付帯サービスについての豆知識(其の弐)

8/11の日記「付帯サービスについての豆知識」の続きです。
今回の話は付帯サービスを無料サービスに限定せずに、特約等による補償(現物支給であることが多い)も含めて一般的に付帯サービスと認識されるものを対象にすることにします。
 
付帯サービスに対する損保会社側の認識についてですが、これは各社まちまちかと思われます。私の知る限りでは、付帯サービスに関する業界基準やガイドラインというものが存在しないようです。
現在では、付帯サービスが「保険会社の奉仕」という位置付けか「保険商品の補償の一部」かざっくりと分けられると思います。なお、後者は比較的新しい考え方と言えます。
そして、「保険会社の奉仕」と考える会社に関しては、大々的にアピールする会社から探せば書いてある程度の会社まで、かなりの温度差があります。
これらの違いや温度差の存在を認めることから、付帯サービスの理解を進めるべきであると私は考えます。
 
今後の話のために、以下のとおり分類して印を付けておくことにします。
A.付帯サービスが「保険会社の奉仕」という位置付け
B.付帯サービスが「保険商品の補償の一部」という位置付け
どちらに分類されるのかによって、付帯サービスの改変や廃止時にとるべき対応は異なってくるだろうと思います。
 
A に関しては、既存契約者に対しても付帯サービスの改変や廃止をある日から切り替えるということもアリです。本来はないはずのものを、保険会社側から奉仕しているという位置付けだからです。
しかし、募集にあたってサービスがあることを期待させておいて、いきなり何の断りもなく縮小や廃止をすれば、優良誤認表示にあたり不当景品類及び不当表示防止法(通称:景品表示法)に抵触することになると思われます。ちなみに、サービスの拡大については少なくとも景品表示法に触れることはないはずです。(拡大内容を知っていたら、しないで済んだ出費を要求されるリスクはあります。)
では、付帯サービスの縮小や廃止をする場合は、どうするのが好ましいのでしょうか?
まずは募集時と同レベルでの情宣を行うことです。当然、大々的にアピールしていたのなら、それに見合った情宣をするべきでしょう。場合によっては、既存契約者に対して個別にメールやハガキなどでお知らせをする方が良いかもしれません。
縮小や廃止の情宣を派手にしたくないなら、既存契約者に関しては従来のサービスを提供し、新規契約から縮小や廃止をするという手もあります。ただし、この場合であっても継続契約に関しては何らかの手当が必要です。
 
B に関しては、補償の一部なのだから、契約時に約定したとおりに扱うべきです。明確に申込書などで約定していないなら、募集時に提示したものが約定したものであると考えられます。この場合、付帯サービスの改変や廃止は始期別に行い、既存契約者に対してはある日でもってばっさりと変更するのは不可ということになります。なお、ここでいう変更はサービスの拡大も含みます。もし、既存契約者に対して変更を適用するのであれば、個別に変更の案内を行うことが必須条件となります。それでも、サービスの縮小・廃止は相当の理由がない限り許されないでしょう。
言うまでもないことですが、サービスの根拠が特約の補償の場合は、改変や廃止にあたって金融庁の認可が必要です。
 
ある付帯サービスが上記の A と B とのどちらにあたるのかを見分けるにはどうすれば良いのかというのは、契約者の立場から見たら非常に重要なポイントになります。
重要事項説明書やパンフレットに、"予告なく変更・中止する場合がある"旨の記載があれば A、なければ B と解釈して良いと思います。
なお、1つの商品の付帯サービスの中に複数のサービスがある場合は、サービス毎に A か B かの扱いが異なることがあります。ややこしいので、こういうことをすべきではないと私は思うのですが。
この基準で見分ければ、"予告なく変更・中止する場合がある"旨の記載があるなら改変・廃止があっても仕方ないし、なければ本体の保険商品と同じと考えることに不自然さはないし、上記の対応とも合致します。
あとは、"予告なく変更・中止する場合がある"旨の記載をデザイン的に分かり易くすることが損保会社に求められます。
 
長くなったので、続きはまた後で書くことにします。