラン・コースにより異なります。)
保障内容:以下をご参照ください。

タイトルやリリース資料をざっくりと見た感じでは、単なる高齢者をターゲットとした傷害保険のように見えます。
果たして、契約する人がいるのでしょうか?いったい、どういう意図で AHD はこのような保険を新たに作ったのでしょうか?全然、分からなかったので、いろいろ考えてみました。
 
そもそも損保会社は大抵、傷害保険で高齢者はあまり引き受けたがりません。転倒等でケガをした場合に骨折しやすく、治療が長引いて入通院日数が多くなり、保険金支払が増えるからです。その点、長期保障傷害保険は基本では入通院を担保しないし、特約で担保するにしても日数ベースでは支払うのではなく、治療費用として一定額を払っておしまいのようです。この点において、損害率が高齢者だから極端に悪化することがないようにはなっているようです。
 
傷害保険というのは医療保険と異なり、年齢とは無関係の料率を用います。しかし、長期保障傷害保険は被保険者の年齢により保険料が異なります。年齢別の保険料になっているということは、どこかで死亡率が保険料の要素にあることを意味します。
おそらく、葬祭費用保険金の保険料がその原因でしょう。
 
ここまで特徴を見てきて、ふと思いました。この葬祭費用保険金は、被保険者が死亡すれば、その死因に関わらず払われる保険金という性質を持っています。つまり、生命保険の死亡保険金に非常に近いものと言えそうです。
多分、この長期保障傷害保険は、充実コースでも基本プランの葬祭費用保険金以外の保険料は合計で 2,000円以下ではないかと思います。この仮定が正しいなら、70歳以上ともなると、この保険の保険料の大部分は葬祭費用保険金…死亡保険金の分で占めることになります。
となると、傷害保険というよりも、もうほとんど死亡保険です。
 
見方を変えると、80歳からでも入れる10年定期の死亡保険と言うことになります。さて、これなら、契約者を集めることはできるでしょうか?少なくとも、高齢者向けの傷害保険という見せ方よりはマシに思えますが。
ただ、インターネットで自動車保険のように募集していては、ちょっと難しいんじゃないかなと思います。