保険の基本問題に関するWG(6/3)資料

6月3日に開催された金融分科会第二部会 保険の基本問題に関するワーキング・グループの資料が公開されています。
「保険の基本問題に関するワーキング・グループ(第53回)議事次第」
http://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/dai2/siryou/20090603.html
金融庁 審議会・研究会等 > 金融審議会 > 議事録・資料等 2009.6.4)
 
今回のWGの資料を見ると、検討時効の整理と今後の方向性についてまとめられていました。それによると大枠の話と個別論点の話に分けて、大枠の話はWGで継続検討し、個別論点の話は下位組織で進める案が出ています。
 
ちょっと心配なのは、その下位組織で進める個別論点の方です。
なんだかんだと言いつつ、これまでのWGを見ると、中立かつ公正な見方で議論がされているように感じます。
それがWGの手を離れると、既得権者ばかりが集まって厚生労働省薬事法のような消費者のためと言いつつ自分の利益を守ることを主眼とした結果を出すおそれがあるかもしれないと思っています。特に密室で議論が行われるなら尚更心配です。
なお、個別論点として挙げられているのは以下のものです。
○ 情報提供の義務
○ 適合性の原則
○ 募集文書(実務的検証)
○ 広告規制(実務的検証)
○ 募集主体
○ 募集コスト開示
○ 募集人の資質向上(実務的検証)
○ 保険金支払
○ 商品のあり方
○ 保険料積立金等の支払
2008.7.3に「今後の検討テーマ」として挙げていたものと同じものもありますし、なくなったもの(保険の規制緩和(保険契約移転時における移転単位の見直し,資産別運用比率規制の見直し),セーフティネット)もあります。
随分前に、比較広告(ニーズに合致した商品選択に資する比較情報のあり方)の件がWGから下に降ろされたのですが、どうなったのでしょうか?「みんなが主役、保険商品の比較に関する自由討論会」が去年の5月に終わってから、まったくアウトプットがないのが気になります。これも古い保険会社はやりたくないことでしょうから、意図的に止めている可能性があります。
それと同じように今回も既存損保会社にとって都合の悪い内容は、WGの手を離れた途端に骨抜きにされる可能性がないとは言えないと思います。WGは下におろしておしまいにするのではなく、適切に管理してもらいたいものです。
 
大枠の話では、適切な募集・支払のためには、募集体制だけでなく、商品自体も見直す必要があるという議論もされたようです。こちらは相当に難しい話で、欧米の制度と比べつつ現状の問題解決のために議論されると思いますが、慎重に検討してもらいたいところです。
こちらの話はどう転んでも、一定の結論が形になるのは早くても5,6年後だと思っています。
 
今回のWGのことは、以下にも書かれていました。
「金融審、保険商品の情報適正化報告 個人向け代理店も規定必要」
http://www.business-i.jp/news/kinyu-page/news/200906040076a.nwc
(FujiSankei Business i 2009.6.4)

金融審議会(金融庁長官の諮問機関)は3日、作業部会を開き、保険の販売や支払いをめぐる問題に関する中間論点整理を報告、おおむね了承された。複雑化した保険商品に対する顧客向け情報の適正化などが柱で、6月中に取りまとめた後、来年以降の保険業法の改正も視野に金融庁で検討を進める。

記事は、どちらかというと個別論点の概略がほとんどでしたが、資料やこれまでの議論と整合しており、記事そのものは信用できそうです。
とすると、↑の保険業法にWGで検討した内容が盛り込まれるかもしれないということも信憑性が高いです。私の感覚では、監督指針に入れる話ではなかろうかと思うのですが。