イーデザイン損保のデータアクセス

イーデザイン損害保険株式会社がデータの拠点管理に関するニュースリリースをしています。
先ほど書いた同日にリリースされている「イーデザイン損保の映像連携」とともにITのインフラ周りについて相当の投資をして整備したと言えます。ちょっと疑問なのが、何故開業と同時にこれらをやらなかったのか?ということです。当時は安定稼働していない等のリリースできない理由があったのではないかと疑われます。
「ITを活用し、保険金支払い等の新しい損害保険のビジネスモデルを展開」
http://www.edsp.co.jp/company/company_010/2009/2009_09_24_1.pdf
イーデザイン損害保険株式会社 ニュースリリース 2009.9.24)

イーデザイン損害保険株式会社(社長 日暮 則武、以下「イーデザイン損保」)は、ITを活用した保険金支払部門の多拠点化やBCP対策(事業継続計画)といった新しい損害保険のビジネスモデルを展開します。
1.イーデザイン損保は、外出先からUSBキーを通じて自社のPCにアクセスできるリモートツールとしてNTTコミュニケーションズ株式会社(以下「NTT Com社」)が展開している Biz Communicator(ビズ コミュニケーター)*を導入します。また、2009年12月には Biz Communicator のオプションとして新たに開発される指紋認証付のUSBキーを導入予定です。
 (略)
2.イーデザイン損保はNTT Com社のBiz Communicatorの導入にあたり、ディスクレスの専用PCを保険金支払部門およびBCP対策関係者に配布し、「どこでもオフィス」としてセキュアな環境で、以下の新しい損害保険のビジネスモデルを展開します。

先に2番目の方をよく見てみると、「東京海上日動の社内PCシンクライアント化」とよく似ています。請け負っているのが、NTTコミュニケーションかNECかという違いがありますが、イーデザイン損保でいうディスクレスの専用PCとは東京海上日動シンクライアント端末と同義と読めます。
平たく言えば、イーデザイン損保も一定の範囲で東京海上日動と類似のシンクライアント化を導入したと見ることができます。
ただ、実効性について現時点では評価するのは時期尚早です。と言うのも、イーデザイン損保は、まだ保有契約も少なく事故も少ないと考えられるため、保険金支払部門がまともに稼働しているとは思えないからです。
また、ネット販売とは言え保険金支払は事故件数に比例した人員が必要であり、その数が増加するのであれば、保険金支払部門の人員は継続的に漸増させる必要がありますが、その場合に外出先からアクセスすることが妥当であるかどうかは疑問を感じます。採用したばかりの人にはそういう訳にもいかないし、ベテランがほいほい外に出ていても拙そうな気がします。
契約数も事故件数も一定に落ち着いて、人員構成が一定になったところで真の評価ができるのではないかと思います。
 
1点目の方は、シンクライアント化とやや発想が似ていますが、社外の普通のPCから社内のサーバーにアクセスする手段を提供するものと思われます。
リモートアクセスするツールは一昔前からいろいろ出ていましたが、悪用すれば容易に外部から社内の情報を取り出せるために情報漏洩の元凶となりかねず、限定的にしか使われてこなかったり、リモートする側・される側の双方のPCにツールをインストールしなければならなかったりとハードルがあったものと認識しています。
Biz Communicator がどの程度のものかは詳しく知りませんが、専用USBキーがさればリモートする側へツールをインストールする必要がなく使えるように思えます。
つまり、専用USBを持っていれば自分のPCや公共の場(空港や地下鉄の駅など)にあるPCから社内のPCをリモートできるということのようです。
 
これら2点の話を総合すると、保険金支払部門およびBCP対策関係者にはディスクレスの専用PCで、それ以外の者には専用USBで、社外から社内の情報にアクセスする手段を講じたということのようです。