日本興亜損保の自動車保険改定(保険法対応)(其の弐)

25日には「日本興亜損保の自動車保険改定(保険法対応)(其の壱)」で、日本興亜損害保険株式会社自動車保険の保険法対応約款から改定内容を書いたのですが、本日同社のサイトを見たら、既に自動車保険(カーBOX)のページや募集ツールが保険法改定後(2009年12月1日以降始期契約)のものに差し替わっていたので、その中の「重要事項説明書」から改定点を見ていこうと思います。
 
両面2枚というボリュームは前回のもの(2008.12.1改定版)と変わりはありません。
「契約概要」・「注意喚起情報」・「その他重要な事項」共に、冒頭の注意文言に、被保険者≠契約者の場合は被保険者も書面を読むようにと追加があります。もともとあった方が良い文言ですが、これは保険法で告知義務者に被保険者が追加されたことと関係があるかもしれません。
全体的に注釈の量が増えています。表示スペースは変わっていませんから、それに伴って益々ぎゅうぎゅう詰めになった感じがします。
 
以下は、「重要事項説明書」のうちの「契約概要」における目立った違いです。
「商品の仕組みと補償内容など」内の人身傷害保険の注釈に以下の内容が追加されています。

※記名被保険者、その配偶者またはこれらの方の同居のご親族が記名被保険者となる「他のご契約」がある場合、それぞれのご契約に補償範囲を広げる特約をセットすると、補償の重複が生じますので、ご契約内容をご確認ください。

日本興亜損保の人身傷害保険は、他社の人身傷害保険と異なり、普通保険約款のみの状態では被保険自動車搭乗中のみ担保となっています。それを拡大する特約「自動車危険補償特約」を付帯すると一般の他社の人身傷害保険と同じ内容になります。これは補償範囲が過剰とならないようにうまく商品設計されていると言えます。一般の他社の人身傷害保険では一家に2台以上の自動車がある場合、人身傷害保険を普通に付けると補償の重複が起こりますが、日本興亜損保の場合はそれが起こらず無駄な保険料を払わずに済みます。しかし、拡大する特約を付帯すると他社と同じことが起こるので、上記の※を入れることにしたのでしょう。
車両保険における略称の表現だけの問題ですが、「車対車ワイド」を「車対車+限定危険」とすることにしたようです。
「保険料のお支払方法について」の項に、初回口座振替が説明が新たに設けられました。「日本興亜損保の自動車保険改定(保険法対応)(其の壱)」で照会した内容がその半分くらいを占めています。
記載がなくなった事項として、「補足のご説明」内の任意付帯の特約のうち[財物損害担保特約(積載動産損害保険金)および積載動産損害担保特約(個人用・事業用)]があります。表示スペースの都合ではないかと思われます。
「補足のご説明」においては、対物賠償保険について保険金額が無制限であっても、危険物の積載・牽引等の場合は10億円をリミットとする旨の内容が追加されています。これは今回の商品改定に伴うものです。
また、車両保険金額の設定に関する注意文言が変更となっており、価額協定保険で超過保険の場合は時価を保険金額にする旨を記載しています。これは保険法対応で約款がこのように明確になったことと関係がありそうです。
 
以下は、「重要事項説明書」のうちの「注意喚起情報」における目立った違いです。「注意喚起情報」の方は結構大きく変わっています。
「主な免責事由」の書きぶりがかなり変わりました。代表的なものを列挙していることには変わりはないのですが、カテゴライズが変わり見やすくなっています。また、競技・曲技等の免責や賠償責任以外における重過失免責が表記されるなど約款の改定内容も一部影響しています。
「ご契約締結時における注意事項(告知義務)」については、保険法での告知事項の定義に沿った形で告知事項そのものの見直しが行われたようで、告知事項の項目そのもの変更となっています。また、これまでよりも詳細に項目が列挙されています。
「ご契約締結後における注意事項(通知義務など)」も、保険法における通知義務の変更に沿った内容に記載が大幅に改められています。通知事項の明確化や遅滞なく通知する旨の記載は、間違いなく保険法対応によるものでしょう。また、契約変更事項についても扱いが異なるカテゴリ別に項立てを変更しています。ちょっと疑問を感じる点がありますが、後で約款と突き合わせて確認をしておくことにし、今回は深追いしないことにします。
「ご契約の中断制度(中断特則)について」に関しては、説明内容がずいぶんと簡略化されました。中断制度そのものはこれまでと同じはずですから、これは単に表示スペースがなくなったために削ったものと思われます。
「事故が発生した場合のお手続き」が新たに大項目として設けられています。ここには、「日本興亜損保の自動車保険改定(保険法対応)(其の壱)」で書いた保険金請求書類が漏れなく記載されるのかと思っていたのですが、どうもハズレだったようです。日本興亜損保は別途保険金請求書類を記載した書面を用意し、それを契約締結時に配布するものと思われます。
 
以下は、「重要事項説明書」のうちの「その他重要な事項」における目立った違いです。ここは、規制上において必須とされていない部分なので、日本興亜損保がオリジナルで設けている箇所です。
「ご契約についてご注意頂きたい事項」の項全体がなくなっています。内容そのものは、10台以上はフリートになる件を除き、他の箇所にちりばめられたみたいです。
「ノンフリート等級別料率制度について」では、等級訂正やそれに伴う追加保険料の徴収に関する内容が削除されています。これもおそらくスペースの都合上カットしたものと思われます。
「その他ご注意頂きたいこと」では、「保険料率の改定などについて」が削除されています。これもおそらくスペースの都合上カットしたものと思われます。
最後の「用語のご説明」の用語についても、追加・削除があります。どちらかというと削除の方が多いです。これもおそらくスペースの都合上カットしたものと思われます。
 
全体的には、必要な改定内容を追加して、あふれる分を削除したようです。スペースを増やさないことは確定だったようで、配置や内容に苦慮した様子がなんとなく想像できます。
それでもぎゅうぎゅうであることには変わりはありませんが、ただ単に一方的に記載事項を増やすだけの無能なことはしなかっただけマシと言えると思います。
他社の重要事項説明書も順次出てくると思いますが、それも見ていこうと思っています。