東京海上日動の自動車保険7月改定

東京海上日動火災保険株式会社自動車保険は 2009年7月1日以降始期分から改定となるのですが、その内容を見てみました。
「2009年7月:自動車保険 商品改定に関するご案内」
http://www.tokiomarine-nichido.co.jp/service/auto/pdf/200907jidousyakaitei.pdf
もう随分前から出ている情報なので今更ですが、今回の改定の目玉でしょうから一応書いておきます。

2 保険料を改定します。
(1) 保険料水準の見直し
直近の保険金のお支払状況を踏まえ、自動車保険の保険料引き上げを実施させていただきます。ご契約条件等により引き上げ幅は異なります(一部のご契約については引き下げを実施させていただきます。)
(2) 長期優良契約割引の拡大
長年無事故のご契約に適用される長期優良契約割引の割引率を、現行の▲5%から▲7%に拡大します(ノンフリート契約のみが対象)。

 
保険料の話だけなら今更ブログに書くほどのものでもなかったのですが、他にも興味深い改定内容があります。

対物賠償責任保険の改定
 
ご契約のお車等に積載されている危険物の火災、爆発または漏えいに起因する対物事故および航空機の損壊による対物事故の場合は、対物賠償責任保険の保険金額が30億円を超えるときであっても、30億円を限度に保険金をお支払いすることとします。

これは、2008年8月3日の首都高速5号池袋線タンクローリー横転・車両火災事故がきっかけでしょう。
対物賠償:無制限といっても、実際に賠償額が1億円を超える対物事故は滅多に起こりませんし、これまでの最高額も損害保険料率算出機構の資料によると 2億6135万円です。
そこにいきなり一桁違う対物賠償事故が起こってしまったのです。賠償請求額は、45億円程度と聞いています。こういうことがあると分かったからには、元受保険会社は再保険でカバーしようとするでしょうけど、無制限という再保険はありません。おそらく再保険会社は、6億以上30億までといった感じの引受をすると思います。
30億円を超えた場合は元受保険会社の負担となるのですが、そんなリスクは取れないということで約款で限度額を定めることにしたのだろうと思います。
 

レース・ラリー使用に関する改定
 
①ご契約のお車等を競技・曲技等に使用する場合の通知義務を廃止します。
②ご契約のお車等を競技・曲技等に使用する場合は、保険金をお支払できなくなります。

これは、保険法対応を先取りした内容のようです。保険法では、通知義務について事後に「遅滞なく」通知すれば良いことになりました。なお、従前(現行商法)では、ケースによって「あらかじめ」通知すべきか「遅滞なく」通知すべきか分けられていました。
競技・曲技・試験や危険物の積載・牽引は、「あらかじめ」通知すべき通知事項です。しかし、それが保険法により変えざるをえなくなったので、競技・曲技・試験については通知義務から外して免責事項として定めたものと思われます。
 

危険物積載に関する改定
 
危険物を積載している時または危険物を積載した自動車をけん引している時の、通知義務およびこれらの場合に適用される保険料の割増を廃止します。

これも背景は、先に述べた保険法の通知義務の問題と同じと思われます。しかし、免責にするのではなく、薄く保険料を全体的に割増にしてこのリスクに関する収支が合うように純保険料率をいじって、このようにしたと思います。つまり、危険物積載・牽引の割増保険料の分を全体から徴収するということにし、通知不要で危険物積載・牽引時のリスクを持つようにしたようです。