業界横並びと各社マターの境目(自動車保険の満期過ぎの等級継承)

自身の覚書と整理を兼ねて、損保業界共通の部分と各社マターの部分をさくっと書くことにします。
自動車保険には、他の保険種目にない特徴として等級があります。
先ほどは、「業界横並びと各社マターの境目(異なる自動車保険間の等級継承)」を書きましたが、今回はそれよりも等級継承に関してもっとメジャーな話です。
 
等級を継承する前提として、前契約の満期日=新契約の始期日であることは重要です。満期日近傍になると損保会社あるいは損保代理店から何度も「継続手続きは済みましたか?」という案内が届きます。
では、前契約の満期日を経過して新契約を締結する場合、どこまでならメリット等級が継承されるのか?が今回のテーマです。
デメリット等級の継承期間については、今回は意識しないことにします。
先に断わっておきますが、前契約の満期日=新契約の始期日じゃなくても等級継承されるんだから大丈夫と思っているなら、車を運転する以上その考えは捨てた方がいいです。どうやっても補償されない期間が生じてしまうからです。
 
まずは、損害保険料率算出機構の参考純率のルールとして等級に関する規定がどうなっているのかをおさえておきます。
メリット等級を保持・進行させるには、以下の条件を満たさなければなりません。

新契約の保険期間の初日が前契約の満期日もしくは満期日の翌日から起算して7日以内の日または解約日もしくは解約日の翌日から起算して7日以内の日の場合

つまり、前契約の満期日+7日≧新契約の始期日なら、等級は継承されるということです。なお、前契約の満期日から新契約の始期日までは、無保険の期間ということになります。
これは、参考純率の規定なので業界共通のルールと言えます。
業界共通のルールなので、前契約の損保会社と新契約の損保会社は異なっていてもOKです。
 
ここからは各社マターの話になります。
等級継承に関する規定は、上記の他に2つあります。通称「継続特約」と「ノンフリート等級継承期間延長に関する特則」です。実は、ほとんど全ての損保会社がこの2つを持っているようなので、実態は業界共通に近いかもしれません。
 
通称「継続特約」と呼ばれているものは、各損保によって名称が異なります。ほとんどの損保で「継続契約の取扱いに関する特約」というのが正式名称のようです。しかし、中身はほぼ同じです。任意付帯ではなく、自動付帯されるという点も同じです。"特約"なので、契約者に渡す契約のしおり(約款集)には必ず記載があります。
この特約は、一定の条件を満たせば、満期日の翌日から30日以内なら等級の継承を認めるというものです。なお、新契約の保険始期は前契約の満期日となります。従って、無保険期間が生じないのですが、どのみち保険事故があっても保険金は支払わないので補償がないことに変わりはありません。
また、この特約で等級を継承する場合は、同一損保でなければなりません。この辺りが各社マターの名残とも言えそうです。
なお、「自動継続特約」とは全く異なる別個の特約です。
 
「ノンフリート等級継承期間延長に関する特則」は、等級継承に関しては伝家の宝刀的な存在で、損保会社によっては代理店レベルには下ろしていないところもあるようです。ましてや、非常時以外は契約者が知る機会はないものだと思います。実は、案外とGoogle等で検索するとヒットしますけど…。"特約"ではなく"特則"なので、契約者に渡す契約のしおり等には記述がないのが普通です。
この特則は、一定の条件を満たせば、満期日の翌日から180日以内なら等級の継承を認めるというものです。参考純率の7日間ルールと同じで、前契約の満期日から新契約の始期日までは、無保険の期間ということになります。
また、この特則で等級を継承する場合は、同一損保でなければなりません。
この特則の適用条件は、各社によって異なります。あまりに、この特則をほいほい適用すると問題なので、適用は慎重に行われているはずです。
 
余談ですが、Yahoo!知恵袋の保険のカテゴリに以下の Q&A があります。まぁ、これが代理店(回答者)を含めた一般的な認知レベルなのでしょうか?ややレベルが低いというか回答するには勉強不足のような気もしますが…。
「車の保険が今日切れました。。。 更改をすっかり忘れてて・・・・。 明日とか?も...」
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1223383697
自動車保険で教えて下さい。任意保険の継続を、うっかり忘れてしまい継続する方法...」
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1323220273