付帯サービスについての豆知識(其の参)

前回のブログ「付帯サービスについての豆知識(其の弐)」で、付帯サービスに対する考え方を以下のとおり分類しました。
A.付帯サービスが「保険会社の奉仕」という位置付け
B.付帯サービスが「保険商品の補償の一部」という位置付け
現時点においては、A が主流です。そして、景品表示法に触れない限り、ある日をもってサービス内容の改変・廃止をするのもアリと整理しました。
 
付帯サービスの運用は保険会社の裁量次第です。ここで、"ある日をもってサービス内容の改変・廃止をするのもアリ"という状態は、契約者の立場からするとどのような長所/短所があるのか考えてみます。
【長所】

  • ニーズに合った内容に機動的に変わっている可能性がある
  • 無意味なサービスがなくなることにより間接的に保険料負担が軽くなる

保険会社だって付帯サービスを募集時に訴求力を持たせたいと考えているはずです。訴求力があるもの=契約者ニーズが強いものという等号が成り立ちますから、それを機動的に既存契約者に対しても導入できるのは長所と言えます。(保険による補償は、契約者に有利な変更内容でも既存契約に適用するのは認められないのが普通です。)
付帯サービスだって保険会社には費用負担が発生します。その費用は結局、保険料からまかなわれているはずです。そして、大抵の付帯サービスは外部の業者に委託しているので、サービスの利用回数とは別に定額の維持費にあたる費用を外部の業者に支払っているのではないかと推測されます。利用頻度がほとんどない無意味となったサービスを継続することは費用の無駄遣いを意味し、費用があるうちは保険料からまかない続けなければなりません。それを切れるようにしておくのは長所と考えられます。
【短所】

  • 募集時に言っていたことと異なる可能性がある

これはもう今更述べる必要はないと思います。そのまんまですから。特に、サービスの縮小・廃止のときに問題となります。
 
上記の他に、サービスでもって商品が優れているかのような募集が行われているということも問題としてあげられます。
ただ、それは保険業法第300条に既に抵触している行為ではないかと私は思っています。これは募集行為に係る規制なので、付帯サービスが保険ではなくても適用されます。甚だしいものは金融庁に持ち込まれれば、一発でアウトの可能性もあります。

(保険契約の締結又は保険募集に関する禁止行為)
第300条 保険会社等若しくは外国保険会社等、これらの役員(保険募集人である者を除く。)、保険募集人又は保険仲立人若しくはその役員若しくは使用人は、保険契約の締結又は保険募集に関して、次に掲げる行為(次条に規定する特定保険契約の締結又はその代理若しくは媒介に関しては、第1号に規定する保険契約の契約条項のうち重要な事項を告げない行為及び第9号に掲げる行為を除く。)をしてはならない。
 (中略)
6.保険契約者若しくは被保険者又は不特定の者に対して、一の保険契約の契約内容につき他の保険契約の契約内容と比較した事項であって誤解させるおそれのあるものを告げ、又は表示する行為
 (中略)

 
最後になりましたが、
自動車保険の「付帯サービス」について考える」
http://blog.sonpo-direct.com/2008/08/post_90.html
自動車保険ランキング比較ブログ【元損保社員がランキング比較】 2008.8.28)
にて、元損保社員さんが書かれている以下の点は、現在のほとんどの付帯サービスについて尤もだと思います。

しかしほとんどの消費者は、どこが「保険商品」で、どこが「おまけ」ということを区別できていないのではないだろうか。
(中略)
まず「保険商品」と「付帯サービス(おまけ)」の区別について消費者が充分理解できる説明をすることを保険会社に義務付けるべきだ。

現状は、「保険商品」と「付帯サービス」の扱いを異なるものとしている A が主流です。
この A については、元損保社員さんが書かれているとおり、異なるのだから異なると分かるようにすべきと私も思います。
逆に、「保険商品」と「付帯サービス」の扱いを同じにするなら、区別しなくても…いや、寧ろ区別しない方が一体となっているという実態に合っているし、理解もしやすいと考えます。例えば、日本興亜損保の「くるまの安心サービス」のケースです。これは、サイトにも明確に「本掲示は2006年9月1日以降始期契約の内容となっています。>>2006年8月31日以降始期契約の内容はこちら」と書かれていることから分かるとおり、B の方ですから。
 
 
もうちょっとだけ続きます。