セゾンの火災保険新商品

セゾンが新商品を出しました。
多分、これは既存商品をちょっと変えてペットネームを付けたというレベルのものではなく、本当の意味での新種目だと思われます。
 
「組立式火災保険『じぶんでえらべる火災保険』発売」
http://www.ins-saison.co.jp/images/scripts/img220081023155039.pdf
セゾン自動車火災保険株式会社 News&Topics 2008.10.23)

セゾン自動車火災保険株式会社(代表取締役社長 松澤攻臣)は、お客さまの住環境などに応じて補償内容を自由に選択できる個人向け火災保険『じぶんでえらべる火災保険』(組立式火災保険)を開発し、10月より発売いたします。

のっけから“10月って何年の10月だよ!”とツッコミたくなります。
10月下旬に日付を明示せずにこう書いているということからすると、来年 つまり 2009年10月ではないかと思います。それはそれで随分先のことを発表している気もしますが。
ともかく、こうやってニュースリリースしているということは、この内容で金融庁の認可を取得したということを意味します。火災の料率改定をやることが分かっているのに、このタイミングで新商品の認可を取りに行く方も出す方もどうなのかなという気がします。
 

(1)建物・家財別に自由にえらべる補償【業界初※】※2008年10月現在、当社調査による
ご契約は、建物・家財別に「火災、落雷、破裂・爆発」を基本補償とし、「風災・ひょう災・雪災」「水濡れ、物体の落下・飛来、騒じょう等」「盗難」「水災」「諸費用」の5つの補償を自由に選択し、組み合わせて行います。例えば、建物は「火災、落雷、破裂・爆発」のみの補償として、家財は「火災、落雷、破裂・爆発」に「盗難」を加えた補償とするご契約ができます。

これが目玉です。補償内容自体に目新しいものはないのですが、火落爆という基本に好きな補償を任意でトッピングできるようにしたということのようです。
大抵の損保の火災保険は、フルパターン,標準パターン,ケチケチパターンの3パターンくらいを用意していて、そのどれかを選ぶようになっています。そこんところの自由度を高くしたのがセゾンのこの保険です。
その程度のことなので、その気になれば他社も既存商品で同じようなことはできると思われます。ただ、パターン販売は募集人のレベルが多少低くても売り易いと思われています。それに比べて、自由度が高くなれば募集人がリスクと補償を理解していなければならないので難易度が上がります。とは言え、イマドキ、リテール分野のこの程度の火災保険についてきちんと説明できる能力が募集人にないなんてことはどちらにせよ許されないので、募集人のレベルの話は過去のことだと私は思っています。
 

(2)構造級別区分の削減
構造級別を従来の4区分(A構造、B構造、C構造、D構造)から3区分(マンション構造、耐火構造、非耐火構造)に削減することにより、お客さまにわかりやすく、納得感のある保険料体系としました。

この新しい区分の基準が、従来の4区分を単純に切り直しただけなのか、料率機構にて最近OKになった新しい基準なのか気になるところです。
もしも、これが料率機構のものだとすると、それがOKになったのはつい最近の話で、それを利用した内容の新商品をこのタイミングで認可取得できたのなら、ちょっと…いやかなり驚異的なことです。
そうではなく、従来の4区分をベースにしている(つまり、主要構造(柱,壁,梁etc)で構造判断)のなら、このタイミングで出すのは判断を誤ったのではないかと思えます。なぜなら、来年下期には他損保はもっと簡便な基準で構造を判定する商品を出してくる確率が極めて高いからです。
 
後はそれほど大したことなさそうです。時価ではなく、再調達価額を基準にするというのも、昨今の業界のトレンドですし。
 
それでも、このタイミングで火災保険の新商品が出たというのは、非常に興味深いことです。是非詳しく知りたいものです。
ついでに、地震保険のイ構造,ロ構造とこの商品のマンション構造,耐火構造,非耐火構造は、同期がとれているのかも知りたいです。私の推測が外れていなければ、ここにはちょっとした困った問題が潜んでいるはずです。