日新火災の保険約款Webサイト公開

リテール分野においては保険約款そのものについて、インターネット上で募集・引受を行うダイレクト系損保は当然として、昨今は代理店系損保もインターネット上で公開するのがスタンダードとなってきつつあります。勿論、全種目一遍にというわけにはいかず、例によって自動車保険からのようです。
契約締結後にしか保険約款を見せないというのはおかしな話で、見たくない人はどうでもいいとして、見たい人には見せるべきと思います。
公開すると言っても、大したことをしているわけではありません。紙ベースの契約のしおりや約款集を作成するついでに作ったであろう PDFファイルをWebサイトにおいて、そこにリンクを張っているだけです。この程度なら大した手間ではないので、その気になればすぐにできそうです。
 
ところが、実は昨日気づいたのですが、日新火災海上保険株式会社は一味違いました。Webサイト公開用…つまり、インターネットで見るのに適した形式でファイルを作って公開しています。
自動車保険インターネット約款」
http://www.net-yakkan.com/
うろ覚えですが、確か日新火災は以前もこのようなものがあったように思いますが、参照するのに証券番号を求められていたような気がします。それが思い違いでなければ、契約前に参照できるようにちょっと変更しただけでしょう。
それでも、画期的なことですし、操作自体が非常に易しくできるようになっています。また、日新火災のサイト自体が「やさしいブラウザ」という機能を利用できるようになっており、弱視者などに配慮しているようです。(「やさしいブラウザ」は試していません。)
 
多分、この日新火災の行ったことは、業界スタンダードになってくると思われます。
なぜなら、2008年3月に日本損害保険協会にて制定された「保険約款のわかりやすさ向上ガイドライン」の P.9 に以下のくだりがあります。

⑤情報提供のあり方
保険契約者(購入検討者)等の利便の向上およびその保護を図る観点から、個人向け主要商品の普通保険約款・特約については、各社のホームページ上で公開するといった対応を行うことが望ましい。また、ホームページ上で公開する場合には、検索機能、ヘルプ機能や注意事項のポップアップ機能を付加するなどの対応を行うことが望ましい。さらに、契約のしおり等において、保険約款のわかりやすさ向上を補完する機能を充実させることも考えられる。

各社は、この「保険約款のわかりやすさ向上ガイドライン」を元に自社においてどのような対応をするのか検討し、実施することになるはずです。ガイドラインに以上のことが明記されていることから、この部分に関してはどの損保も実施してくるものと思われます。
約款の条文と事例やパンフレット並みの説明がリンクするようにすれば、分かり易さは飛躍的に向上することが期待できます。それは、今の日新火災のものよりもレベルが上の話ですが、そういう方向に向かえば好ましいと思います。
ただ、作る方は相当に大変そうですが。