ライフネット生命と付加保険料の開示

今更という気がしますが、生保業界で大騒ぎとなったライフネット生命保険株式会社の付加保険料の開示について、思うところを書いてみようと思います。
 
本題に入る前に、、、私はライフネット生命のサイトで保険料の試算やその付加保険料がいくらなのか試していません。このブログで取り上げるのが遅くなったのも、試していないものを取り上げるのはいかがなものかという思いがあったからです。
なぜ試していないのかというと、私のPC環境ではライフネット生命のサイトは重くて、まったく試す気にならないからです。
今のライフネット生命のサイトは、すべての損保会社,生保会社のサイトの中でダントツで遅いというのが私の認識です。
ライフネット生命は、インターネット主体のれっきとしたダイレクト系生保のはずです。そんな会社が、もっとも優先して力を入れるべきであるサイト構築に手を抜いている/重大な欠陥に気づかないでいるというのは問題です。サイト構築というのは、見た目以前に速度の確保を先にすべきであると思います。
契約数が伸びない原因の一端は、このサイトの重さにもあるのではないかと思っています。何しろ、トップページですら重いのですから。
 
以上の理由から、このブログは↓の内容を元に書いています。
「付加保険料率(生命保険の「原価」)の開示について」
http://www.lifenet-seimei.co.jp/deguchi_watch/2008/11/post_23.html
ライフネット生命保険株式会社 お知らせ 2008.11.25)

わが国で、比較情報を発展させるためには、まず、約款(商品の内容)と保険料表(商品の値段)の開示が必要ではないか、と思います。この2つの情報が公開されない限り、比較情報を発展させることは不可能です。さらに、生命保険は他の商品と比べて依然として売り手である保険会社と買い手である消費者の間の情報格差が大きいことを考えると、生命保険会社が自ら(生命保険事業の運営経費にあたる)付加保険料の開示を行ってお客さまの判断材料を提供することも大切であると思います。
ライフネット生命は、このように考えて、11月21日に、中間決算に合わせて付加保険料率の全面開示に踏み切りました。
具体的には、死亡保険(定期)「かぞくへの保険」を例に挙げると、30歳男性、保険期間10年、保険金額3,000万円の場合、月額保険料3,484円のうち、815円(23%)が保険会社の運営経費に相当する付加保険料となっています。

付加保険料率に対して"生命保険の「原価」"という副題を付けていますが、それなら純保険料率を指すべきと思います。ちなみに、純保険料がいくらになるのかの目安は、DIAMOND online の「調べてみよう!生命保険の原価計算機」で分かります。
http://diamond.jp/hoken/genka.html
こちらの方が、ライフネット生命の付加保険料の開示よりも先に公開されていたかと思います。
尤も、これは死亡保険のみですし、この程度のものは予定利率と予定死亡率のデータがあり、生命保険数理の心得と Excel があれば誰でも作れる代物です。また、同じデータで数式を変えれば、年金保険についても純保険料が出せます。
ただし、具体的に特定生保の特定商品について、純保険料を知ろうと思ったら、その商品の保険料算出方法書が必要です。これは金融庁に商品認可を得る際に必要な基礎書類の1つですが、どの生保も開示していないために外部からは知ることができません。
 
ライフネット生命が行ったのは、保険料中の事業費実額ではなく、保険料計算における事業費の予定額(維持費,新契約費etc)の開示です。ライフネット生命は開業して1年も経っていないので、正確な保険料中の事業費実額は分からないはずですから。
両者の差が生命保険の費差なのですが、費差益はどの生保会社もそれほど大きいものではないと言われています。それよりも死差益で稼いでいるようです。ライフネット生命が他生保との差別化を徹底的にやるなら、説明が面倒でも純保険料と死差益の話と、将来的には三利源それぞれの開示をするのがベストではないかと思います。
 
いずれにしても、付加保険料の開示は契約者にとって生命保険が分かり易くなるという点において望ましいことです。生命保険は身近なものでありながら、補償に対して保険料がどのくらいであれば適正なのかということは不思議と長年誰も触れてこなかったことです。誤解を恐れずに書いてしまうと、それをいいことに使い捨てとも言われるセールスレディの育成・管理に費用を注ぎ込んできたのが古い生保のやり口と見ることもできます。古い生保がライフネット生命のやったことを嫌う理屈はこのためでしょう。
また、ライフネット生命がこの延長で既存生保では非公表としている様々な情報を公開するのであれば、それも革新的なことと評価できます。少なくとも、情報を隠したまま不透明な運営を続けようとしている他の生保よりもずっと良いと思えます。仮に経営が悪化したとしても、情報が適切に開示されていれば、大和生命のように寝耳に水でいきなり破綻する可能性も低くなりますから、ある程度安心できますから。