ソルベンシー・マージン比率の改定

ソルベンシー・マージンの計算の要素となる項目について算入する基準を変更する案が作成され、それに対する意見募集が金融庁サイトにて行われています。
ソルベンシー・マージン比率の見直しの改定骨子(案)について」
http://www.fsa.go.jp/news/21/hoken/20090828-1.html
金融庁 報道発表資料 2009.8.28)
内容については、細かく分析して評価するほどの知識を持ち合わせていないため、コメントを控えます。
しかし、今回の変更の趣旨が↓ですから、保険会社の安全性を見る上で現在の基準のソルベンシー・マージンよりはあてになるものと思っています。

同年10月の大和生命の破綻や、同年秋以降の金融危機の教訓、更には骨子(案)に対する意見等を踏まえ、ソルベンシー・マージン比率の信頼性にかかる一層の向上の観点から、

現在の基準のソルベンシー・マージンでは、大和生命は 500%を超えていたにもかかわらず、破綻しました。200% あれば一応大丈夫ということになっていますから、まったく無意味な指標だと謗られても仕方ないと言えます。
今回の改定を踏まえた基準で、大和生命ソルベンシー・マージンを計算すると 200%未満になるのでしょうか?
そして、2008年度末の決算数字を用いて今回の改定された基準で各社のソルベンシー・マージンを計算すると何%になるのかということについて、非常に興味があります。
 
今回の改定について、1つ納得のいかないことがあります。それは実施時期です。

従って、新基準の実施時期については、契約者や市場等への十分な周知期間及び保険会社各社における新基準への対応のために必要な準備期間を設けるとの観点から、経済動向等も見極めつつ、平成24年3月期末の決算から早期是正措置の指標として適用(ただし、23年3月期末の決算から参考指標として新基準による比率を算出して表示)することを基本とする。

公表(参考指標)するのは、2010年度の決算からとのことです。
これでは、遅すぎて意味がないと思います。何故、参考でも構わないから、2009年度の決算から公表をしないのでしょうか?そもそも、ソルベンシー・マージン比率は何のためのものなのでしょうか?
保険会社が破綻した場合は、保険契約者も一定の不利益を被ります。なので、保険契約者が自己責任で保険会社を選択する材料として、ソルベンシー・マージン比率が公開されているのであり、そして今の基準が不完全なら、消費者のために一刻も早く適切な指標に改めるべきです。
それを先延ばしにするのは、保険会社にとって都合の良い数字を出せるようになるための時間稼ぎのために時期を調整しているのではないかと思います。