超過保険…今・未来

火災保険・共済の超過重複保険に関する質問が、Yahoo!知恵袋の保険のカテゴリに立て続けにありました。保険屋からすると、何でこんな行動に出るのか理解し難いのですが、それほど珍しいことでもないようです。
「火災保険と火災共済は二重に補償されないの?」
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1323130838

住宅購入時に火災保険に加入しました。
その後共済は別物と思い込んでいたので、県民共済の火災共済にも加入しているのですが、もしもの時は二重には補てんされないのでしょうか。無駄ガネだったのでしょうか。

「賃貸アパートの火災保険の加入について」
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1223543512

アパートで契約のときに2年契約で家財+賠償責任の火災保険に入っています(AIUのリビングサポート保険)。保険料は2年で1万円で、基本の補償は159.5万円、賠償責任は2000万円でした。
そして、うちのアパート周辺は窃盗が多いので、共済の新型火災保険にも入っています。家財のみで、保険料は1年で3200円、補償は400万円です。
2つの火災保険に入っているのって、意味のないことでしょうか?

現在の火災保険は、火災共済も火災保険と同様に扱う旨が保険約款で定められています。従って、同じ目的に付保すれば重複保険ということになるし、その保険金額の合算が保険価額を超えれば超過保険です。超過保険なら、保険価額を超過した分は保険金が出ませんし、その分の保険料は無駄になります。
・・・というのは、今の話であって、あと1年とちょっと先の未来は扱いが変わってくるはずです。
 
というのも、昨年6月に成立した保険法の第二章 損害保険 第二節 効力の第9条(超過保険)にて、超過保険について以下の規定があるからです。

(超過保険)
第九条 損害保険契約の締結の時において保険金額が保険の目的物の価額(以下この章において「保険価額」という。)を超えていたことにつき保険契約者及び被保険者が善意でかつ重大な過失がなかったときは、保険契約者は、その超過部分について、当該損害保険契約を取り消すことができる。ただし、保険価額について約定した一定の価額(以下この章において「約定保険価額」という。)があるときは、この限りでない。

この第9条のただし書より前の部分は片面的強行規定なので、保険約款で超過分を無効とする規定があっても、それは契約者不利なので保険約款よりも保険法の規定が優先適用されます。
保険法施行後においては、超過分は取り消すことができるとあることから、超過分相当分の保険料を返してもらうことができるはずです。
上に挙げた2つ質問に対する回答も微妙に異なってきます。
とにかく、保険法は特にリテール分野で保険を扱う人にとっては要注意です。不勉強でいると「保険料取り過ぎ」や「遅延損害金不払い」といった不祥事を起こしかねませんから。