金融庁は方針の変更をするのだろうか?

金融庁の現在の行動の指針は、以下のベター・レギュレーションです。「保険検査マニュアルの改定」にも「平成20事務年度 保険会社等向け監督方針」にもそれが如実に表れています。
「金融規制の質的向上 ― ベター・レギュレーション ―」
http://www.fsa.go.jp/policy/br-pillar4.html
金融庁 金融庁の政策)
 
ここでちょっと気になることがあります。
↑の初っ端で以下のように述べています。

(なぜ、いまベター・レギュレーションなのか?)
   (中略)
(2) 金融セクターを巡る局面の変化
「金融システムの安定」、「利用者の保護」、「公正・透明な市場の確立と維持」という金融行政の目的を巡る状況が大きな変化を遂げています。不良債権の処理が進んで金融システムへの不安が払拭される一方、利用者保護や市場の公正や透明性を巡る問題の顕在化を受けた官民を挙げての取組の結果、枠組みの整備や実態の改善が進んでいます。こうした流れを定着させ更に深化させるという現在の局面においては、各金融機関の自己責任と自助努力による様々な課題への取組みが重要であり、金融規制もまた、金融機関の自己責任を重視し、自助努力を促すように変わっていく必要があります。

ここでは、
「金融システムの安定」
   ↓
「利用者の保護」
   ↓
「公正・透明な市場の確立と維持」
の順に状況が変化したからこそ、今この局面でベター・レギュレーションに取り組むべきと言っています。
 
しかし、現状はどうでしょう?
「金融システムの安定」に逆戻りしてしまった感が否めません。
とすると、上の話の前提が崩れてしまいます。
前提が崩れたのなら、再度どういう方針にするのが考えなおすべきかと思います。
 
また、以下の記者会見の中で金融機能強化法の話があり、そこで経営責任をどうするかについて少し触れていますが、経営責任を問わない可能性があることを示唆しています。そのことは、ベター・レギュレーションの中でいう『金融機関の自己責任を重視』と相反します。
「佐藤金融庁長官記者会見の概要(平成20年10月16日)」
http://www.fsa.go.jp/common/conference/com/2008b/20081016.html
金融庁 記者会見 > 平成20年7月〜12月)
 
金融機能強化法が復活したときには、金融庁の指針もちょっと変更されることになるかもしれません。