朝日火災の【新型】海外旅行保険

昔は名実ともに「海外旅行傷害保険」だったものが、今は「海外旅行保険」と一般に呼ばれています。もともと傷害が補償のメインだったのが、今では傷害がわきに追いやられつつあります。そんな方向で、朝日火災海上保険株式会社の「海外旅行保険」が改定されたようです。(正直、朝日火災の海旅は、元をよく知らないので、改定なのか新種目なのか判別がつきません。)
 
「【新型】海外旅行保険の発売について」
http://www.asahikasai.co.jp/pdf/111_090208.pdf
(朝日火災海上保険株式会社 トピックス 2009.1.9)

【 主な特長 】
1.「旅行中の事故による緊急費用担保特約」の新設
事故を限定せず、海外旅行中の予期できない偶然な事故の場合に生じる費用を幅広く補償する特約を付帯することができます。なお、「偶然な事故」は公的機関、交通機関医療機関等から発生の証明を取り付けられるものが対象です。
  (中略)
2.携行品補償の内容拡充
(1) 新価ベースによるお支払い
従来は、携行品の破損・盗難は時価で補償していましたが、新価(再調達価額)での補償に変更します。
(2) 対象範囲の拡大
従来の商品で対象外となっていた、被保険者の親族から借り入れた身の回り品やスキューバダイビングの用具を補償の対象に含めました。
3.保険期間の細分化
保険期間(2か月以内)の区分を13 区分から28 区分に細分化しました。これによりお客さまの旅行期間に応じたきめ細かい設定を可能としました。
4.海外サービスの拡充
ジェイアイ傷害火災保険株式会社との提携により、お客さまに対してさまざまな海外サービスの提供を行います。
  (中略)

1〜3が保険本体の部分です。3はともかく、1,2に関してはかなり補償内容を厚くしています。当然、保険料に与えるインパクトも相当なものだろうと推測されます。
 
1については、早い話が、トラブルがあったことを公的な機関で証明してくれれば、その費用について保険金を払うというもののようです。これは結構モラルリスクのあるものではないかと思います。袖の下が横行する国では、ちょっとした賄賂で証明を発行してもらうということも考えられます。当然、そのくらいは朝日火災も想定しているでしょうから、どういう対処法を検討しているのか気になります。簡単なのは、引受規制で出国先によっては、この特約の付帯を認めないというのですが、これはちょっと芸がなさすぎです。
 
2もニーズは分かりますが、これもなかなか難しいところです。ただでさえ携行品動産総合の類は損害率が低くない上に、再調達払とくれば、これも通常のリスクの他にモラルリスクも考慮する必要がでてきます。海外に持っていって、わざと壊したり失くしたりして保険金をせしめるというのが横行しそうです。これは、免責金額を高くして歯止めをかけているのでしょうか?
 
4も若干気になります。ジェイアイ傷害火災保険株式会社と言えば、半分は AIG です。これも私が無知なのですが、もともとジェイアイと朝日火災は業務提携をしていたのでしょうか?もしも、していなかったとしたら、ジェイアイが今後どう動くのかの予兆のように思えます。