共栄火災の自動車保険改定

共栄火災が2008年9月以降始期契約について自動車保険の改定を行う旨のニュースリリースが出ていました。
あぁココもか…と思ったのですが、ちょっと普通じゃない点が1点あります。それは、ニュースリリースのタイミングです。普通は募集期間などを勘案して、どんなに遅くとも2か月前にはリリースします。それが、営業日ベースで数えるとわずか1日前にニュースリリース。あまりにも遅すぎます。このタイミングには何か意図があるのか、広報のチョンボなのか気になるところです。
 
「「わかりやすい商品」をコンセプトに自動車保険を改定」
http://www.kyoeikasai.co.jp/about/news/2008/pdf/nr2008082901.pdf
共栄火災海上保険株式会社 ニュースリリース 2008.08.29)
 

1.特約・費用保険金の廃止
自動車を運転中のリスクや搭乗中のリスクと関わりが薄い補償やお客様のニーズが少ないと思われる補償を廃止し、お客様にわかりやすく、募集者が説明をしやすい商品構成としました。当社の主力商品である個人向け自動車保険「KAPセットアップ」では、「対物臨時費用保険金」や「人身傷害臨時費用保険金」などの費用保険金を廃止し、特約は「家事代行費用担保特約」や「対人・対物賠償責任日常生活危険担保特約」など6件を廃止します。(従来の特約数47件に対し、改定後は41件となります)

費用保険金の廃止については、付随的保険金の不払問題対策として付随的保険金そのものを削るということかと思われます。ちなみに、共栄火災における付随的保険金で不払が多かったのは以下のとおりです。(本体の支払い漏れは除きます。)

  • 対人臨時費用保険金
  • 対物臨時費用保険金
  • 人傷臨時費用保険金
  • 車両保険の全損時臨時費用保険金
  • 車両保険の走行不能時臨時費用保険金
  • 車両保険の被保険自動車の盗難に関する代車等費用保険金
  • 特約修理工場搬入特約の分損事故時臨時費用保険金

確かに、臨時費用は支払い漏れの温床のようです。“など”でくくられていますが、「対物臨時費用保険金」,「人身傷害臨時費用保険金」以外についてどうするのかちょっと気になります。
ちなみに、臨時費用を削るというのは、それだけ保険金支払のファンドを削ることを意味します。つまり、これは保険料下げの要因になります。
【参考】
「付随的な保険金の支払漏れに係る調査結果について」
http://www.kyoeikasai.co.jp/about/news/2006/pdf/nr2007033001.pdf
共栄火災海上保険株式会社 ニュースリリース 2007.03.30)
リスク細分による保険料取り過ぎ問題の解消という観点での割引(エアバッグ割引,エコカー割引)の見直しはここには含まれていないように見受けられます。
【参考】
「ご契約内容の適正化に係る点検に関するご報告」
http://www.kyoeikasai.co.jp/about/news/2008/pdf/nr2008070401.pdf
共栄火災海上保険株式会社 ニュースリリース 2008.07.04)
 

2.保険約款の見直し
保険約款の難解な表現や用語を平明化して読みやすくしました。また、従来のA5サイズか
ら手帳サイズ(カラー)に変更し、携帯しやすく読みやすい体裁としました。さらに、お客様がご契約後に必要となる諸手続きの方法を追記してお客様利便の向上を図りました。

これは以前にかいたブログ「保険約款の方向性」のリンク先で紹介したガイドラインに沿った内容への変更と思われます。
 

費用保険や特約の廃止、補償内容の見直しや損害率の上昇等を勘案して、保険料の見直しを
行いました。結果、ご契約内容によっては保険料が引き上げとなるケースもありますが、全体を平均した場合、保険料は改定前とほぼ同じ水準となります。

これは↑で書いたとおり臨時費用を削る分だけ下げの要因があり、一方で損害率悪化による上げの要因があるので、同じ水準になりましたということのようです。
個人的な感覚では、結果としてたまたま同じ水準になったのではなく、同じ水準になるように補償を削る方を調整したのではないかと思えます。
 
ざっと見た感じでは、日本興亜損保の自動車保険改定と似たようなもののようです。
共栄火災も約款などの詳しい資料は Web サイトにて一切公開していないため、この改定前後でどう変わるのか詳しい内容までは分かりません。