アリコの情報流出と日経記事

アメリカン・ライフ・インシュアランス・カンパニーのクレジットカード情報流出に関連して、日本経済新聞の無能な記者がまたおかしなことを記事に書いています。
「アリコ情報流出、「直販損保モデル」に影 信用低下避けられず」
http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20090728AT2C2701N27072009.html
(日経ネット 2009.7.28)

アリコジャパンの顧客情報流出が代理店を通さずにインターネットや電話で自動車保険を販売する「直販損保」に影を落としている。クレジットカード情報の流出件数は最大で13万件に拡大。低価格や手続きの手軽さで急成長した直販損保は契約者の半数以上がカード払いで、信頼低下は避けられない。各社は情報管理体制の強化に一斉に着手。カード各社も被害を食い止める対策に乗り出した。

上の記事の続きとして、日経新聞には下の記載もあります。

現時点で他の直販損保にアリコ問題を巡る顧客の問い合わせはほとんどない。ただネットや電話で加入し、カードなどで保険料を支払う仕組みはアリコと同じで、各社ともカード払いの契約者が半数を超える。
仮にアリコ問題が拡大したり、他社で同様の問題が起きたりすれば、直販損保のビジネスモデルの根幹を揺るがす「致命的な問題」(三井ダイレクト損害保険)になる危険性をはらむ。

 
まずは、前提として一般論から入ることにします。
通販の損保と生保には、その主力商品における保険料払込に関して大きな違いがあります。
通販の損保商品の主力は言うまでもなく自動車保険で、保険期間は1年・保険料払込方法は一括払がメインです。
通販の生保は、保険期間は複数年の長期に渡り、保険料払込方法も月払がメインでしょう。
この場合において、クレジットカード払をしたとしても、保険会社はカード情報を保持する必要性の有無がまったく異なります。
7月26日に「クレジットカード情報流出と安全な保険料払込方法」で書いたとおり、一括払の場合は保険会社はクレジットカード情報を自社内に保持する必要はないはずです。
ただし、月払を行っているソニー損害保険株式会社三井ダイレクト損害保険株式会社は、月払契約だけでなく一括払の分も貯め込んでいる可能性もあります。
 
このようなことから、アリコと同じように保険期間が複数年で保険料払込方法も月払がメインである他の通販生保が影響を受けるであろうという推測は成り立ちますが、通販損保が即座に影響を受けるであろうという推測は素人考えのナンセンスなものでしかありません。
それがナンセンスではないと言えるのは、1か月くらい様子を見て明らかに損保全体に比して通販の売れ行きが悪いことが判明して初めてはっきりすることです。
 
また、この記者は損保会社がクレジットカード情報を保持しているという裏付けの調査をしたのでしょうか?
恐らく、それも行っていないだろうと思われます。
適当に、三井ダイレクトに電話してアリコに関するいい加減な感想を求めただけではなかろうかというのが私の推測です。
クレジットカードで保険料を支払うと言っても、一括払と分割払ではまったく異なるシステムの仕組みが必要なのですが、そのこともまったく知らないのでしょう。
 
従前から日本経済新聞の保険記事は質の悪いものが多いです。また、先般「毎日新聞の酷い自動車保険参考純率についての誤り記事」で書いたとおり毎日新聞の記者(宇都宮裕一)もダメな記者です。マスコミというのは自社のプライドに賭けて、良質な記事を提供しようという意思はないのでしょうか?
例えば、銀行において無能なシステム社員がバグだらけのプログラムを本番で動かして、通帳記帳において顧客の残高をめちゃくちゃに表示したとしたら、そこに直接の金銭的な問題がなかったとしても明らかに不祥事件として扱われます。そして、当然にお詫びをしますし、二度と失敗をしないよう再発防止を徹底します。
翻って、マスコミはどうなのでしょうか?無能な記者が勉強不足と不十分な裏付けを基にデタラメな記事を書いて、読者に読ませたとしたら?
それが全くといっていいほど問題とならないのは、世間がマスゴミのことをそれほど信用していないためなのでしょうが、そのことに胡坐をかいていてはマスゴミはいつまでたっても屑としての評価しかされなくて当然でしょう。