あいおい損保の2008年度の数字

損保国内各社の2008年度決算短信が5月20日に公表されています。
あいおい損害保険株式会社について、ざっと見てみました。決算短信と同時に役員の異動(予定)も公表されています。
「平成21年3月期 決算短信
http://www.ioi-sonpo.co.jp/corporate/news/pdf/2009/20090520_a.pdf
「役員の異動に関するお知らせ」
http://www.ioi-sonpo.co.jp/corporate/news/pdf/2009/20090520_b.pdf
あいおい損害保険株式会社 ニュースリリース 2009.5.20)
ざっとめぼしい数字を拾ってみました。
 正味収入保険料:816,693百万円(前年度:851,849百万円)
 経常利益:-20,359百万円(前年度:4,431百万円)
 正味損害率:65.0%(前年度:62.2%)
 正味事業費率:34.6%(前年度:33.3%)
保険料の減収に関しては、大手6社はどこも同じで、増収している会社はありません。赤字は今更言うまでもないでしょう。
一見するとコンバインド・レシオが99.6%ですこぶる悪いように見えますが、実は大手6社の中で、今回コンバインドレシオが100%を切ったのはあいおい損保だけです。特に他社に比べて正味損害率が低いです。
 
以下は、経営成績のうち、商品と引受に関する部分のコメントです。

商品面におきましては、“お客様の声”を反映し、平成20年4月より、わかりやすい自動車保険「トップラン」及び先進医療補償を充実させた健康総合保険「リブリード☆アドバンス」を開発し、販売を開始いたしました。また、平成20年10月には、日常生活を巡るさまざまなリスクに備える家庭総合保険をわかりやすさの観点で改定するなど、特長ある家計分野商品の提供を順次行ってまいりました。これにより、自動車保険の契約台数は自動車販売台数が大幅に減少する中でノンフリート契約を中心に拡大しており、健康総合保険及び家庭総合保険におきましても、契約件数が順調に増加しております。
  (略)
保険引受事業につきましては、住宅産業代理店を中心に火災保険が引き続き好調に推移したものの、自賠責保険料の大幅な引下げに加え、自動車保険では自動車の小型化の進展や事故頻度の低下に伴う無事故の割引進行等により保険料単価が低下したことで、正味収入保険料は前年を下回る結果となりました。一方、品質向上に向けたシステム開発コスト等により事業費は増加しましたが、スピーディーな事故事案解決の実現、自動車保険のアンダーライティングやロスプリベンション(事故の未然防止提案活動)等に引き続き取り組んだことに加え、今年度も大口自然災害に伴う保険金支払が少なかったこと等により、保険引受利益は大幅な増益となりました。

商品に関しては、自動車・火災・医療のそれぞれについて、収入保険料はともかく、件数は増加傾向とのことです。正直なところ、ホントかどうか怪しいと個人的には思いますが。
収支に関しては、保険料収入が減ったことと事業費が増えたことの2点がマイナス要因ですが、保険金支払が少なかったというプラス要因のおかげで保険引受利益は増加だったそうです。しかし、↑の正味損害率を見ると前年度よりも増えているのですが、どういうことでしょう?支払備金が鍵を握っているのでしょうか。
今年度は、保険料の増加も見込めなさそうですし、合併と保険法対応のために事業費がかかりそうですから、本業の収支はまたロス頼みということになりそうな気がします。あるいは、保険料単価の減少の歯止めをかければいいのですから、保険料の値上げでカバーする可能性もあります。
 
役員人事に関しては、トヨタ色がやや強まりそうな印象を受けます。ニッセイ同和損害保険株式会社との合併を来年度に控えて、トヨタの発言力を高めようという意図でしょうか。