アドリックの自動車保険料比較

去年(2008年)の年末あたりからアドリック損害保険株式会社のサイトで、「自動車保険料 節約体験コーナー」という名前で、また自社の自動車保険について保険料をアピールする宣伝をしています。htmlのソースのコメントによると、11/27 からのようです。
正直言って、品性のかけらもない広告だと私は思っています。
 
とりあえず、品性の話は置いておいて、これは募集上問題のある広告だと考えられます。
なぜなら、補償内容には一切触れずに保険料だけで判断を促すようなことをしているからです。
確かに操作は簡単です。何しろ実質は以下の「1」〜「5」の5項目しか保険に関することを訊いていないのですから。
「1」.車の主な使用目的は?
→日常・レジャ,通勤・通学,業務
「2」.運転者で最も若い方の年齢は?
→20歳以下,21〜25歳,26〜29歳,30〜34歳,35歳以上
「3」.運転者の範囲は?
→「本人のみ」運転,「夫婦のみ」運転,「家族のみ」運転,「家族以外」も運転,
「4」.保険加入後の、事故状況は?
→現在保険未加入,約5年事故なし,約10年事故なし,15年以上事故なし
「5」.車の排気量は?
→660cc以下,661〜1500cc,1501〜2000cc,2001〜2500cc,2501cc以上
「6」.現在の年間自動車保険料は?
見てのとおり、補償内容どころか保険金額すら入力させません。
それでもって、現在加入の保険と比較して、「ほら、アドリックなら今の保険に比べてこんなに安いでしょう」と言わんとするのだから、どうかしています。
確かに、これはあくまで目安であって、実際に契約するには正式に見積もりをする必要があります。当然、正式な見積もりではきちんとすべての必要な情報を入力する必要がありますし、「節約体験コーナー」の保険料と結果が異なる可能性があります。
どうせ契約の意思がある人は正式な見積もりをするのだから、簡易見積もりである「節約体験コーナー」ではいい加減な保険料で比較をしても良いというのでしょうか?私はNGと思っていますが、アドリックはOKだと考えているのでしょう。
 
私は、保険料を含めた保険商品の比較自体は、契約する側からすれば当然の要求だと思っていますし、そういうことをすることに対して賛成です。
しかし、このような不完全なやり方には大反対です。こういういい加減なことをする輩がいるから、業界の古い人達が「ほら、保険料の比較をするとこうなるんだ」と否定的なことを言って、商品比較自体をつぶしにかかりにくるのです。(大手損保は昔(自由化の頃)から本音では保険料比較をして欲しくないのです。当然、代理店に対してもそのように洗脳してきました。)
 
余談ですが、一般的に損保会社は普通、法務または代理店管理を司る部門(コンプラ部門)において、募集文書のチェックを保険に関する法律や施行令,施行規則、業界の各種ガイドライン等に基づいて行います。
この「節約体験コーナー」は、明らかに損保協会の「募集文書等の表示に係るガイドライン」に反したものですし、一般消費者に誤解を与えかねないという点で景品表示法上もクロであると考えられます。
アドリックは、コンプラ部門が存在しない/コンプラ部門がザルのいずれかと思われます。代理店が親会社だから、営業中心のイケイケ状態になっているのでしょうか。少額短期ではなく、損害保険会社なのだからあまりにもいい加減なのは問題です。