日本興亜損保の自動車保険改定(其の四)

日本興亜損保のカーBOX(くるまの総合保険)が今年12月始期から改定されることはニュースリリースの時点で「日本興亜損保の自動車保険改定(1)」などで取り上げましたが、同社サイトの内容がいつの間にか改定後のものに変わっていたので改めて気づいた点について書こうと思います。
リリース資料を見た時はこの改定は大したことない内容だと思ったのですが、詳しく見てみると結構大きく変わっています。
 

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まず第一に契約概要や重要事項説明書、安心ガイド(普通保険約款・特約)が PDFファイルでダウンロード可能になりました。これは事前に詳しく保険内容を確認することが非常にし易くなったということです。重要事項説明書と普通保険約款・特約がいつでも見ることができるようになった点は評価できます。普通保険約款・特約の公開は、大手社の中では3社目ということになります。
以前は、日本興亜損保のサイトからは普通保険約款・特約どころか、パンフレットや重要事項説明書すら入手不可能だったので、一足飛びに改善されたと言えます。
 

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保険商品として大きなところでは、積立の売り止めです。これまで積立型基本特約を付帯して、GetBack というペットネームで販売していたのですが、それを止めるようです。
ここ数年の低金利の状況が今後も続くと予測されるので、妥当な判断ではないかと思います。自動車保険は積立にしなくても保険料は高いし、そこに利息のメリットのほとんどない積立が乗っかったら売れるシロモノではありませんから。
 

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保険料に関しては、東京日動海上に倣って安全装置割引を廃止しています。つまり、エアバッグ,ABS,横滑防止装置,安全ボディの割引をなくしたということです。
また、盗難防止装置と低公害車の割引もなくしたようです。
安全装置については、もともと自家用普通乗用車と自家用小型乗用車には割引がなかったので、主に自家用軽自動車ユーザーに関係のある話です。

単に割引を廃止するものではなく、用途・車種別に(安全装置などの)平均的な装備率に基づいて基本保険料を引き下げます。

安心ガイドP.22に↑のようにあるので、割引を廃止した分を保険会社のふところに入れるということはしていないようです。装備率の分だけ下げるということなので、割引が適用されていた契約は保険料が高くなり、適用されていなかった契約は安くなるということを意味します。
これはおそらく割引不適用による保険料の取り過ぎ問題の解消を狙ったものでしょう。以前に「契約内容の適正化(3)」の時にも東京海上日動の施策に関して述べましたが、個人的にはこの割り切りは間違っていないと思います。
 

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人身傷害に関して、普通保険約款での補償範囲が狭くなっています。
日本興亜損保以外の大手社は、人身傷害は普通保険約款の範囲では被保険自動車搭乗中または家族が自動車事故にあったときとしていますが、日本興亜損保はそれを普通保険約款で交通事故全般および建物内火災に拡大していました。
その点について、他の損保と同じになるよう普通保険約款の範囲を改定して、拡大部分は特約で担保するようにしたようです。
以前に「日本興亜損保の自動車保険改定(3)」で以下のように述べましたが、フタを開けてみたら特約化ということでした。そうなら最初からそうリリースしろよ!と思いますが。

なお、補償内容の見直しのついでに交通事故危険を普通保険約款から外して特約化することは考えなかったのでしょうか?おそらく考えたと思います。しかし、実は人身傷害補償というのは儲かる部分なので、多くの契約者に厚い補償のままつけてもらいたいというのが本音かと思われます。(これは保険料の安さで勝負するダイレクト系損保以外は、多分どの会社も同じです。)

いずれにせよ、これにより保険料は安くなるはずです。車両ほどではありませんが、人身傷害は結構保険料が高いので価格競争力に影響が出てくると思います。
 

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これまで「日本興亜損保の「くるまの安心サービス」 」で分かりにくいと書いてきた付帯サービス(くるまの安心サービス)と普通保険約款の事故・故障付随費用条項の関係も改善されています。
これはこれでボリュームが増えそうなので、また後で書くことにします。