自動車保険のゴールド免許と運転者限定

以前(7/21)に「自動車保険の運転者限定と年齢条件」というタイトルで運転者限定と年齢条件という2つの割引について書きましたが、今度はゴールド免許と運転者限定についての話です。
なお、全部の損害保険会社の商品を調べるのはめんどくさいので、大手6社の商品に絞ることにします。
 
リスク細分型の自動車保険では、どの会社の保険の商品でも「ゴールド免許割引」があります。
これは、保険始期時点で記名被保険者の免許証がゴールドの場合に使える割引です。よく訊かれる質問で、例えば「夫婦割引を使いたいけど、夫婦両方の免許証がゴールドでないとダメでしょうか?」という類のものがありますが、そんなことありません。記名被保険者の免許証だけを見ていればいいのです。
なお、損保ジャパンのONE-Step(個人用自動車総合保険),あいおい損保のトップラン(個人総合自動車保険)では、免許証がゴールドであるだけでなく年齢条件が一定以上の場合でないと、ゴールド免許割引を適用することができないようです。
 
記名被保険者の免許証の色だけがポイントなのでゴールド免許割引と運転者限定割引の2種類の割引はお互いに独立したもののため相互の関係はないように思えます。
実際、運転者を限定しない場合、家族限定にした場合、夫婦限定(=本人・配偶者限定)にした場合においては、ゴールド免許割引と関係がありません。しかし、本人限定割引だけはちょっと別です。
なお、東京海上日動のトータルアシスト(総合自動車保険),三井住友海上のGK(家庭用自動車総合保険),損保ジャパンのONE-Step(個人用自動車総合保険)は、本人限定割引が現在では存在しないため、ここからの話は無関係です。
 
運転者を本人に限定しない場合、例えば、夫婦限定の場合では以下のケースどちらもゴールド免許割引が使えます。しかも、割引率は同じです。
ケース1
 記名被保険者の免許証がゴールド・記名被保険者の配偶者の免許証がゴールド
ケース2
 記名被保険者の免許証がゴールド・記名被保険者の配偶者の免許証がブルー
言いかえれば、本人限定ではない場合は、ゴールド免許割引を適用していても、ゴールド免許ではない人が運転することもありえるということになります。
しかし、本人限定の場合はこのような曖昧さがありません。本人限定でゴールド免許割引を適用する場合は、ゴールド免許保持者以外が運転することがない!ということを意味します。これは、事故率が低くなることが期待できます。
この考えを推し進めると、ゴールド免許割引の特別版として、運転者が本人のみのゴールド免許割引は更に割引率を大きくすることができるので、新たに割引を1区分作ることができます。
この"運転者が本人のみのゴールド免許割引"は、「ゴールド免許割引(運転者本人のみ)」ではなく、「本人限定割引」という名称になっているようです。
 
一方、単純に運転する人が少なければ、事故率が低くなるので割引率と大きくしようという考え方もできます。
物凄く単純にした計算例で考えてみます。仮に1人の事故率が5%とします。
1台の車につき運転者が4人いた場合、その車の事故率は、
1-(0.95^4)≒0.185・・・約18.5%
1台の車につき運転者が2人いた場合、その車の事故率は、
1-(0.95^2)≒0.098・・・約9.8%
そして、1人の場合、その車の事故率は、
1-(0.95^1)=0.05・・・5%・・・当たり前ですね。
運転者を少なく限定するほど割引率を大きくするというのは、車を使う人が少なければ事故率は低いだろうという直感に沿った考えと言えます。
こうして、家族限定,夫婦限定の延長として、本人限定を、つまり「本人限定割引」を作ることができます。
 
現在、「本人限定割引」には、この2種類の両方が存在します。
具体的にいうと、あいおい損保のトップラン(個人総合自動車保険)は前者、日本興亜損保のカーBOX(くるまの総合保険)とニッセイ同和のぴたっとくん(パーソナル自動車保険)が後者のようです。
この違いは、「本人限定割引」の適用条件の違いとなってきます。前者の場合はゴールド免許割引が適用できることが本人限定割引の条件の1つとなりますが、後者の場合はそれがありません。
 
「本人限定割引」という一見何の変哲もない割引に、こんな会社別の違いがあることがあるので保険商品を比べるときは気を付ける必要があります。
# 本人限定割引をやっていない3社はこの辺が鬱陶しくて止めたのかもしれません。