損保ジャパンの火災保険大改定(其の弐)

火災保険は、多分ほとんどの損保会社が2010年1月始期で商品改定(保険法対応・火災保険参考純率改定・地震保険改定)をするのはほぼ確実だと思っていますが、ニュースリリースの口火を切ったのは株式会社損害保険ジャパンでした。
「<業界初>評価済保険を導入した個人向け火災保険の発売」
http://www.sompo-japan.co.jp/news/download/20090901_1.pdf
(株式会社損害保険ジャパン ニュースリリース・トピックス 2009.9.1)
目新しいのは、評価済保険の導入の部分のようです。
それ以外も、いろいろ変わっているはずですが、大体予想が付くので約款が出てこないなら急いで見ることもないです。
なお、旧来の住宅総合保険や住宅火災保険ならともかく、各社が主力とすべくオリジナルで販売している火災保険は、価額協定100%・水災実損支払選択可能というスペックを持っているのが普通です。
実際の保険金支払は、これと大きくは異なることにはならないと思います。
理屈上では、価額協定保険の場合はざっくり書くと、支払保険金=損害額×保険金額/協定価額 で、損害額に応じて支払うことになっています。とは言え、適切に付保していれば、全焼時は保険金額と同じ額が支払われることと思います。
損保ジャパンのこの保険は、そこを理屈そのものも全損時は保険金額を支払うと約款を改めたのではないかと思われます。
早い話が自動車保険の車両保険で価額協定ありの場合と同じではないかということです。
 
全損時は保険金額がそのまま払われるとは言っても、保険金額を実態よりも著しく高額に設定することは、不当利得防止の観点からNGのはずです。つまり、物件の評価を適正にしなければならない点は、今までと同じです。尤も、今まで必ずしも適正にできていたのか?という疑問はありますが。
従って、おそらく募集面で殊更に意識する必要はないし、契約する側から見てもこれだけを理由に積極的に選択する必要もないだろうと思います。
一方で、火災の損害調査部門は新たな保険金支払基準が追加となった点で、多少の混乱はあるかもしれません。
 
どうでも良いことですが、損保ジャパンは商品のペットネームの統一はやらなかったようです。
東京海上日動火災保険株式会社三井住友海上火災保険株式会社が出す次の火災保険のペットネームは、現在の自動車保険のペットネームと同じにするようですが、そこは考え方がきっと違うのでしょう。
それと、統合相手の日本興亜損害保険株式会社の次の火災保険とどこまで共通なのかも興味があります。個人的には、商品の開発や金融庁折衝のスケジュールを考えると、共通化は意識されずに作られたのではないかと思っています。
 
余談ですが、去年10月の「損保ジャパンの火災保険大改定(其の壱)」で触れた改定というのが、今回リリースされたこの火災保険ということになります。