ゆうパック・ペリカン便の運送保険の行方

郵便事業(株)と日通(株)の宅配便事業について両社が出資した子会社で事業を行う旨のニュースリリースが出されていました。早い話が、ゆうパックペリカン便とが1つになるということです。
もともと、両社折半で準備会社(JPエクスプレス株式会社)を設立して宅配便事業統合の準備等を行い、最終的には宅配便事業会社の資本金の額および最終的な出資比率は日本郵便過半数保有するものとして、2008年8月末日までに決定する予定とのことでした。
従って、このニュースリリースは内容・時期ともに予定されていたものだと言えます。
 
郵便事業株式会社と日本通運株式会社との宅配便事業統合に係る株主間契約の締結に関するお知らせ」
http://www.japanpost.jp/pressrelease/detail.php?code=2008082801
日本郵政株式会社 プレスリリース 2008.8.28)
 
郵便事業株式会社と日本通運株式会社との宅配便事業統合に係る株主間契約の締結に関するお知らせ」
http://www.post.japanpost.jp/whats_new/2008/0828_01.html
郵便事業株式会社 お知らせ 2008.8.28)
 
「【お知らせ】郵便事業株式会社と日本通運株式会社との宅配便事業統合に係る株主間契約の締結に関するお知らせ」
http://www.nittsu.co.jp/about/pdf/20080828_1.pdf
日本通運株式会社 ニュースリリース 2008.8.28)

1. 宅配便事業統合の概要
(1) 両社はすでに、折半出資にて本統合の準備会社としてJP エクスプレス株式会社(以下、「JPEX」という)を設立しておりますが、来年4 月1 日に、JPEX を承継会社とする吸収分割により、両社の対象事業(ゆうパック事業及びペリカン便事業)を統合いたします。
(2)統合後の宅配便のサービスは、日本郵便の全国に広がるネットワークと日本通運のノウハウを活用して、シェアの拡大とサービスレベルの向上を図ります。
2.統合後(平成21年4月1日以後)のJP エクスプレス株式会社の概要
(1)資本金等: 資本金及び資本剰余金を合わせて500億円とする
(2)出資比率:日本郵便66%、日本通運34%
(3)取扱個数:約5.2億個 (初年度計画)
(4)売上:約2,800億円(初年度計画)
(5)従業員:約1.1万人(初年度計画)

 
郵便事業(株)の損害保険については、私の感覚では民営化した頃から東京海上日動が牛耳っていると思われます。損保代理店の代申会社は東京海上日動ですから。
一方、日通(株)は運送や旅行に関する保険を日本興亜損保にかけているはずです。それは、2008.8.1現在において日通の代表取締役会長の岡部正彦氏が日本興亜損保の取締役になっていることからも密接な関係ぶりは明らかです。
 
さて、この新会社の宅配便の運送保険は、どちらの損保が扱うのでしょうか?
お互いに総取りしたいと思っているでしょうけど、小さい額ではないだけに難しいでしょう。折半にするなら、共同保険にするか、1社が元請になって他社にQ/Sで再保険に出すかという方法が考えられます。
しかし、これも折半にするシェアの問題だけでなく、以下の問題もあります。
運送保険の共同保険なんてやってないので認可面だけでなく、システム構築や事務処理面でもハードルが高そうです。
その点では再保険の方が現実的ですが、どちらが元受をやるのかというところで結局綱引きをすることになるでしょう。元受になっておけば、新会社との直接のパイプを持つことになり、将来的に何かと有利だと思われるからです。
 
この結論は、東京海上日動日本興亜損保に少なからずインパクトを与えるものではないかと思われます。特にここのところ業績が悪化しっぱなしの日本興亜損保にとっては、万が一不利な結果になったら、現在のような形での会社存続も危ないかもしれません。