チューリッヒのロードサービス他社比較

チューリッヒ保険会社のサイトが本日リニューアルされました。結構大幅なリニューアルをしたようで、さすがにデザイン面や使い勝手はかなり良くなっています。
「新しいブランドコンセプト「チューリッヒHelpPoint」の開始とウェブサイトリニューアル(www.zurich.co.jp)」
http://www.zurich.co.jp/aboutus/news/release/pr090128.html
チューリッヒ保険会社 プレスリリース 2009.1.28)
 
ただ、一点非常に拙いのではないかと思われることがあります。
それはココ↓です。
「ロードサービス他社比較」
http://www.zurich.co.jp/direct/auto/navi/road.html
拙いと思う理由は以下の2点です。

  • チューリッヒのロードサービスは同社の一方的なサービスであり、契約時に提示したサービスが必ずしも補償されるわけではない。
  • 商品の一部で以って自社商品が優れているかのような宣伝をしている。

早い話が、実際にサービスが必要となったときに存在するかどうか約束できていない上に、そんなものを他社より優れていると見せて募集の材料に使うのはおかしいんじゃないか?ということです。
念のためですが、自社のサイトで不特定多数に商品やサービスの説明をすれば、それは募集の材料とみなされます。
ざっくりと感覚的に書きましたが、根拠を含めてもうちょっと掘り下げてみます。
 
1点目については、ロードサービス規定に以下の条文があります。
自動車保険ロードサービス規定」
http://www.zurich.co.jp/direct/auto/assistance.html

第10条(終了、中止、変更等)
当社は、事前または事後に契約者に通知することなくロードサービスを終了もしくは中止、または内容の変更ができるものとし、契約者はあらかじめその旨を承認するものとします。

これの意味するところは、契約時にはあったサービスが、契約終了時まで補償されるわけでもないし、連絡されることすらなく終了されている可能性があることを正当化しています。
保険の付帯サービスについては、以前に「付帯サービスについての豆知識」「付帯サービスについての豆知識(其の弐)」「付帯サービスについての豆知識(其の参)」「付帯サービスについての豆知識(其の四)」で取り上げました。そこで書いたとおり、チューリッヒのロードサービスは商品そのものではなく、オマケ的なものだと言えます。
ロードサービスを強調したいのなら、オマケではなく、契約者ときちんと契約した商品という位置付けにすべきです。そして、それなら、せめて終期までは契約時に約定したサービスを補償すべきです。
 
2点目については、保険業法違反ではないかと私は思っています。
保険業法第300条第1項第6号に、以下の条文があり、チューリッヒのロードサービスの他社比較はこれにひっかかります。

(保険契約の締結又は保険募集に関する禁止行為)
第300条 保険会社等若しくは外国保険会社等、これらの役員(保険募集人である者を除く。)、保険募集人又は保険仲立人若しくはその役員若しくは使用人は、保険契約の締結又は保険募集に関して、次に掲げる行為(次条に規定する特定保険契約の締結又はその代理若しくは媒介に関しては、第1号に規定する保険契約の契約条項のうち重要な事項を告げない行為及び第9号に掲げる行為を除く。)をしてはならない。
 (略)
6.保険契約者若しくは被保険者又は不特定の者に対して、一の保険契約の契約内容につき他の保険契約の契約内容と比較した事項であって誤解させるおそれのあるものを告げ、又は表示する行為
 (略)

一部分の自社が優れている項目だけで以って、他社との比較を行い、自社商品が優れていると誤認させる恐れのある表示を行い、契約を募集する行為は禁じられています。
何度か私のブログで述べていますが、私は商品比較自体は否定しないどころか、できるようにすべきだと思っています。しかし、それは公正に行うことが大前提です。
自社の有利な部分だけ取りだして比較するのは論外ですし、罰せられるべきと考えます。