損保業界再編=前哨戦=(其の七)

例の3社(三井住友海上グループホールディングス株式会社あいおい損害保険株式会社ニッセイ同和損害保険株式会社)の合併・統合の件について、興味深いニュースがありました。
早々に、システムの一本化をするというのです。確かに、以前のブログで書いたとおりシステムを統合すれば、事業費に与える効果は非常に大きいです。逆に言えば、システムを統合しないのなら、合併しても形式上のみのようなものです。システムは事務処理と直結しており、事務処理がそれぞれの会社分存在するなら、現場の事務量は減りません。それに、商品改定だの法改正対応だのをシステムそれぞれについてメンテナンスすることになるので、本社側も手間がかかります。
「3損保統合 システム一本化、数百億円削減 23日に基本合意」
http://www.business-i.jp/news/sou-page/news/200901200099a.nwc
(FujiSankei Business i 2009.1.20)

三井住友海上グループホールディングス(HD)、あいおい損害保険ニッセイ同和損害保険経営統合構想で、3社が情報システムの一本化により年間数百億円規模のコスト削減を見込んでいることが19日分かった。3社は来年4月の経営統合に向けて今週内に基本合意する方針で、その後は実務担当者らがシステム統合の具体案を練り、合理化目標などを経営統合の基本計画書に盛り込んでいく考えだ。

 
3社とも数年前に合併した会社なので、基盤となるメインフレームについて当時どうしたのか/今はどうなっているのかを分かる範囲で調査・推測してみました。
 
三井住友海上は、2000.5.31のニュースリリース「住友海上と三井海上の合併準備の進捗について」内で以下のようにはっきりと述べています。

ホストコンピュータは既存のシステム資産を有効活用してシナジー効果を発揮していくため、両社のシステムを利用していきますが、合併後2年を目処に三井海上のホストコンピュータへ統合いたします。

計画どおりいったのなら、現在は旧三井海上側に片寄せされているはずです。計画を変更あるいは中止したというニュースも特にないので、このとおり実施されたのではないかと思います。
 
ニッセイ同和は、旧同和火災側のシステムに寄せたのではないかと推測しています。
なぜなら、ニッセイ同和のシステムセンター(西宮事務センター)では、NDIコンピューターサービス株式会社がシステムの保守業務を請け負っているようであり、このITベンダーは同和火災の100%子会社だったからです。
 
あいおい損保は、旧大東京火災と旧千代田火災のシステムがいまだに併存しているように見受けられます。
ネットで調べると 2003年にシステムセンターを横浜センター1箇所に集約したという話はありますが、そこで日立のメインフレーム富士通メインフレームが両方とも稼働しているようです。
ただし、同社システム子会社の株式会社あいおい保険システムズによると、少なくとも傷害保険だけは片寄せしたようです。
 
以上のことが外れていなければ、合併・統合前のシステムは4つです。
自社のハードウエアを採用して欲しいというITベンダーの営業攻勢・圧力や自分の保守してきたシステムを残したいというシステム開発者の思惑を孕んだやっかいな綱引きがくりひろげられそうです。どのシステムもそれなりに実績があるのでお互いに言い分があるため、こういうのはシステム部門同士…実務担当者同士で検討してもおそらく埒が明かないでしょう。
経営トップが割り切りでズバッと方針を決めて、下には作業だけを下ろすのが正解だと思いますが、さてうまくいくでしょうか。ここでぐずぐず決めかねていると、大トラブルになったみずほ銀行の二の舞になる可能性が高いです。